被災したら家賃、修理、保険は?消費者庁Q&A公開
大阪府北部の地震、平成30年7月豪雨、平成30年台風21号、平成30年北海道胆振東部地震…大規模な自然災害が続いています。
大規模災害の発生時には、直接的な被災以外にも不動産賃貸借のトラブルや点検商法、便乗商法など、災害に関連した消費者トラブルが発生する傾向があります。
消費者庁はこれを受け、9月6日、消費者庁ウェブサイトに注意喚起を載せるほか、下記について計20のQ&Aを取りまとめた「地震に関連する主な相談例とアドバイス」を公開しました。
1.不動産の賃貸
2.建物の工事・建築・修理など
3.動産・サービスの取引など
4.架空請求、不振な勧誘など
5.損害保険
こちらではその中から不動産賃貸借に関するものなど、Q&Aの一部ご紹介します。※
※消費者庁はこういった相談例について「個別の事情によって異なるので、各地の消費生活センター、消費者ホットライン『188』番(局番無しの3桁の電話番号)、弁護士会などの法律相談に相談してください」としています。不明な点や不審に思うことがある、トラブルに遭った等という際は個別に相談することをおすすめします。
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相談例とアドバイスの一部
不動産の賃貸について
Q.賃貸住宅に住んでいるが、地震で被災し、住むことができなくなった。住むことができなくなった期間の家賃について支払う必要はある?
A.住めるようになるまで家賃を支払う必要はない。
Q.災害の被害を受けたアパートから退去を申し出ると、違約金を請求された。支払う必要はある?
A.客観的にみて、アパートに住めないほどの被害があるために退去したのであれば、違約金を支払う必要はない。
万が一、契約の中に天災のような不可抗力の場合でも、「あらかじめ契約した期間住まないと違約金を支払わなければならない」という取り決めがあったとしても、高額の違約金が設定されている等のときには無効の主張ができる場合があると考えられる。
Q.大家から賃貸マンションの退去を求められた。退去しないといけない?また、退去に伴う引っ越し費用や敷金の返却を請求できる?
A.建物の損壊の程度がひどく、建物としての「効用を失った状態」ではない以上、賃貸借契約は継続するので、退去する必要はない。貸主からの退去の申出は、一定の期間前に申し出る必要があり、正当事由が必要とされる。まずは貸主と話し合いを。
また、敷金は原則として借主に戻ってくるものであるため、返金の請求は可能。
Q.住んでいる賃貸マンションが地震で不具合が起きた。オーナーは修繕すると言ったが修理代は誰が払う?
A.貸主は法律上、賃貸借契約の目的物を修繕しなければならないという修繕義務を負うこととされており、修理代は原則として貸主が支払う必要がある。
建物の工事・建築・修理などについて
Q.業者に災害で壊れた屋根の修理を依頼したが、高額な代金を請求された。どうすれば?
A.業者に請求書内容の明細を確認し、契約した覚えのない工事が含まれていた場合、その工事に係る料金については合意がない以上支払義務はないと考えられる。
契約する際、業者の説明を鵜呑みにしてその場で契約しないことが重要。複数の会社から見積もりを取り、工事の内容を十分検討した上で契約を。
損害保険について
Q.地震保険の保険会社に、一部損にも満たないため保険金支払の対象外と言われた。どうすれば?
A.保険会社の損害認定に不服がある場合には、当該保険会社の保険金支払いに関する相談窓口へ相談を。また、(社)日本損害保険協会が運営する「そんぽ ADR センター(損害保険相談・紛争解決サポートセンター)」では苦情の申出や紛争解決の相談をすることもできる。
地震保険では、各保険会社共通の「損害認定基準」に基づき、保険の対象である建物及び家財について、2017年1月以降、その損害の程度に応じ、全損・大半損・小半損・一部損の4段階に区分して損害認定をする。
一部損とは、主要構造部(基礎・柱・壁・屋根なあど)の損害額が時価の3%以上20%未満の場合、または床上浸水や建物の直下の地面から 45cmを超える浸水を受けた場合。
ただし、損害の程度が一定の基準を下回る場合は、保険金支払いの対象外となる。
架空請求、不審な勧誘などにも注意
上記のほかにも、
「市の職員を名乗り、災害義援金を集めているとの訪問が受けたが信用できる?」
「携帯電話に災害情報サイト利用料を請求するメールが届いた。すぐ支払わないと訴えると書いてあるが無視して大丈夫?」
など、発生し得るトラブルと対処法についてのQ&Aが記載されています。
被災された方やトラブルに巻き込まれてしまった方はもちろん、すべての人にとって有用かと思われますので、知っているとよいかもしれません。
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