コラム

『新築VS中古』投資するならどっち?徹底比較

2018/06/04
『新築VS中古』投資するならどっち?徹底比較

不動産投資には、アパート、マンション、一戸建てなどの種類がありますが、どれに投資をするにしても、必ず選ばなければならないのは「新築」「中古」という選択肢です。

不動産投資は「新築」と「中古」のどちらに投資するかによって、メリットや特徴が大きく異なります。

そこで今回は、不動産投資における「新築」と「中古」の違いを徹底的に比較して検証していきたいと思います。

1.「利回り」で有利なのはどっちなのか

新築と中古の利回り

不動産投資において最も重要な要素となるのは「利回り」です。

利回りとは、年間家賃収入の物件価格に対する割合のことで、物件価格をどのくらいの期間で回収できるのかを知る目安となります。

例えば利回り10%であれば、10年で物件価格分を家賃収入で回収できるという意味になります。

新築と中古では、利回りはどちらが高いのでしょうか。

1-1.物件価格が安い中古物件は新築よりも利回りが高くなる

結論から言うと、利回りは「中古」のほうが高くなります。
その理由は利回りの計算式を考えると見えてきます。

利回り=年間家賃収入÷物件価格×100

この計算式からも分かるとおり、利回りに影響するのは「家賃」と「物件価格」です。

そして中古物件の場合、物件価格が新築に比べて非常に低いため利回りが新築よりも高くなる傾向にあります。

もちろん新築物件は中古物件よりも高い家賃を取ることができますが、それ以上に物件価格が高いため利回りがあまり伸びないのです。

これには、新築の投資物件を販売する側の不動産会社側の思惑が影響しています。

1-2.利回りが低くても融資の審査が通りやすい新築物件

新築物件の売主は基本的にゼネコンなどプロの不動産会社です。

不動産会社は売り出す物件の価格を決める際に、「いくらなら売れるのか」という視点はもちろんですが、それとは別に「いくらまでならローンが組めるのか」という視点でも考えます。

中古物件の場合は、ある程度の利回りが確保できないと銀行が不動産投資家に融資をしないため、どうしても物件価格を下げざるをえない部分が出てきます。

ですが新築物件の場合は、中古物件よりも銀行からの担保評価が高いため、利回りが低くても融資の審査が通りやすいのです。

そのため、新築物件に関しては中古物件に比べると割高な価格設定になっていることが多く、利回りが低くなるのです。

2.「初心者投資家」におすすめなのはどっちなのか

投資初心者には新築と中古、どちらがよいか

中古物件のほうが利回りが高いということから考えると、初心者投資家にも中古物件のほうがおすすめなのかというと決してそういうわけではありません。

中古物件は設備関係が一定年数経過しているため、新築物件に比べて修繕リスクが高くなります。

不動産投資の経験豊富な投資家であれば、築年数に応じておよそどのような修繕が発生する可能性があって、それにいくらお金がかかるのかについて感覚として身についているため問題ありません。

ところが初心者投資家の場合は、そのあたりの経費感覚がまだ未熟なため、安い中古物件を購入できたとしても、割高な修繕費用が後からかかってしまう可能性があります。

2-1.中古物件では室内を直接確認できない場合も。付帯設備の状況に注意

中古物件には修繕リスクがつきまとうため、購入を検討する際には、必ず物件の付帯設備の状態について細かく確認をすることが重要です。

ただ、この際にも大きなリスクが立ちはだかります。

中古物件の場合、たまたま空室であれば良いのですが、満室の状態で売りに出されている場合は、室内に立ち入って設備の状態について確認することができません

そのため買主は、売主から提示される「付帯設備表」や「物件状況報告書」などの書類上で状況を確認せざるをえないのです。

まだ築年数の浅い物件であれば良いのですが、築10年以上経過している中古物件の場合は、室内の設備状況について売主自身も正しく把握できていないケースが多いため、それらのリスクもすべて覚悟の上で購入するしかありません。

不動産投資に慣れている投資家であれば、修繕リスクはリスクのうちに入らなくなってきますが、初心者のうちは修繕を安く済ませる術などを熟知できていないため、ただ出費が増えてしまうことになります。

よって、初心者投資家が中古物件を購入する際は、付帯設備の確認について慎重に行うことをおすすめします。

3.不動産売買契約における中古物件ならではの「リスク」とは

不動産売買契約における中古物件ならではの「リスク」とは

投資物件を購入する際に締結する不動産売買契約においても、新築物件と中古物件で重要な違いがあります。

それは「瑕疵担保責任」です。

3-1.新築物件において【売主】が【買主】に対して負う責任「瑕疵担保責任」

新築物件の場合、売主となるのは新築物件を建築した不動産会社であることがほとんどです。

そして、不動産会社が売主の物件を購入するときは、必ず瑕疵担保責任が発生します。

瑕疵担保責任とは、売買物件に隠れた瑕疵(外見上ではわからない欠陥)があった場合、一定期間について売主が買主に対して負う責任のことをいいます。

瑕疵担保責任の具体的な内容は、民法で次のように規定されています。

民法第570条

・買主は売主に損害賠償を請求することができる
・瑕疵の程度が、売買契約の目的を達成できないほどに重大であるときは、買主は売買契約を解除できる

なお、瑕疵担保責任を売主に対して追及できる期間は、民法では定められていないため、原則的には売買契約書で定めるのが一般的です。

例えば売買契約書で「中古物件を買主に引き渡した日から1年間、売主は瑕疵担保責任を負う」などと記載します。

また、売主に損害賠償請求をしたり、契約を解除したりできる期間については、「権利行使期間」といい、買主が瑕疵の存在を知ったときから1年以内となります。

3-2.中古物件は瑕疵担保責任が「免責」となることが多く、買主の自己責任に

買主にとって瑕疵担保責任は、万が一の際のセーフティーネットとなるため、非常に重要なポイントです。

ですが、中古物件の場合、売主が個人であることが多いため、売主側の条件で瑕疵担保免責となることがほとんどなのです。

個人売主は、物件を売却した後も責任を負わされることを嫌がるため、ほとんどの中古物件は売買の条件に「瑕疵担保免責」と記載されています。

瑕疵担保免責になると、万が一購入後に雨漏りなどが発覚しても、売主に責任を追及することができず、すべて自己責任で直すしかありません。

3-3.新築物件は「品確法」により買主が保護され、売主に10年間責任追及ができる

もともと宅建業者の瑕疵担保責任は、宅建業法にその規定がされています。

具体的には、宅建業者が売主として物件を売却する場合は、買主が瑕疵担保責任を追及できる期間を、物件の引き渡しの日から2年間とすることができると規定されています。

このように、中古物件であっても売主が宅建業者であれば瑕疵担保責任をつけてもらうことができます

さらに、新築物件であれば宅建業法よりもさらに厳しい規定である「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって瑕疵担保責任の期間が次のように強化されています。

品確法第88条

新築住宅の売買契約においては、売主は、住宅の引き渡しのときから10年間にわたって、構造耐力上主要な部分等に関する瑕疵担保責任を必ず負う

よって、新築物件を購入した場合は、売主に対して10年間は責任を追及できるため、不動産投資家としてもとても安心できます。

新築か中古かによって、売主に責任を追及できる期間が大きく違いますので、投資する際の重要な判断材料であることは間違いないでしょう。

4.物件の種類別に新築と中古を比較してみよう

それではここで、
アパート、区分マンション、一戸建ての新築と中古の特徴について、表にして比較してみたいと思います。

新築
アパート
中古
アパート
新築区分
マンション
中古区分
マンション
新築
一戸建て
中古
一戸建て
物件価格
利回り
賃貸需要
選択肢
修繕リスク
初心者向け ×

このように表にしてみると、それぞれの物件ごとの新築と中古の特徴がよくわかります。

比較的、中古の区分マンションは価格も手ごろでリスクも少ないため、初心者投資家が最初に購入する物件としては適していると言えます。

反対に、中古の一戸建てなどは、利回りは高いものの、その他のリスクが非常に高いため、初心者投資家には向いていません

まとめ

いかがでしたでしょうか。

新築物件と中古物件は、どちらが良いという明確な結論はありません。

むしろ、重要なことは新築と中古で、どのような違いがあるのかについて、不動産投資家自身が正しく認識しておくことです。

特徴を理解した上で、自分の今の状況が新築向きなのか、それとも中古向きなのかを判断すればいいでしょう。

棚田 健大郎

棚田 健大郎

行政書士

行政書士・マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・敷金診断士・ファイナンシャルプランナー。大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。行政書士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得し、棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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