法人の決算書につける個別注記。賃貸業で注意するべきことは?
資産管理法人を合同会社で設立。1人会社で賃貸経営をしています。
決算時に決算書につける個別注記表ですが、「重要な会計方針に係る事項に関する注記」に関して、不動産賃貸業特有の考慮すべきことがあれば教えてください。
賃貸業特有なものは、特にありません。
個別注記表とは、決算書などと一緒につける書類で会計方針をどのように選択したかなど、決算を作成するにあたっての注意事項をまとめたものです。
会計基準は選択できるものが多くありますが、賃貸業の場合には、棚卸資産は基本的にないですし、引当金を計上することもあまりないので、影響があるとすれば、固定資産の償却方法になります。
しかし、固定資産の償却方法は、建物(平成10年4月1日以後取得)及び附属設備・構築物(平成28年4月1日以後取得)は定額法が強制されるので、あえて特記するまでの情報ではありません。
なお、個別注記表は、決算時に作成することが義務付けられているものの、法人税の申告書への添付は求められていません。
つまり、税務署に提出しなくてもよいものになっています。
提出するとなると、金融機関に提出する際に決算書と一緒に添付していきます。
大家さんのなかには、金融機関へのアピールとして、所有している不動産の市場価額を注記事項に載せる方はいらっしゃいます(決算書に記載されている不動産の価格は、取得時の価格がベースのため)。
しかし、一部の金融機関の担当者に聞くと、それはあまり意味がないと言います。
銀行として独自の評価方法による担保評価をしています。
また、個別注記に書いてしまうことで、エビデンスを求められることになり、充分なエビデンスがないと不審感に繋がる恐れがあります。
私の個人的な意見とすれば、金融機関のアピールとして注記に書くくらいなら参考資料として、決算書とは別資料として付けたほうが効果が高いと考えます。
個別注記に書くならば、「減価償却をしていない理由」です。
法人税法では、減価償却は任意ですが、金融機関からすると
「なぜ減価償却をしないのか、利益操作のためか?」とネガティブに受け止められる可能性があります。
まずは理由がない限り減価償却をすること。
理由があって(欠損金がなくなってしまうなど)減価償却をしないのであれば、減価償却をしない理由を個別注記に書いておくことをおすすめします。
2021/07/28
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士