海外不動産の取得費はどのように計算すればよい?
昨年、海外不動産の引き渡しを受けました。その後、約半年かけてインスペクション、内装工事、家具・家電製品の設置などを実施しました。
支払日が複数ありますが、これらの不動産の取得費は、現地通貨の金額に支払日の為替レートをかけた金額の合計値とすれば良いのでしょうか?
それとも、現地通貨の合計金額に事業に使い始めた日の為替レートを乗じた金額を取得費としても良いのでしょうか?
外貨建て取引を行った時の為替レートを使うよう、明確に規定されております。
外貨建取引については、規定があります。
所得税法57条の3第1項
つまり、「外貨建て取引を行った時の為替レートを使いなさい」と明確に規定されております。
為替レートについては、いくつか種類があります。どの為替レートを使えばよいのかについては、通達に規定されています。
所得税基本通達57の3の1から抜粋すると、原則は、取引を計上すべき日における対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値(TTM)による。
ただし、継続適用を条件として、売上げその他の収益又は資産については取引日のTTBにより、仕入れその他の費用又は負債については取引日のTTSにより円換算することも認められています。
一般的には、TTBの方が低いレート、TTSの方が高いレートになりますので、納税者有利に(税金が抑えられる)適用してよいということになります。
相場について
さらに、相場については、継続適用を条件として、外貨建取引の内容に応じて、合理的と認められる次のいずれかによることもできます。
(1)取引日の前月末日、前週末日、当月初日又は当週初日における相場
(2)取引日の前月又は前週の平均為替相場 (月内の一定期間における平均為替相場)
相場が激しく動いたとしても金額に差が出ないように配慮されています。
為替レートは、各金融機関によって差があります。為替換算に用いる為替レートは、原則として、主たる取引金融機関のものによります。
ただし、継続適用を条件として、新聞等で公表されている合理的な為替レートを使用することができます。
為替レートでも、どの日のレート、どの金融機関のレートを使用するか、選択肢は広く認められています。いろいろとシミュレーションされるとよいと思います。
2018/11/27
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士