不動産投資コラム

投資?預金?退職金の使い道とメリットデメリット

行政書士棚田 健大郎
投資?預金?退職金の使い道とメリットデメリット

老後の安定した生活を実現するためには、退職金を切り崩すだけではやや不安が残ります。

前回 に続き、後編となる今回は、退職金の適切な使い道について、メリット、デメリットを踏まえて見ていきましょう。

あわせて読みたい

老後困らないために必要な資金と退職金の基礎知識

【1分で分かる!新築一棟投資の魅力とは?】東京圏・駅徒歩10分圏内の物件紹介はこちら

退職金の使い道 

退職金の使い道としては、主に次のような選択肢があります。
それぞれにメリット、デメリットがありますので、自分にあった使い道を選ぶことが重要です。

定期預金

定期預金

リスクなく安全に運用したい方は、定期預金に退職金を預け入れるという選択肢があります。

定期預金とは、一定期間払い戻しをしないことを条件として、通常の普通預金よりも有利な利息をつけてくれる預金商品です。

定期預金のメリット

定期預金は投資ではないため、元本割れするリスクがなく、安定した運用ができる点がメリットです。

運用先をすぐに決められない方や、とりあえず退職金を保管しておきたい場合などについては、定期預金に預けておくだけで利息を得ることができます。

定期預金のデメリット

定期預金でつく金利は0.2%前後と非常に低いため、ある程度まとまったお金を入れなければ利息はあまり期待できません。

余剰資金を入れておくにはいいのですが、定期預金だけで退職金を運用しても、ほとんど利益は期待できないでしょう。

住宅ローンの繰り上げ返済

繰り上げ返済

退職金を住宅ローンの繰り上げ返済に充てる人も多くいます。

住宅ローン繰り上げ返済のメリット

残りの住宅ローンを完済できれば、以降はローン返済がなくなるため、毎月の出費が大幅に減り、家計がとても楽になります。繰り上げ返済することで、将来発生する予定だった利息の負担もなくなるため、長期的に見るとかなりの出費を削減できたことになるのです。

住宅ローン繰り上げ返済のデメリット

退職金のほとんどを繰り上げ返済につぎ込んでしまうと、手元にほとんどお金が残らなくなってしまうため、突発的な支出が発生した時の資金繰りに不安が残ります。

住宅ローン金利は、マイカーローンやクレジットカードローンなどと比較すると、非常に低い金利なので、急いで繰り上げ返済した後でキャッシュが足りなくなり、別のローンを組んでしまうと、結果として金利が高くなり損をしてしまう可能性があるため注意が必要です。

株式投資や投資信託

株式投資

最近ではNISA(少額投資非課税制度)が導入されたことで、株式投資や投資信託を始める人も増えてきました。

株式投資や投資信託のメリット

NISAを活用すれば、毎年120万円、5年間で最大600万円までの非課税枠が利用できるため、分配金や譲渡益については非課税となります。

最近では、スマホで簡単に株式投資ができるようになったので、とても簡単に始められる点も大きなメリットです。

また、株式投資に自信がない人は、信託銀行の投資信託を利用して、投資の専門家に資金を預けるという選択肢もあります。

株式投資や投資信託のデメリット

株式については株価の変動が激しいため、短い期間で大きな損失を出してしまう可能性があります。老後のための退職金をつぎ込みすぎてしまうと、万が一の時に大きく目減りするデメリットがあるのです。

株式投資を始めることはとても簡単ですが、長期安定的に利益を出すことは難易度がとても高く、一般の方には難しいといえるでしょう。

信託銀行の投資信託を利用すれば、投資のプロが運用してくれるので、株式投資よりはリスク管理ができますが、それでも元本が目減りする可能性は十分ある点、また、手数料がかかるという点にも注意が必要です。

不動産投資

不動産投資

退職金を元手にして、アパート経営やマンション経営などの不動産投資を始める人という選択肢もあります。

不動産投資のメリット

不動産投資は株式投資などほかの投資に比べると、市場価格が比較的安定していて、急激に暴落することは非常に少ないため、投資ではあるものの、一般の方でも長期安定的に運用しやすいというメリットがあります。

実務における賃貸管理についても、専門家である管理会社に委託することができるので、ノウハウがなくても問題ありません。

また、不動産は「インフレに強い」ともいわれています。

将来的にインフレが発生した際に、定期預金や普通預金に貯蓄していると、実際の価値が大幅に目減りしてしまいますが、不動産という実物資産については、インフレが発生しても価格を維持できる可能性が高いのです。

不動産投資のデメリット

不動産投資で得られる家賃収入については、比較的安定していますが、空室や家賃滞納が発生した際は一時的に収入が大きく減ることになります。

また、不動産を維持管理していくためには、一定の修繕費用がかかるため、常にある程度の貯蓄を残しておくことが重要です。

退職してからだと、不動産投資ローンが組みにくくなるため、できれば退職する前から不動産投資を始めて、退職と同時に退職金の一部を使って繰り上げ返済するとよいでしょう。

日本はインフレに向かっている?

退職金の使い道には、さまざまな選択肢があることがお分かりいただけたかと思います。

どの使い道が最適なのかについては、本人の資産状況やライフスタイルなどによっても異なりますが、その時の経済状況についても慎重に見極めることが重要です。

2019年現在においては、安倍政権によるアベノミクスの金融緩和政策、日本銀行黒田総裁による2%の物価上昇目標により、日本はインフレ傾向に向かって進みつつあります。

となると、インフレに強い実物資産である不動産投資がおすすめであるともいえるでしょう。

まとめ

退職金をどのように運用するのかによって、老後の生活は大きく変わってきます。

退職金を運用して利益を出していくことも重要ですが、いきなり株式投資、投資信託、不動産投資などの投資をはじめることには一定のリスクがあることを理解しましょう。

退職してからいきなり始めるのではなく、40代~50代にかけて事前に下準備を始めることがとても重要です。

特に不動産投資については、手元に退職金がない在職中の間でも、ローンを利用して投資を始めることができるので、早めに不動産投資を開始して、退職した段階で退職金の一部を繰り上げ返済に使うなど、安定した家賃収入がある状態で退職日を迎えることができるでしょう。

あわせて読みたい

平均寿命が過去最高。老後の年金や生活費は?

不動産投資を始める世代が知っておくべき「鉄則」

東京圏人口一極集中さらに加速…不動産投資は、立地で決まる。解説本無料プレゼント

棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

記事一覧