10年前に子供の口座に入れたお金は相続税の対象?
10年くらい前に、有価証券を換金したお金を子供の口座に入れておきました。
このお金は、私の財産ではないと認識しています。
私の相続の際には、このお金に相続税がかかることはありませんか?
生前贈与になれば、亡くなる前3年以内のものは相続税の課税対象になります。しかし、それ以前の贈与は贈与税の課税になります。
また、贈与税の申告期限から7年経過したものは、贈与税の除斥期間となります。
つまり、この除斥期間を過ぎた贈与は、贈与税も相続税もかからないことになります。
しかし、贈与が成立していなければ、本人のお金を子供の口座に入れてあるだけと認定されて、相続財産として相続税が課税されます。
これを名義預金と言います。
名義預金は、何年経っても、被相続人の財産であることには変わらず、相続税の課税対象になります。
生前贈与か名義預金になるのか
贈与は契約になります。
渡す側ともらう側の意思がないと成立しないことになりますので、もらった方が自分の財産として認識していたかがポイントになります。
以下のような事実があるかで判断されることが多いです。
預金預け入れの経緯
贈与の事実があったか。あれば契約書などの証拠が存在するか。
銀行印の管理や使用状況
銀行印を名義人ではなく、被相続人が管理していれば、贈与という事実がなかったのではないかと推測されてしまいます。
入出金の管理状況
名義人がその預金を実際に自分のために使用しているかどうか、使用していない場合や被相続人のために使用しているような状況があれば、名義預金と推測されてしまいます。
贈与税の申告状況
贈与税の申告のみでは、贈与があった事実とは言えない部分がありますが、贈与税の申告を、もらった人が自分自身で申告していれば、贈与によって受け取ったという認識があるという裏付けの一つになります。
上記を総合的に判断することになるため、10年前の資金移動が必ずしも相続税がかからないことにはなりません。
2020/08/17
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士