不動産投資コラム

借地権付き物件への投資②メリットとデメリット

借地権付き物件への投資②メリットとデメリット

後編となる今回は、借地権付き物件のメリット・デメリットや、「底地」を買って所有権にする方法などをご紹介します。

前回、借地権とは「建物の所有を目的とする地上権または土地の貸借権」といいました。
つまり、借地権には、「地上権」と「土地賃借権」の2種類があるということです。

前回記事

借地権付き物件への投資①「借地権」とは?

手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…ニーズありきの不動産投資とは?

「地上権」と「土地賃借権」とは

地上権は、他人の土地を利用する権利のうち、物権的な権利といわれます。
物権は、当事者だけではなく誰にでも主張することができる権利で、権利者が自由に処分できる権利です。

これに対し、土地賃借権とは、他人の土地を利用する権利のうち、債権的な権利といわれます。
債権は、物権と違って契約当事者間でしか主張することができず、権利者は相手の承諾がないと自由に処分することができないため、物権(地上権)よりも弱い権利ということになります。    

現状で利用されている借地権の種類としては、後者の土地賃借権が多くなっています。

借地権付き物件のメリット

借地権が付いている物件は、完全所有権である物件にくらべ、一般的に価値が低いということになります。
それでも、なぜ、一部の投資家はこのような借地権付きの物件を購入するのでしょうか。それにはいくつかメリットがあるからです。

初期費用がおさえられる

仮に、物件の所在、建物の構造、築年数などの条件がすべて同じであった場合、借地権付きの物件は、完全所有権の物件よりも価格が安くなります。
そのため、初期投資費用が抑えられます。
それに関連して、購入のときにかかる不動産取得税、ローンの借入額を抑えることができます。

土地の固定資産税などがかからない

借地では、地代を支払う必要はありますが、所有ではないので、土地の固定資産税・都市計画税などの支払いはありません。

物件を取得できる可能性が高まる

同じ物件を欲しいと思う人が多ければ多いほど、当然物件の価格は高くなります。
しかし、借地権付き物件の場合、完全所有権の場合とちがって注意すべきことが多い反面、敬遠する人もいるため、特に地価が高騰している都心部の物件については、低予算で購入できる可能性が高まるといえるでしょう。

利回りが高い

購入価格が低いということと同じ意味になりますが、所有権の物件にくらべ、借地権付きの物件は、概して利回りが高くなっています。
借地権付きの投資物件で検索してみると、意外に多く売り出されていて、高い利回りが表示されていることが分かります。

底地を買えば(完全)所有権になる

借地権付きの物件を購入した場合でも、後日、土地所有者と条件が合えば、底地を取得することができ、結果、所有権に変化する可能性があります。
所有権となれば、物件の価値が高まり、売却などの資産の流動性が高まります。

底地を買い取る方法としては、相続のタイミングなどで地主が土地を手放したいと考えているケースもあります。
当事者の土地を必要とする度合いや借地の残存期間などにもよるので、相場というものは一概にはいえません。

MEMO
「底地」はいくらで買える?

目安となるのは、相続税路線価における借地権割合でしょうか。たとえば、下の相続税路線価図を参考にすることがあります。

路線価図・評価倍率表
物件の前面道路の路線価が500Cとなっている場合、欄外の記号Cのところを見ます。すると、借地権割合が70%となっています。
底地価格は土地価格から借地権価格を控除したものになりますので、30%となります。したがって、土地の実勢価格(時価)に30%を掛けたものが底地の価格になります。
実際にはこの価格をベースにお互いの事情を考慮して交渉し、価格を決めていくといった具合です。

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借地権付き物件のデメリット

借地権付き物件のデメリットには、次のようなものがあります。
これらのデメリットが大きい場合には、いくら高利回りだからといっても購入を断念せざるを得ないということになります。

融資がつきにくい

借地権では、借地人の地代不払いなどを理由に、債務不履行として、地主から借地契約を解除される可能性があります。その場合、借地権上の建物は存在の基礎が失われてしまうため、価値がないものとみなされてしまいます。

このような不安定な権利であるため、金融機関は融資に慎重です。
金融機関のスタンスにもよりますが、所有権の物件とくらべ、担保価値は低くなるのが一般的です。
また、返済期間も原則的には借地の残存期間が最長となるため、短くなる場合があります。

所有権ではかからない費用が発生する

①地代

土地の賃貸借ですので、地代が発生します。地価上昇時には、地代も上昇するというリスクがあります。

②一時金

【譲渡承諾料】
物件を売却する場合、借地権も同時に売ることになるのですが、土地賃借権ですと、地主の承諾が必要となり、慣例では借地権価格の10%程度の譲渡承諾料が必要となってきます。

【更新料】
借地契約期間が満了して、更新する場合には更新料として、更地価格の5%程度の一時金を要求される場合があります。

【増改築承諾料】
借地契約書に、「増改築禁止特約」という条項がある場合、借地人が借地上の建物を増改築する場合には、あらかじめ地主に承諾を得る必要があります。この場合にも、増改築の程度や内容にもよりますが、更地価格の3%程度が必要になってくる場合があります。

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まとめ

今回は借地権付きの物件についてお話ししました。
一般的には、投資の難度は高いといえますが、近年の都心部の物件の取得競争が激しいなか、借地権付きの物件も選択肢の1つに入ると思います。

売却や増改築時には地主の承諾が必要なこと、所有権にはない一時金が発生する場合があることなどのデメリットを十分理解したうえで、ご検討いただければと思います。

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堀田 直紀
堀田 直紀

堀田 直紀

不動産鑑定士

堀田 直紀

不動産鑑定士

不動産鑑定士試験合格後、民間最大手の大和不動産鑑定株式会社にて約11年間、収益物件をはじめとした鑑定評価業務に従事。平成29年10月、ミッドポイント不動産鑑定株式会社を設立。

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