不動産投資コラム

住宅ローンが残る持ち家①不動産投資は可能?

2018/12/12
行政書士棚田 健大郎
住宅ローンが残る持ち家①不動産投資は可能?

住宅ローンは不動産投資ローンに比べると、非常に金利が低いというメリットがありますが、それにはきちんとした理由があります。

もしも、住宅ローン付きの持ち家を「賃貸」として運用する場合は、一定のルールを守らなければなりません。

そこで今回は、持ち家の賃貸転用が可能なケースと、バレた場合のペナルティについて、2回に分けて解説します。

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住宅ローン付きの持ち家は、基本的に賃貸には出せない

住宅ローンは原則として、ローンを組む本人またはその親族が自ら住む物件を購入、または、建設することを資金使途としています。そのため、不動産投資として賃貸物件を購入するために、住宅ローンを利用することはできません

ですが、一定の条件を満たすことができれば、低金利の住宅ローンを不動産投資に活用することが可能です。

ここでは、住宅ローンを不動産投資に活用できるケースについてご紹介します。

転勤などの事情があれば認められることもある

よくあるケースが「転勤」です。
夢のマイホームを購入したあとに、会社から転勤を告げられた場合、本人の意思とは関係なく引越しをせざるを得なくなる可能性があります。

このようなやむを得ない事情がある場合については、住宅ローンを使っていても、転勤して空家になった自宅を賃貸として運用することが可能です。

ただし、このケースについては当然に可能になるわけではなく、必ず事前に金融機関に対して事情を説明して相談する必要があります。

相談なく勝手に賃貸として運用していて、あとから金融機関にその事実を知られると、ローン契約違反などを指摘される可能性がありますので注意が必要です。

転勤で持ち家を賃貸に

転勤で今の自宅を離れる場合、「転勤先の家賃の支払い」と、「自宅の住宅ローンの返済」という2つの住宅費負担が生じることが懸念されます。

そこで、転勤している間に自宅を賃貸として運用できれば、収益として入ってくる家賃を当面の住宅ローンの返済に充当することができますし、転勤先の住宅費を会社が負担してくれるようであれば、家賃自体がプラスの収入として残るため、家計にとっても大きくプラスになるでしょう。

転勤で自宅を賃貸に出す注意点

自宅を賃貸に出す場合は、次の2つの点に注意が必要です。
ただ、事前に適切な対策を講じることで、どちらのデメリットについても回避することができます。

賃貸管理という業務が発生すること

自宅を賃貸に出すということは、転勤による偶然とはいえ、することは「賃貸経営」です。

そのため、賃貸募集や入居中の管理、建物設備の維持修繕対応などの「賃貸管理業務」についても責任をもって対応しなければなりません。

ところが、転勤によって自宅を賃貸に出す場合は、そもそも遠くに引越しているわけですから、物件現地で問題が発生しても、すぐに駆けつけて対応することは難しいでしょう。

対策:賃貸管理は管理会社に委託する

転勤中の賃貸管理を自ら対応することは、現実的に考えてかなりの負担となります。

そこで、賃貸管理をしている管理会社に管理を委託することで、本来所有者が行うべき賃貸管理業務の多くを、管理会社に対応してもらうことが可能です。

毎月一定の管理料はかかりますが、もともとは自己居住用として購入しているわけですから、家賃収入が入れば多少の管理料を支払ったとしても、プロに管理委託したほうがよいでしょう。

転勤から戻った時の明け渡し

転勤が理由で自宅を賃貸に出す際には、将来的に転勤が終わって自らが自宅に戻ってくることも想定しておく必要があります。

通常、賃貸物件の契約には「普通賃貸借契約」という形態がとられますが、普通賃貸借契約で自宅を賃貸してしまうと、賃借人がそこに住み続けたいという意思がある限り、原則として退去してもらうことができません

そのため、転勤が終わって自宅に戻りたいと思っても、賃借人が契約継続を希望する限りは、自宅に戻れなくなってしまうのです。

対策:定期借家契約で賃貸する

転勤が理由で賃貸に出す場合は、「定期借家契約」という形態をとることをおすすめします。

定期借家契約とは、あらかじめ期間を定めて賃貸することで、その期間が終了した際には、更新されずに契約が終了します。転勤が終わる頃を目安に期間を定めて契約をすることで、問題なく自宅に戻ってくることができるのです。

ただし、定期借家契約は普通賃貸借契約よりも取り交わす書類が多く、対応していない不動産会社もあるため、賃貸募集をする前に確認しておく必要があるでしょう。

住宅ローンを完済すれば自宅を賃貸に出せる

住宅ローン完済
住宅ローンの返済中については、住宅ローン契約の条項に従って、建物自体を自己居住用として使用しなければなりません。ただ、住宅ローンさえ完済してしまえば、金融機関からの制限がなくなるため、すぐにでも賃貸物件として運用することが可能です。

例えば、マイホームとして住宅ローンで購入してしばらく居住したあと、賃貸として運用したくなった場合は、残っている住宅ローン残高を一括返済するなどして完済すれば、問題なく賃貸として運用ができます

住宅ローンで不動産投資ができる「賃貸併用住宅」とは?

賃貸併用住宅とは、戸建住宅と賃貸物件を組み合わせた建物のことをいいます。

一般的に賃貸物件というと、アパートやマンションなどのように建物のすべてが賃貸として運用されているケースが多いのですが、賃貸併用住宅については住宅の一部のみ賃貸として運用し、あとは自己使用することから、住宅ローンの利用が可能です。

ただし、賃貸併用住宅で住宅ローンを利用するためには、「建物の床面積の50%以上が自己居住用であること」が条件となります。

賃貸部分の床面積の割合が50%を超えてしまう場合については、賃貸部分と自己居住用部分とを分けて登記することで、それぞれに対応する価格について、不動産投資ローンと住宅ローンの2本でローンを組むことも可能です。

ここまでは、住宅ローン付きの持ち家で不動産投資ができるケースやポイントについて触れてきました。

後半 は、上記のようなケースにはあてはまらないにも関わらず、勝手に不動産投資に利用して金融機関にバレてしまった場合に、どのような状況に陥るのかについて解説していきます。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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