リフォーム代、資本的支出と修繕費のどちらが有利?
約300万円かけてリフォームをしました。
修繕費か、資本的支出になるのか、判断に迷っています。
修繕費なら全額経費になりますが、資本的支出にして毎年減価償却されるのも魅力だと思っています。
実際のところ、修繕費にした方が有利なのでしょうか?それとも、資本的支出にした方が有利なのでしょうか?
税金は資本的支出の方が抑えられ、資金繰りの面では資本的支出の方が悪くなると考えられます
結論から申しますとトータルの税金は、資本的支出の方が低く抑えられます。
しかし、資金繰りの面からすると、資本的支出の方が悪くなると考えられます。
それは、資本的支出にした場合の耐用年数の考え方にあります。
資本的支出として資産計上した場合の耐用年数は原則として、その資本的支出を行った資産本体と種類及び耐用年数を同じくする新たな資産を取得したものとして、その耐用年数に応じて償却を行うこととなります。
耐用年数が47年の建物を1,000万円かけて修理して、その支出が全額資本的支出に該当した場合、新たに耐用年数47年の資産を取得したものとして、1,000万円をその支出をした年から耐用年数47年で減価償却していくことになります。
たとえ、当初取得したときから25年目に修理したとしても、47年 – 25年 = 22年の耐用年数とはなりませんので、注意してください。
建物は定額法での償却になりますので、47年の耐用年数なら、
- 1000万円 / 47年 = 21.3万円
1年あたりの償却額は、たったの21万円です。
経費にできる金額は、修繕費でも減価償却でもトータルは同じですが、減価償却費として計上できる金額が相当少なくなる可能性があり、資産計上すると、税金が高くなることからキャッシュフローが悪くなることがあります。
減価償却取扱い通達
減価償却取扱い通達でも下記のように規定されています。
(解説)
本通達の前段では、減価償却資産に資本的支出が行われた場合に、その資本的支出に係る部分の減価償却資産に適用する耐用年数は、資産本体に係る耐用年数からそれまでの経過年数を控除した残存年数によるのではなく、現に適用している資産本体に係る耐用年数によることを明らかにしている。
本体の耐用年数が長ければ、資本的支出の耐用年数も長くなってしまうため、資本的支出の減価償却が少なくなり、税金上あまり影響を与えないこともありえます。
トータルの税金を考えるのか、目先のキャッシュフローを考えるかによって判断されるのがよいかと思います。
2019/03/21
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士