親族を役員に入れると相続に支障が出るか?
私が経営する会社に、妹を役員として入れようと考えています。
妹を役員に入れることで、私や会社の相続に悪影響が出ることはあるのでしょうか?
会社は株式会社で、株主は私1人です。
株式会社なら役員の地位は相続されず安心。ただし「株式譲渡」や「合同会社」の場合は、経営権が妹様の親族へ流出する大きなリスクを伴います。
結論から申し上げますと、株式会社であれば妹様を役員にするだけでは相続への直接的な悪影響はありません。
ただし株式を持たせるかどうか、また会社形態によって取扱いが変わる点に注意が必要です。
1.株主は役員の選任・解任権を持つ
株式会社では、役員の選任・解任は株主総会の決議事項です。
相談者様が単独株主である限り、妹様の選任も解任もご自身だけの判断で行うことができます。
つまり役員に入れても、会社のコントロールは相談者様が握ったままです。
もし役員として不適切な行動をとった場合でも、株主総会決議でいつでも解任可能です。
ただし、正当な理由なく解任した場合には損害賠償責任を負う可能性がある点には留意が必要です。
2.株式会社の役員:地位は相続されない
会社法330条により、役員と会社の関係は民法の委任に関する規定に従います。
委任は受任者の死亡によって終了します。
したがって、妹様が死亡しても役員としての地位が相続の対象になることはありません。
妹様の配偶者や子などの相続人が、取締役の地位を承継することはないのです。
なお未払報酬や会社への貸付金があれば、これらの金銭債権は妹様の相続財産となりますが、役員資格そのものは消滅します。
役員に入れるだけなら、相続という観点で会社に持ち込まれるものは限定的です。
3.株式を持たせると相続に影響が出る
一方、妹様に会社の株式を持たせた場合は話が大きく変わります。
株式は財産権ですので、妹様が死亡すればその相続人に承継されます。会ったこともない妹様の配偶者や子が、突然あなたの会社の株主として登場し経営に関与してくる可能性が出てくるのです。
承継の本線は子に集中させるのが基本であり、妹様には原則として株式を持たせないことが会社支配の安定にとって重要です。
4.合同会社では役員=出資者となるため慎重に
合同会社では、業務執行社員(役員)は同時に出資者(社員)となる仕組みです。
つまり、妹様を合同会社の役員に入れることは出資者にすることと同義になります。
定款に承継規定がなければ妹様が死亡すると法定退社となり、相続人は持分払戻請求権(金銭債権)を相続します。
会社側には思わぬ資金流出が生じます。
一方、定款に承継規定がある場合は相続人が出資持分そのものを承継するため、株式会社で株式を持たせた場合と同じ問題が発生します。
いずれの場合も、合同会社で妹様を役員にすることは株式会社で単に役員にする場合とは質的に異なるリスクを伴うことになります。
5.まとめ
株式会社では、役員の選任・解任権は株主にあり、親族を役員にしても株主がコントロールできます。
また役員の地位は相続されないため、相続への直接影響も限定的です。
しかし、株式を持たせるとその相続人に承継されます。
また合同会社は役員=出資者のため、役員就任自体が相続問題を会社に持ち込むことになる点に特にご注意ください。
2026/07/10
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士