「レントロール」の見方とチェックポイント[前編]
皆さんは、「レントロール(rent-roll)」というものを耳にしたことはありますか?
投資物件の購入を検討する時、その物件がどのくらいの収益力を持っているかは重要なポイントとなります。そして、その収益力の源となる、テナント(入居者)から支払われる賃料や共益費などが記載された表のことをレントロールといいます。
ここでは、投資物件の購入前に、重要な判断基準となるレントロールの見方と、チェックポイントをご紹介します。
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1.レントロールとは
レントロールとは、テナントの賃貸借契約の状況を一覧表にまとめたものです。家賃明細表といわれる場合もあります。
本来なら、テナントの状況を知ろうと思うと、それぞれの部屋について賃貸借契約書で契約の内容を詳しく読み込まなければなりません。
しかし、全部に目を通すのは大変でしょうし、第一、検討の段階では物件の購入を考えている人に契約書が開示されることはあまりないでしょう。
そこで、賃貸借契約の概要を知ることができるレントロールが役に立つのです。
ただし、レントロールといっても、決まった書式があるわけではなく、書かれている項目も、オーナー(所有者)によってバラバラです。
2.レントロールの内容
レントロールはいったいどのようなものなのでしょうか。その中身を具体的に見ていきたいと思います。
書式はさまざまですが、一般的なものを挙げておきます。
① 階数・号室・現況・用途・入居者
レントロールは階や部屋番号の順に並んでいるのが一般的です。入居中であるか空室であるかはレントロールで判断できます。また、マンションやアパートの場合は、間取り(1K、3LDKなど)、ビルの場合は用途(事務所、店舗など)が書かれています。
入居者名は書かれていないことが多いですが、法人や個人などの属性が書かれていることもあります。
② 賃貸面積
賃貸借の契約面積のことで、㎡(平方メートル)や坪で記載されています。ちなみに、1㎡は0.3025坪に換算できます。
この賃貸面積ですが、事務所などで1フロアまとめて契約されている場合、廊下や洗面所などを含む面積(グロス面積)で記載されていることがあります。1フロアで1テナントになっている場合は、確認してみるとよいでしょう。
③ 賃料
文字どおりテナントから入る賃料です。賃料の横に単価が記載されているものも多く見られます。
なお、現況で空室になっている場合でも、賃料が記載されているものがあります。これは現況では空室なので賃料は入ってこないのですが、貸したらこれくらいになるだろうと想定した賃料を入れているものです。
想定では現況で入居しているテナントの賃料単価の平均を入れていることが多いですが、空室が少なく、賃料が上がっている時期には強めに想定されていたり、逆に、空室が目立つような物件では弱気に設定されていたりします。
④ 共益費
賃料のほかに、共益費として共用部分の水道光熱費、管理費などの意味合いで徴収している場合があります。また、共益費はゼロになっていて、賃料に含まれていることもあります。
また、この共益費ですが、入居検討者の目を引くために、賃料を低く設定するかわりに、共益費を高く設定している場合があります。したがって、他の物件と比較するときは、賃料と共益費を合計して、単価で比べるようにしましょう。
(326,700円+36,300円)÷ 36.3坪=10,000円/坪
⑤ 保証金(敷金)
保証金・敷金はテナントが賃料を払ってくれないなど、オーナーのリスクを担保するためにテナントから支払われるもので、預かり金的な意味合いのものです。したがって、問題なく賃貸借契約が終了した場合、オーナー側からしてみれば、返さなくてはならないものとなります。地域によっては、呼び方、金額の相場、意味合いが異なるので注意が必要です。
また、マンションやアパートにおいて、通常、敷金をとっている物件でも、空室が多いときなどは一時的にキャンペーンとして、ゼロで契約しているものも見られます。
⑥ その他
賃貸借契約の契約期間や契約形態(普通借家なのか、それとも契約の更新がない定期借家なのか)が記載されているものもあります。
それ以外にも、フリーレントなどの特約(賃料免除期間や賃料減額に関する事項)が書かれているものもありますので、目を通すようにしましょう。
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