不動産投資コラム

賃貸住宅管理業者登録制度と賃貸不動産経営管理士

賃貸住宅管理業者登録制度と賃貸不動産経営管理士

収益物件を既にお持ちの方やこれから購入しようという方にとって、「管理」に関することは、気になるところだと思います。
そこで、今回は、「賃貸住宅管理業者登録制度」という制度と、それに関する資格である「賃貸不動産経営管理士」についてご紹介していきたいと思います。

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不動産の管理に免許はいらない?

そもそも収益物件などの賃貸管理だけをメインとして行っている会社は、「宅地建物取引業」といった免許が必要ないということはご存知でしょうか。

やや難しいですが、「不動産業」と「宅建業」は同じ意味ではありません。「不動産業」の中には、売買、交換、貸借、それらの仲介(媒介)や代理、管理などいろいろな種類があります。
これに対し、「宅建業」はこれら不動産業のうち、下記の業務を指します。

①自らが行う宅地や建物の売買や交換
②宅地や建物の売買や交換、貸借をするときの代理や媒介を業として行うもの

したがって、不動産オーナーから依頼を受けて、入居者募集などの賃貸借の仲介をする場合は「宅建業」に含まれますが、自らが経営する物件の賃貸行う場合は、「宅建業」に含まれず、宅地建物取引業の免許が必要ないということになります。
 

賃貸住宅管理業者登録制度とは

それでは、全国に不動産管理会社が数多く存在する中で、オーナーが所有の不動産の管理を管理会社に任せようというとき、免許が必要でないとすると、どういう点をポイントに業者を選べばよいのでしょうか。

もちろん、実際に管理を委託されている方に管理会社の評判などを聞いて選択するのが一番だと思いますが、ひとつの目安として、「賃貸住宅管理業者登録制度」というものに業者が登録しているかどうかということがあります。

賃貸住宅管理業者登録制度

賃貸住宅の管理業務の適正化を図るために、国土交通省の告示により創設された賃貸住宅管理業の登録制度

― 告示公布2011年9月30日、告示施行 同12月1日
― 改正2016年8月12日に告示公布、同9月1日に告示施行

なお、この制度は創設されて5年を迎えるにあたり、賃貸住宅管理業務の適正化を一層促進することなどを目的とし、「一定の資格者の設置の義務化」、「貸主への重要事項説明等を一定の資格者が行うよう義務化」など、適切な管理業務の普及のために必要なルールの見直しが行われています。

賃貸住宅管理業者登録制度の参考:国土交通省

賃貸住宅管理業者の登録数は?

しかし、実際には、こちらの登録制度は任意ですので、登録していないからといって、管理業務ができないというわけではありません。

では、実際どのくらいの会社がこの制度に登録しているかということですが、国土交通省の担当部署に電話で確認してみました。

現在(令和元年6月28日聴取)のところ、約4,200社が登録を済ませているということでした。

これが多いのかどうか分かりにくいですが、3万社くらいの事業者がいるだろうと推定される(正確に実数を把握できない)中で、15%弱ですから、登録率はあまり高いとはいえません

歴史の浅い制度であり、制度自体の認知度も高くないので、今後まだまだ改善の余地はありそうです。

オーナーや借主が、この制度をどの程度必要としているかは分かりませんが、このようなルールに則って、業務をすることが義務付けられる登録業者というのは、業者選定の際のひとつの安心材料になるといえるでしょう。

賃貸住宅管理業者の検索(国土交通省)

賃貸不動産経営管理士

前記の「賃貸住宅管理業者登録制度」のところで、実務経験者等として登場した「賃貸不動産経営管理士」についても触れてみたいと思います。

一定の資格者のひとつとして、事務所毎に設置を義務化されたこの資格はどのようなものなのでしょうか。

一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会のホームページによると、「賃貸不動産経営管理士」とは、国土交通省が掲げる「ストック重視の住宅政策への転換の時代」において、不動産管理の重要性が高まってきている中、社会的に必要とされる資格とされています。

その業務は、オーナーとの賃貸不動産の管理業務を受託する契約から始まり、入居者の募集や契約業務により希望者を入居させ、建物の維持管理や不具合の対応、原状回復工事など様々な業務があります。

賃貸不動産管理に関する専門的な知識を持ち、オーナーと入居者等に対し、公正中立な立場で職務を行う、「賃貸不動産経営管理士」は、いま注目されている資格と言えます。

賃貸不動産管理業の業務範囲とは

一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会HP

賃貸不動産経営管理士の資格試験

ちなみに、「賃貸不動産経営管理士」の本年の資格試験は、申込期間が令和元年8月16日~9月26日、試験日が同11月17日となっています。

また、試験の出題範囲は以下の通りとなっています。

  • 賃貸管理の意義・役割をめぐる社会状況に関する事項
  • 賃貸不動産経営管理士のあり方に関する事項
  • 賃貸住宅管理業者登録制度に関する事項
  • 管理業務の受託に関する事項
  • 借主の募集に関する事項
  • 賃貸借契約に関する事項
  • 管理実務に関する事項
  • 建物・設備の知識に関する事項
  • 賃貸業への支援業務に関する事項(企画提案、不動産証券化、税金、保険等)

賃貸不動産経営管理士 令和元年度 試験実施要領

この資格の難易度について、直近の合格率は50%程度となっています。
有効利用度は別にして、数ある不動産系の中では、現状では比較的取得しやすい資格といえます。

なお、一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会では、賃貸住宅管理業務の適正化と、それに係る借主と貸主の利益保護のため、賃貸不動産経営管理士の国家資格化を目指して事業に取り組んでいます(国土交通省の担当者の話では、現状ではまだ国家資格化の具体的な段階ではないとのことです)。

まとめ

今回は、賃貸管理に関して「賃貸住宅管理業者登録制度」と「賃貸不動産経営管理士」を簡単にご紹介させていただきました。

所有不動産の管理を業者に委託する場合だけでなく、自らが行う場合においても、一般的な知識として、勉強してみるのも良いのではないでしょうか。

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堀田 直紀
堀田 直紀

堀田 直紀

不動産鑑定士

堀田 直紀

不動産鑑定士

不動産鑑定士試験合格後、民間最大手の大和不動産鑑定株式会社にて約11年間、収益物件をはじめとした鑑定評価業務に従事。平成29年10月、ミッドポイント不動産鑑定株式会社を設立。

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