不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

介護保険と医療保険の自己負担額を減らすための法人化は有効?

母は77歳でアパートを所有しています。
アパート収入があるということで、介護保険と医療費の自己負担額が3割負担になってしまっています。

法人化することによって、自己負担額が減らすことは可能でしょうか?

法人化をして個人の所得を減らすことができれば、自己負担割合を減らすことが可能です。

近年、医療保険財政の圧迫から、自己負担割合が1割となる要件が厳しくなっています。

(1)介護保険料

介護保険の自己負担の割合が1割となるのは(65歳以上)下記のいずれかの要件を満たすような場合です。

○本人の合計所得金額が160万円未満
○『年金収入+その他の合計所得金額』の金額が
  単身者の場合 ⇒280万円未満
 (2人以上の世帯の場合 ⇒346万円未満)

(2)後期高齢者保険

後期高齢者保険の自己負担割合が1割となるのは、(住民税の)課税所得が145万円未満の場合になります。

なお、令和4年度(2022年度)後半以降では、 課税所得が28万円未満または年収200万円未満(単身世帯の場合。複数世帯の場合は、後期高齢者の年収合計が320万円未満)の方が1割となる予定です(2割負担が新たに新設されます)。

いずれも所得金額で自己負担割合が変わってきます。

法人化をして個人の所得を減らすことができれば、自己負担割合を減らすことが可能です。

しかし、気をつけなければならないのが、法人化によって一時的に相続税が上がってしまわないかどうかです。

(個人名義の物件を法人名義に移転する場合)個人が所有する、相続税評価の低い不動産を、評価の高い現金等(貸付金を含む)に変えることになります。

相続までの時間があれば、上がった相続税を減らす対策がとれるのですが、その期間が短ければ、相続税が高いまま相続を迎えることになります。

保険の自己負担額には、一定額までの限度額があります。
自己負担額の減少額と相続税の増加額を比較して判断するべきと考えます。

2021/09/10

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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