コラム

初心者必見!不動産投資の契約と手続き

司法書士宮﨑 辰也
初心者必見!不動産投資の契約と手続き

これから不動産を購入し、不動産投資を始めるにあたり、今後の運用の方法や利回りなど色々気になることも多いでしょう。

しかし、不動産投資を始めるまで複雑な手続きがあったり、専門的な知識まで持っていなければならないのかとご不安になられる方もいらっしゃるかと思います。

確かに色々な知識を持っていたほうが、これから不動産投資をしていくにあたっては、投資リスクを最小限に抑えることができますし、安心して不動産投資を始めることができます。

ただ、最初からすべての知識をカバーするのは難しいと思います。

ここでは、不動産投資を始めるまでにどのような手続きが必要なのか手続き面にスポットを当ててご説明していきます。

実際に同じような場面に遭遇した時に戸惑わないように、今後の参考にして頂ければ幸いです。

投資用不動産購入の流れ

契約成立ー投資用不動産購入の流れ

1.購入物件の決定

まずは、投資する不動産を決定します。
立地や購入価格、利回りなどの条件からどの不動産を購入するかよく検討なさってください。

2.重要事項の説明

不動産取引において、物件の内容や取引の条件など、契約をするかどうかを決めるために必要な情報が記載された書面を「重要事項証明書」と呼びます。

宅地建物取引業法では、売買契約を締結するまでの間に、不動産会社は、不動産の購入予定者に対して購入物件にかかわる重要事項の説明をしなければならないと定めています。

説明のなかで、購入を検討するなかで確認していた情報と異なる説明はないか、その他気になる事実はないかなど、しっかりと確認しましょう

3.売買契約の締結

重要事項の説明を受け、その内容を確認して納得できたら、売主と売買契約を結びます。

いったん契約を締結すると、自由に契約を解除することはできませんので、事前に契約内容を十分に確認することが重要です。

このとき、一般的には物件価格の10~20%程度の手付金を支払います。

4.ローン契約の締結

投資用不動産を購入する際、現金で購入することもありますが、多くの人が金融機関から融資を受けることになると思います。

そのため、売買契約の締結後、住宅ローンの正式な契約を締結します。

5.残代金の支払い・不動産の引き渡し

売買契約・ローン契約の締結が終わりましたら、残代金の決済日を決めます

金融機関の融資を受ける場合も、この残代金の決済日に融資が実行されます。

残代金の支払い、固定資産税・都市計画税や管理費等の生産と同時に物件の鍵の引き渡しを行います。

その後、司法書士が管轄法務局に対し、買主への名義変更と金融機関の抵当権設定登記を申請します。

以上の手続きが終わりますと、念願の不動産投資がスタートします。

投資用不動産の売買のなかで利用されるスキーム

投資用不動産の購入の流れは前述したとおりですが、そのなかでよく利用されるスキームをご説明します。

一般的には、売主と買主との二者間で売買契約を締結し、登記の名義も売主から買主に直接移転する形で手続きを行います。

これに対し、投資用不動産の取引現場では、売主・買主のほか、もう1人登場人物が増えることがあります。

三者間で売買契約を締結しますが、登記名義は、売主から最終的な買主に直接移転する手法を用います。

これを不動産登記手続き上、「新中間省略登記」と呼ばれています。

名義変更手続き

名義変更 押印 

不動産を購入した場合、購入者の名義に変更する不動産の名義変更登記が必要になります。

そもそもこのような登記手続きが何故必要かというと、国民の大切な財産である不動産のひとつひとつについて、どこにあって、どれくらいの広さがあって、誰が所有しているのかといった情報を、法務局の登記官が専門的な見地から正しいのかを判断した上で、コンピュータ上に記録していきます。

この登記をすることによって、不動産に関する情報が一般に公示され、権利関係などの状況が誰にでも分かるようにすることで、不動産に対する権利の保全が図られ、不動産の安全な取引のためにも役立っています

新中間省略登記とは?

従来の中間省略登記
従来の中間省略登記

従来の中間省略登記とは、不動産がA→B→Cと順次売買された場合に、中間者であるBを省略してA→Cに直接登記名義を移転することです。

つまり、Bに登記を入れることによって掛かる税金(登録免許税・不動産取得税)を負担せずに不動産の流通を図る手法です。

しかし、従来の中間省略登記は、「権利変動の過程を忠実に登記に反映させるという不動産登記制度の理念」に反するという理由から法務局では認められていませんでした。

つまり、上記の例では、A→Bに名義を変更し、続けてB→Cに名義を変更しなければなりませんでした。

新中間省略登記
新中間省略登記

これに対し、不動産がA→B→Cと順次売買された場合であっても、Bへの名義変更自体を省略してA→Cに直接所有権を移転させようとするのが、従来の中間省略登記ではなく新中間省略登記と呼ばれる手法です。

ただし、登記手続き上、単にBへの名義変更を省略し、直接Cに名義を変更するだけでは、従来の中間省略登記と何ら変わるところはありません。

そこで、新中間省略登記では、三者間の契約の方法として主に「第三者のためにする契約」が利用されます。

新中間省略登記の方法

新中間省略登記には、大きく分けて直接移転売買方式(第三者のためにする契約)買主の地位の譲渡方式の2種類に分けられます。

ここでは、主に利用される直接移転売買方式(第三者のためにする契約)について、ご説明します。

直接移転売買方式(第三者のためにする契約)
直接移転売買方式(第三者のためにする契約)

第三者のためにする契約とは、契約当事者の一方が他方当事者に、第三者(受益者)に対して直接に債務を負担することを約する契約のことです。

例えば、A・B間で不動産売買契約を締結した場合、契約の内容として売買契約の直接の利益をCに与えることを約することです。

投資用不動産の売買取引の現場では、A・BとB・C間で各々売買契約を締結します。

このとき、A・C間で直接売買契約を締結することはありません。
また、中間者であるBは不動産会社であることが多いです。

A・B間の契約で、不動産の所有権をBが取得するわけではなく、Bが別途第三者であるCを指名し、そのCに直接所有権を取得させることをその契約の内容とします。

そして、B・C間の契約で、Cが不動産の所有権をAから直接受けることを承諾することをその契約の内容とします。

つまり、A→B→Cと順次売買契約を締結していたとしても、Bが不動産の所有権を取得するわけではないので、登記手続き上も、Bへの名義変更自体を省略してA→Cに直接所有権を移転することができます

ただし、第三者のためにする契約の手法を利用する場合には、A・BとB・C間の各々の売買契約のなかで、そのための特約条項が必要となります。

特約条項としては、以下のような文言が売買契約書のなかに盛り込まれていると思われますので、売買契約を締結する際に内容を確認してみてください。

A・B間の売買契約の特約条項例

(所有権の移転先及び移転時期)
1 買主は、本物件の所有権の移転先となる者(買主を含む)を指定するものとし、売主は、本物件の所有権を買主の指定する者に対し、買主の指定及び売買代金全額の支払いを条件として直接移転するものとする。

(所有権留保)
2 売買代金全額を支払った後であっても、買主が買主自身を本物件の所有権の移転先に改めて指定しない限り、買主に本物件の所有権は移転しないものとする。

(受益の意思表示の受領委託)
3 売主は、所有権の移転先に指定された者が売主に対してする「本物件の所有権の移転を受ける旨の意思表示」の受領権限を買主に与えるものとする。

(買主の移転債務の履行の引受け)
4 買主以外の者に本物件の所有権を移転させる場合には、売主は、買主がその者に対して負う所有権の移転債務を履行するために、その者に本物件の所有権を直接移転するものとする。

B・C間の売買契約の特約条項例

(所有権移転の時期)
1 本物件の所有権は、買主が売買代金の全額を支払い、売主がこれを受領したときに、現所有者から直接買主に移転する。

(第三者の弁済) 
2 本物件は、未だに登記名義人が所有しているので、本物件の所有権を移転する売主の義務については、売主が売買代金全額を受領した時に、その履行を引き受けた本物件の登記名義人である所有者が、買主にその所有権を直接移転する方法で履行するものとする。

新中間省略登記を利用するメリット

新中間省略登記を利用するメリット
1.登録免許税が掛からない

登録免許税は、不動産登記を申請する際に掛かる税金です。

例えば、BがAから不動産を購入し、Bが所有権を取得した旨の登記手続き(所有権保存登記・所有権移転登記)をした際にBに登録免許税が掛かります。

そして、不動産がA→B→Cと順次売買された場合に、中間者であるBを省略してA→Cに直接登記名義を移転する新中間省略登記では、中間者B名義に登記をするわけではないので、Bには登録免許税は掛かりません。

つまり、登記をしないかぎり登録免許税は発生しません

そして、登録免許税は、所有権や抵当権、または売買や贈与などの登記の種類に応じ、法律によって税率が定められています

売買による所有権移転登記の場合は、不動産固定資産評価額の2%になります。

ただし、土地に関しては、減税措置が取られており、不動産評価額の1.5%になります。

2.不動産取得税が掛からない

不動産取得税は、新たに不動産を取得したものに掛かる税金です。

そして、新中間省略登記の場面では、登録免許税と同じように、中間者Bは不動産を取得するわけではないので、中間者Bに不動産取得税は掛かりません

不動産投資のリスク

皆さんが不動産投資を始めるにあたって、最も気になることのひとつとして、不動産投資にどれだけのリスクがあるかということだと思います。

やはり、不動産投資にはある程度の大きな金額が動きますので、後で後悔しないようにどのようなリスクがあるのかを知っておくことが重要になります。

ローンが返済できない!?ローン返済のリスク

ローン返済リスク

最近話題になりました女性専用のシェアハウスの問題は、記憶に新しいところであります。

これは、不動産会社が、投資用不動産のオーナーへ支払われる家賃を「一括定額で保証する」というサブリース契約をオーナーと締結し、空室リスクに対する不安を取り除き安心して不動産投資ができるというビジネスモデルを展開していましたが、サブリース賃料の引き下げと、ついにはサブリース賃料の支払いが停止されてしまいました。

そのため、購入時に受けた金融機関のローンの返済に困ってしまうオーナーさんが大勢いらっしゃいます。

想定した家賃が入らない!?空室のリスク

空室リスクを考える

不動産投資には、常に「空室リスク」が伴います。

当然のことながら、住んでもらう方がいなければ家賃収入がなくなり、金融機関から融資を受けていれば、その返済に充てることができずに、いずれはローンの返済自体が厳しくなってしまうことにもなりかねません。

一棟マンションであれば、一部屋ぐらいの空室であればそのほかの部屋の家賃でもローン返済を賄うことができると思われますが、特にワンルーム投資の場合には、空室になってしまえば家賃収入がまったくなくなってしまいます。

いくらサブリース契約で家賃を保証してもらっているからといっても、現実に上記のような問題が起こってしまします。

これは、不動産投資を始めるにあたって、リスクよりもメリットのほうに目が向いてしまった結果ともいえます。

また、物件を売る不動産会社の方も、営業ですからデメリットよりもメリットをより強調してくる傾向が高いと思われます。

そのため、不動産投資には、どの不動産会社を選ぶかも重要になってきます。

そのような場面に出くわしても、不動産会社の言うことだけに惑わされずに、きちんとデメリットも考え、さまざまな情報を仕入れ、知識を取り入れることが必要となります。

宮﨑 辰也

宮﨑 辰也

司法書士

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