不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

相続税の改正があるなら今のうちにマンションを生前贈与するべき?

相続税の改正が今後あって、生前贈与ができなくなる可能性があると聞きました。

父が所有している(旧)自宅マンション(現在は老人ホームにいるため空き家)を今のうちに生前贈与したほうがよいのではないかと考えていますが、いかがでしょうか?

父の財産はこのマンション以外にはありません。

相続税節税のためという理由であれば、生前贈与しなくてもよいと考えます。

まず今後の税制改正の可能性があるものとして言われているのが、「生前贈与による相続税の節税」ができなくなるということです。

令和3年度の税制改正大綱で以下のように記載されていました。

「現在の税率構造では、富裕層による財産の分割贈与を通じた負担回避を防止するには限界がある。
諸外国では、一定期間の贈与や相続を累積して課税すること等により、資産の移転のタイミング等にかかわらず、税負担が一定となり、同時に意図的な税負担の回避も防止されるような工夫が講じられている。
格差の固定化の防止等に留意しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。」

令和3年度税制改正大綱

贈与税は税率が高いですが、贈与額が大きくなければ10%~20%程度で贈与することができます。
とくに、110万円までは贈与税がかかりませんので、110万円以内で贈与すれば非課税で財産を移転でき、財産が減少した分相続税が下がります

したがって、ここでは少額の贈与による対策のことを言っています。

マンションの生前贈与は、贈与額が大きくなり贈与しても贈与税率が高くなるので、相続税の節税にはならないかと思います。
また登録免許税や不動産取得税もかかります。

通常マンションなどの高額な生前贈与には、相続時精算課税制度を利用します。
相続時精算課税制度とは、原則60歳以上の親から20歳以上の子へ2,500万円まで贈与しても贈与税がかからず、将来親に相続があったときに相続税が課税される制度です。

この制度では、相続税が課税されることを条件に生前に贈与できるものなので一般的には、相続税の節税には使えません(贈与によって取得した場合、相続税の小規模宅地の減額が使えません)。

相続税節税のためという理由であれば、生前贈与しなくてもよいかと思います。

2021/11/22

手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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