不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

青色事業専従者に対して旅費規定作れば旅費日当を出せるか?

法人化をすれば役員や従業員に対して、旅費日当を出せると聞きました。

個人で賃貸経営をしていても、旅費規定をつくれば青色事業専従者に対して旅費日当を出すことは可能でしょうか?

旅費日当の支給には、業務内容と出張の合理性が求められる

第三者の従業員がいてその従業員向けに旅費規定があり、それと同じ水準で青色事業専従者に対して旅費日当を出すことであれば、問題ないかと考えます。

しかし、賃貸経営の場合には、第三者の従業員がいることがあまりないかと思います。
その場合、青色事業専従者という家族従業員だけになるので、出張日当を出すことは難しいのではないかと個人的には考えます。

もちろん、第三者の従業員がいない場合には絶対にNGとは言い切れません。

しかし、専従者がどのような仕事をしていて、出張に行くこと及び日当を出すことに正当性や合理性があると判断されるかどうかになります。

いわゆる事実認定になるかと思います。

過去の裁決事例で、

「妻が行う電話の取次ぎや郵便物の発送及び受渡しは、社会通念上、夫婦の相互扶助の範囲内の行為あるいは日常生活の一環として行われている行為にすぎず、不動産事業に専ら従事していることを合理的に裏付ける証拠の提出はない。」

として、青色事業専従者給与が否認されて事例があります。

旅費日当を起因として、業務実態を税務調査で問われる可能性があります。

その際に専従者の業務が追求されて、専従者給与の妥当性も問われるリスクが発生することが懸念されます。

結論としては、青色事業専従者に対しての旅費日当はおすすめできる方法ではありません。

なお、個人事業主に対しては、一切日当を出すことはできませんのでご注意ください。

2025/12/26

不動産投資は、立地で決まる。人口動向や賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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