不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

賃貸物件を売却した際に敷金を引き継がなかった場合の取り扱いは?

賃貸物件を売却しました。
敷金総額200万円を入居者から預かっていましたが、売却に際して買主への引き継ぎがされませんでした。

買主は、敷金の負担を負うことになっています。

この返さなくてよくなった敷金の処理はどうなるのでしょうか?

土地建物の譲渡に係る「譲渡収入」として譲渡所得の計算で収入金額に含めることになります。

売買の際に、敷金や保証金を買主に精算せずに売買し、買主に敷金・保証金の債務を負担させることを「保証金の持ち回り」といいます。

関西地方でよく見られる売買形式です。

売買代金から預かっている敷金を差し引いて、売買代金を精算しないということになります。

つまり、敷金分を売主が得をしたことになるわけです。

この取り扱いについては、神戸地裁平成4年12月25日判決で下記のように判断されています。

「敷金・保証金の返還債務を免れる利益は、本件土地建物の譲渡に係る収益の額に含まれる経済的利益に該当する」
平成4年12月25日 神戸地裁の判決

つまり、売主が敷金相当額の返済債務を免れる利益は、土地建物の譲渡に係る「譲渡収入」に含まれることになります。

結果として、譲渡所得として譲渡税がかかることになります。

譲渡所得の計算で収入金額に含めなければなりませんので、ご注意ください。

2022/03/04

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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