不動産投資コラム

不動産投資で節税を目的にしてよい人とは?

税理士・司法書士渡邊 浩滋
不動産投資で節税を目的にしてよい人とは?

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1.不動産投資の目的を明確にしていますか?

不動産投資を始めようとする方で、その目的がはっきりしない方がいらっしゃいます。
「不動産投資で節税したい」
「不動産投資で財産を増やしたい」
どれも本音でしょう。
しかし、目的を明確にせずに、中途半端な不動産投資になってしまっている方をよく見ます。

「節税」「資産形成」は相反する部分があります。
この点をしっかり理解しないまま始めると目的が達成されないことがよくあります。

「節税」にしろ「資産形成」にしろ、最終的には「自由に使えるキャッシュを増やしたい」「財産を増やしたい、もしくは、減らしたくない」ということだと思います。

2.節税で資産が増える人とは?

高所得者で高い税率で課税されているか?


節税というと、「経費」を多くすることをイメージする方が多いと思います。
この経費は支出を伴うことがほとんどです。
支出を伴う経費を使うことで税金は減りますが、お金も減ります。
支出以上に税金は絶対に減らないからです。

これでは財産を減らすだけです。
そこで不動産投資が注目されるのは「減価償却」です。
減価償却は支出はありますが、経費のタイミングを早めることができます。

これを利用して保有している間の高い税金を減らし、売却する時の低い税率を使うことで節税ができます
詳しくはこちらのコラムをご覧ください。

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この節税が成り立つ方は、高い税率で課税されている方。つまり、高所得者です。
細かい条件によって異なりますが、高所得者の条件とは、どのくらいの年収ある方でしょうか?
私の感覚では、年収1,500万円以上です。

年収1,000万円以下では、給与所得控除(サラリーマンの経費とみなしてくれる控除)と所得控除(社会保険料控除、扶養控除など所得から控除してくれるもの)が大きく、高い税率が課税されるほどの所得にならないことが多いのです。

決して年収が低いということではなく、売却時の税率とのギャップが大きくなく、節税額に比べてリスクが見合っていないのではないかと思ってしまうのです。

相続税が多額にかかる財産を持っているか?


不動産投資をする方の中には「相続税の節税」をしたいという方がいらっしゃいます。
たしかに、不動産を購入して賃貸経営すると相続税は下がります。

土地は原則、路線価で評価します。路線価は時価の8割くらいで設定されています。
建物は、固定資産税評価額で評価します。固定資産税評価額は建築費の約4割~7割くらいで評価され、経年による減価が考慮されます。
さらに、賃貸物件だと土地の評価がさらに2割程度下がります(借地権割合によって異なります)。建物は3割減額されます。

現金で所有しているよりも、不動産賃貸物件で所有していたほうが5割~6割評価額が下がることが多いです。

しかし、相続税の節税になったとしても、財産が増えるとは限りません
相続税の節税になったけれども、財産を減らしている方も多いです。

・(借り入れ返済しても)保有している期間のキャッシュが回るのか。
・売却して損が出ないか。

この判断が抜けていることがあるのです。
ある程度損が生じても、相続税が節税になった分で吸収ができます。
しかし、それがどこまでが許容範囲なのかをしっかりと見極める必要があります。

そのために相続税がどのくらい節税になったのかの検証も必要です。
そもそも相続税がほとんどかからない人がやっても意味がないのです。

これらの節税をしてよい人に共通することは、これ以上資産を増やさなくてよい人です。
節税よりももっと資産を増やしたい。税金も多く払うけど資産を多く残したい。という方には当てはまりません。

資産を増やしていくためには、融資を受けて資産を積み上げていくしかないからです。

3.資産を積み上げていくためには


現金で不動産を購入していければよいですが、それではお金が貯まるまで購入できないため、時間がかかります。
融資を利用してレバレッジをかけるしかないのです。
融資を受けるためには、決算書を良くしていくしかありません。
経費を多く取りすぎて、赤字決算にしている会社が融資を受けられない状況をよく見ています。

融資を受け続けるためには、余計な経費を使わずに利益を出すことです。
当然利益が出れば、税金はかかります。
この税金を融資を受けるために必要なコストと割り切れる人だけが、有利な融資を受けられているのです。

4.資産形成のステージなのか、節税のステージなのか

節税を考えてはいけないということではありません。
自分のステージで考えるべきなのです。

もっと資産を増やしたいという資産形成のステージである場合、節税よりも、いかに融資を受けられるか、利益を出していくかに集中するべきです。

資産を充分に築けた、これ以上増やしてしまうと税金も高くなってしまう。将来の相続税の節税もしたい。というステージになったときに、節税目的の不動産を購入していくべきです。

資産形成なのか、節税なのか、ごっちゃになっていると選ぶ物件もバラバラだったり、節税になるからと経費を使いすぎたりします。
自分のステージが今どのなのか明確にしていくことで、不動産投資の目的が達成されるのです。

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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