不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

父と連帯債務で借入…債務超過になった時のリスクは?

マンションを建築する際に父と子である私と連帯債務でローンを組みました。
マンションは父名義で、連帯債務の負担は100%父になっています。

父が債務超過の状態などになった場合に、父の相続税からこの借入金の債務控除ができないなどのリスクはありますか?

債務超過や実質的に弁済不能の状態になることで、債務控除ができなくなる可能性があります。

連帯債務の場合の相続税の債務控除について、通達があります。

相続税基本通達14-3(2)一部加工

「連帯債務については、連帯債務者のうちで債務控除を受けようとする者の負担すべき金額が明らかとなっている場合には、当該負担金額を控除する。」

連帯債務の負担は、連帯債務者相互間の合意によって決めることが可能です(合意がなくても、連帯債務から受けた利益の割合で決まることがあります。これらの合意がない場合は、平等の債務割合になります)。

今回の場合、お父様が100%の負担割合とのことなので、お父様の債務として債務控除できることが原則です。

ただし、通達には続きがあります。

「連帯債務者のうちに弁済不能者があり、かつ、求償して弁済を受ける見込みがなく、その弁済不能者の負担部分をも負担しなければならないと認められる場合には、その負担しなければならないと認められる部分の金額は、その負担者の債務控除とする。」

弁済不能者になると、他の連帯債務者が負担することになるので、他の連帯債務者の債務控除となる、ということです。

裏を返せば、弁済不能者になってしまうと、弁済不能部分について、債務控除ができない可能性があるということです。

しかし、債務超過になれば、すぐに弁済不能になるというわけではありません。

過去の裁決事例(平成8年12月11日)では、債務超過の状態にあっても債務を滞りなく返済し、金融機関から新たな融資を受けていた事実などから、弁済不能の状態であったと認めることはできない、と判断しています。

したがって、債務超過だけではなく、実質的に弁済不能の状態になることで、債務控除ができなくなる可能性があるということになります。

2020/10/19

不動産投資は、立地で決まる。人口動向や賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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