不動産投資コラム

デザイナーズ系なのに空室? 失敗する建築計画とは

デザイナーズ系なのに空室? 失敗する建築計画とは

最近では建築家とコラボして建築計画を進めるパターンが流行っています。
戸建て注文住宅以外でも、収益案件・賃貸事業で「デザイナーズ系」の物件を見かけますが、なかなかきわどい計画や、ずっと空室…という物件も目にします。

今回のコラムでは、ホームインスペクターがデザイナーズ系の危ない建築計画について、実際にあった事例をもとに注意点をお伝えします。

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①市場調査をしっかりと行う

建築家の計画する賃貸物件の場合よく耳にするのが「デザインがいいので空室になりづらい」というものです。
しかしながら、今後の賃貸事業はそんなに簡単にはいかないのが明白ですよね。

  • 総人口の減少と人口比率の問題
  • 供給過多による空き家問題
  • 外国人の移民や民泊など

取り巻く環境は大きく変化を見せています。

右肩上がりの経済成長時には、人口も増加し仕事もたくさんあり、働き方も暮らし方もある意味では、決まりきったものが多いので単純に〇室×家賃=〇〇円という収益計算ができたものですが、これからはそうはいきません。

そこで重要視されるのが、「詳細な市場調査による不動産ポテンシャルをきちんと把握した上で事業計画を立案する」ことです。

下記は大手の市場調査レポートの一部です。

市場調査レポート例1

このような調査で、その地域の人口数や年齢、男女比率を把握し、求められている賃貸物件ニーズを探ります。

大手は膨大なデータをもとに、広範囲で様々な角度から空室の出にくい計画を立案していきます。単に「デザインがいい(いいかどうかも別にして)」だけでは、今後の賃貸事業は難しいでしょう…。

上記に伴い、賃貸にどのようなニーズがあるかを把握した上で、間取りや広さを決定することが空室率を下げるポイントです。

②デザイン優先で戸数を計画すると失敗する

部屋数を単に計画しただけでは…という例を挙げます。

下記は、家具配置を考えていないので借り手がなかなか見つけられないパターンです。

不動産募集の図面では寸法線がないのをいいことに、若干スケールアウト(縮尺をいじっている)というひどいケースもあります。
これでは、なかなか募集が集まらず、空室が続けば当初計画していた家賃収入は入ってきませんので計画倒れになってしまいます。

建築物の計画で重要なのは、人の動き(動線)です。

これは注文住宅だからとか賃貸案件だから…ではなく共通している原理原則です。
あくまでも「そこに住む人が主役」ですから、それをないがしろにした建築計画では、いくらデザインが良くても空室の可能性が高くなります。

実際の図面では、寸法を確認し人が歩く・家具を置くなどをシュミレーションした上で計画を進めていくことが重要です。

③大きな欠陥が発見されると事業継続ができないことも

デザイン優先で建築プランを作成していくと、どこかを無理に納めたり、計画しなくてはいけないことがあります。

例えば、高度斜線が厳しいエリアで3階建てを建築したいということで、階高をぎりぎりまで下げて3階建てにするケースを見るのですが、室内の天井高さは出来る限り取りたいものです。

そうすると、天井裏のふところ寸法が少なくなってしまい、設備の配管や配線が通らない!なんていうことになってしまう為、ひどい場合には、写真のように構造の梁に穴をたくさんあけて電気配線を通すなんていうことも目にします。

配線

別の話でよくあるケースは雨漏れです。
写真は、建築家が手掛けた福祉系の建物ですが、雨漏れがひどくカビがひどい状況です。

雨漏りの例1

壁を部分的に解体してみると、内部は…

雨漏りの例2

カビだらけです。
健康被害の恐れもありますので、入所者は受け入れできず事業経営に支障をきたしています。

こういったケースを回避するためにも、第三者の人間を介入させて調べる方が増えてきています

建築計画で失敗しないために

事例をもとにデザイナーズの建築計画の失敗例を紹介してきましたが、失敗しないための注意点は下記の3つです。

1:市場調査をしっかりと行う
2:デザイン優先や計画戸数優先で計画せず、人の動き(導線)を考える
3:大きな欠陥が発見されると事業継続ができなくなるので、場合によっては第三者の介入も検討

デザイナーズ系で収益物件を建物を建てるときの参考にしてください。

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市村 崇
市村 崇

市村 崇

一級建築士

市村 崇

一級建築士

大手ハウスメーカーの現場監督を経て2007年に設計事務所・工務店を設立、10年間で500棟以上の施工管理を行う。現在は(社)住まいと土地の総合相談センター代表理事として、多数のクライアントの相談に乗り厳しい目で現場を検査・インスペクションしている。

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