【2021年度版】大家さんのための税制改正
令和2年12月21日に閣議決定された、令和3年度税制改正大綱から、賃貸経営に影響がありそうな税制改正を、ピックアップして解説していきます。
なお、税制改正は、まだ正式に決定されておりませんので、ご注意ください(例年3月の国会承認で決定されます)。
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1.法人税率の軽減の延長
令和3年度の資本金1億円以下の普通法人の実効税率は、下記になります。
所得400万円超800万円以下 23.17%
所得800万円超 33.58%
【解説】
コロナで今後増税が予想される中、法人税率の増税はありませんでした。
むしろ、低い税率のまま推移しています。
ちなみに個人の場合、所得が330万円を超えると、超えた部分の所得税・住民税の税率が30%を超えます。
賃貸経営で戦略的に法人化をしていくのは必須かもしれません。
2.床面積40㎡以上が優遇措置の対象に
(1)住宅ローン控除
②床面積が40㎡以上50㎡未満の家屋にも適用がされます
(原則は、50㎡以上が要件)。
※この場合、合計所得金額1,000万円以下の年にのみ控除の適用があります
(原則は、3,000万円以下)。
(2)直系尊属から住宅取得資金贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の拡大
消費税率10%適用 :1,200万円(現行)⇒ 1,500万円
消費税率10%適用外: 800万円(現行)⇒1,000万円
《省エネ以外住宅》
消費税率10%適用 :700万円(現行) ⇒1,000万円
消費税率10%適用外:300万円(現行) ⇒ 500万円
②受贈者が受けた年分の所得税の合計所得金額が1,000万円以下である場合に限り、床面積要件の下限を40㎡以上(原則は、50㎡以上)に引き下げる。
(3)住宅取得等資金贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例
【解説】
住宅ローン控除などは自宅を購入する方の優遇税制です。
しかし、大家さんにとっては大きな影響になるのではないでしょうか?
というのも、50㎡以上ある賃貸物件は少なく、家族が増えて仕方なく賃貸から広い物件への購入に移行するケースは多いと思います。
減税措置が40㎡以上対象となると、多くの賃貸物件と競合します。
「住宅ローン減税も受けられるし、この際賃貸を辞めて購入しよう」という気持ちになる入居者も増えると予測されます。
40~50㎡の物件を所有している方は、近隣物件以外にも区分マンションが競合になる可能性があります。
なお、自宅購入の優遇税制のうち下記のついての面積要件の改正はありません。
◯住宅を取得した場合の不動産取得税の軽減(50㎡以上240㎡以下)
◯新築住宅を取得した場合の固定資産税の軽減(50㎡※以上280㎡以下)
※賃貸は40㎡以上
◯居住用の買い替え特例の買い替え資産の要件(50㎡以上)
3.土地に係る固定資産税等の負担調整措置
②令和3年度限りの措置として、令和3年度の課税標準額を令和2年度の課税標準額と同額とする。
【解説】
令和2年度の固定資産税が令和3年度に据え置かれることになります。
コロナの影響を配慮して、評価額が上昇しないように、令和2年度税額に据え置かれることになりました。
なお、建物の固定資産税については、コロナの影響によって売上が下がった場合の減免申請があります。
令和3年1月31日までの申請期限になりますので、対象の方は早めに申請しましょう。
売上が下がったことによる税理士など認定経営革新等支援機関の確認が必要になりますので注意してください。
4.延長項目
(1)登録免許税の軽減の特例の延長
下記登記による軽減税率を令和5年(2021年)3月31日まで2年間延長する。
- 土地の売買による移転登記 1.5%(本則2%)
- 土地の信託による移転登記 0.3%(本則0.4%)
(2)不動産取得税の軽減の特例の延長
不動産取得税の課税される宅地を1/2とする特例措置、住宅及び土地の税率を4%から3%とする特例措置を、それぞれ令和6年3月31日まで3年間延長する。
(3)相続登記の登録免許税の免税措置の延長
相続に係る移転登記に対する登録免許税の免税措置について、土地の保存登記を適用対象に加えた上、適用期限を令和4年3月31日まで1年間延長する。
(4)サービス付き高齢者向け住宅の固定資産税及び不動産取得税の軽減
サービス付高齢者向け賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置及び不動産取得税の減額措置を、床面積要件を180㎡以下(現行210㎡以下)に引き下げるなどの措置を加えた上、適用期限を令和5年3月31日まで2年間延長する。
5.まとめ
今回の改正はコロナの影響もあって大きな影響のあるものはありませんでした。
しかし、コロナ支援策によって国の財政悪化のため、今後間違いなく増税になるでしょう。
今後の改正の検討内容として、相続税を回避するために、贈与を分割して行うことによって、相続税の節税が行われていますが、それを防ごうとしています。
毎年110万円を贈与することに何らかの規制が入るかもしれません。
今後どんな改正があったとしても大丈夫なように事前に資金繰りなどの対策をしておく必要があると言えます。
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