多摩モノレール延伸計画で不動産価格はどう変わる?

「安く買って高く売る」、基本的なことですが、不動産投資においてはそう簡単なことではありません。
不動産価格を先読みするためには、1990年前後のバブル崩壊や2008年のリーマンショックといった、急落する時期を予測しなければなりませんが、実際のところ、こういった経済情勢を先読みして「キャピタルゲイン」を得ることは、個人の投資家にとって簡単ではありません。
それよりも、相鉄線のJR東急線直通線開通計画のように、インフラ整備の最新情報をもとに、将来不動産価格が高騰しそうな場所を予測して投資する方が、「キャピタルゲイン」のみならず「インカムゲイン」についても、手堅く狙えるはずです。
そこで今回は、東京都の西側で計画されている「多摩モノレールの伸長計画」がもたらすメリットについて、不動産投資の視点から詳しく分析していきたいと思います。
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多摩モノレールとは?
多摩モノレールとは、東京都の西側の南北の交通網を改善するために開通したモノレールで、2018年時点において上北台駅から多摩センター駅間を運行しています。
沿線には明星大学や帝京大学、中央大学など複数の学校が点在するため、学生にとっての貴重な通学手段を担っているほか、多摩動物公園、サンリオピューロランドといったレジャー施設もあるため、日常交通のみならず、土日も広く利用されています。
多摩モノレール延伸の概要と不動産投資への影響
多摩モノレールの伸長計画は、現時点で北の終点である上北台駅と、南の終点である多摩センター駅から、以下の3地点に対して路線を伸長する計画となっています。
町田方面延伸路線
多摩センター駅から南に大きく伸ばして、JR横浜線と小田急小田原線が乗り入れている町田駅までの約13キロの伸長を計画しています。
町田駅は同路線の中でも屈指の乗降客数を誇る大型ターミナル駅のため、多摩モノレールが町田駅まで開通すれば、より多くの人が多摩モノレールを利用することが期待できるでしょう。
現時点で開通時期は名言されていませんが、すでに事業化に向けた調整段階に入っています。
町田方面伸長の目的は、町田駅へさらに人を呼び込むことにあるようですが、当然その影響は沿線の地域にも及ぶでしょう。
例えば、現状バスによるアクセス手段しかない「小山田桜台団地付近」は、町田駅まで約35分、立川駅まで53分という、非常にアクセス条件が悪い状況にあります。
将来、町田ルートが開通すれば、モノレールでのアクセスが可能になり、町田駅まで約18分、立川駅まで約34分と大幅にアクセス時間が短縮される見込みです。
これにより、公共施設へのアクセスが容易になり、今よりも住みたい人が増え、結果として不動産価格の上昇に繋がる可能性があるでしょう。
町田市の地価は、2018年9月に発表された基準地価によれば、町田駅周辺を除けば㎥単価で20万円以下の手頃な地域が数多く存在するため、今のうちから投資しておけば、上昇が見込める可能性があります。
八王子方面延伸路線
多摩センター駅から西に向かって唐木田駅、南大沢駅、京王片倉駅を経由して、最後はJR八王子駅まで約17キロをつなぐ伸長計画です。
現在も八王子駅と町田駅間はJR横浜線でつながってはいますが、多摩センター駅と繋がることで、京王線、小田急線への乗り入れが可能になるため、より人の動きが活性化される可能性が考えられるでしょう。
八王子方面延伸については、まだ事業計画が決まっていませんが、正式に決まれば沿線となる地域の不動産の価値は高まるでしょう。
八王子方面伸長のポイントは、乗り入れとなる小田急多摩線唐木田駅や京王相模原線南大沢駅付近です。どちらの駅についても、現時点では㎥単価20万円以下の地域ですが、開通すれば地価上昇の可能性があります。
特に南大沢駅前には、「三井アウトレットパーク多摩南大沢」があるため、八王子ルートが開通すればより注目を集めるでしょう。
箱根ヶ崎方面延伸路線
多摩モノレールの北の終点である上北台駅から八高線箱根ヶ崎駅まで約6.7キロを結びます。
もともと公共交通の便が悪い多摩地域の主要地区を多摩モノレールで結ぶことで、アクセス利便性の向上を狙っています。
開通が実現すれば、多摩地域から町田方面に容易に移動できるようになり、周辺の不動産価格に大きな影響があると見込まれます。
すでにモノレール導入空間となる新青梅街道の拡幅工事が進んでおり、2021年をめどに完了する予定とのことです。
箱根ヶ崎方面で注目すべきは、新設が予定されている新駅周辺です。
現時点で正確な場所は確定していませんが、以下の地域が候補に上がっています。
- 学園三丁目交差点付近
- 村山病院北交差点付近
- 本町1丁目交差点付近
- 三ツ木交差点付近
- 青岸橋東交差点付近
- 瑞穂武蔵付近
これらの地域は現時点において車とバス以外の主要な交通手段がないため、新駅ができれば他の伸長計画と相まって利便性が大幅に高まり、地価が見直される可能性が高いと考えられます。
また、村山病院北交差点付近には、大型商業施設である「イオンモールむさし村山」があることも、大きくプラスになるでしょう。
多摩モノレール沿線の魅力的な商業施設
多摩モノレールは東京都郊外を縦断する路線のため、都市部と比べて駅周辺に大型商業施設を建設しやすいというメリットがあります。
現在開通している多摩モノレール沿いで、代表的な大型施設は以下の通りです。
ららぽーと立川立飛
ららぽーと立川立飛は、2015年12月にオープンした大型ショッピングセンターです。
多摩モノレール立飛駅直結で、92,500㎥という広大な敷地の中に約240のテナントが入っています。
南はJR立川駅、北は西武線から多摩モノレール経由でのアクセスがよく、多摩モノレールが伸長されれば、さらに利用者が増えるでしょう。
また、全米オープンテニス優勝という日本人初の快挙を成し遂げた大坂なおみ選手が凱旋試合を行った「アリーナ立川立飛」も、ららぽーと立川立飛と同じ多摩モノレール立飛駅から徒歩1分のところにあります。
IKEA立川
多摩モノレール高松駅から徒歩7分の場所にある、スウェーデン発祥の大型家具量販店です。日本の家具店よりも売り場面積が広く、また低価格かつデザイン性も高いことから、若者を中心に人気があります。
ららぽーと立川立飛と場所が近いため、休日にはしごして利用するケースも多いようです。
マグレブWEST
多摩モノレールの現在の終点である多摩センター駅に、2018年7月にオープンした駅前商業施設です。
もともと多摩センター駅前には、マグレブビル、マグレブEASTといった総合レジャービルがありますが、駅前開発プロジェクトとして、3棟目の商業施設マグレブWESTがオープンしました。
これら以外にも、伸長計画がさらに前進すれば、さらなる商業施設やレジャー施設の新設も期待でき、都心部の路線にはない独自の魅力がある路線になるでしょう。
多摩モノレール沿線は不動産投資で魅力的
今年開業20周年を迎えた多摩モノレール。
立川の地価は上昇傾向にありますが、これは多摩モノレールの開通が影響していると言われています。
多摩モノレールの「立川北駅」と「立川南駅」の開通したことにより立川の北口側・南口側の再開発がすすみ、利用者が増加。それが地価上昇に繋がったのです。
多摩モノレールの伸長が実現するのは、まだしばらく先のことですが、少なくとも事業化に向けて着々と前進していることは間違いありません。
また、モノレールは電車とは違い騒音や振動が少なく、周辺の住環境に与える影響はほとんどありません。そればかりか、現在車移動に頼っている地域については、多摩モノレールの伸長によって車移動が減少し、排気ガスが大幅に抑えられ、住環境が今よりも改善される可能性も期待できるのです。
事業化が決定して開通が確定的になった頃には、すでに周辺の不動産価格に影響が出始める可能性が高いため、安く仕入れるためには、今のうちから物件を選定して投資することが有効でしょう。
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