不動産投資コラム

サラリーマンでも簡単!民泊投資の実務のポイント

行政書士棚田 健大郎
サラリーマンでも簡単!民泊投資の実務のポイント

連載最終回となる今回は、実際に民泊を営業するにあたっての実務的な部分にスポットをあてて解説していきたいと思います。

自分自身で民泊を始めてみたいと考えた場合、まず気になるのが実際の運営方法です。

例えば、予約の管理やチェックイン、チェックアウトはどのように行うのでしょうか。
また、民泊の場合、通常の賃貸経営とは違い、1ヶ月の間に何度も利用者が入れ替わりますが、その間の清掃はどうすればよいのでしょうか。

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民泊の実務は、管理委託でプロに任せる

民泊の運営は、住宅宿泊管理業者(以下、管理業者とします)という民泊のプロにまるごと委託することができます。

管理業者は利用者の募集や宿泊者名簿の管理、チェックイン、チェックアウトの手続き、利用方法の説明、清掃の手配など民泊に必要な業務のすべてをまるごと委託できるため、投資家としては特段やることはない、といってもよいくらいで、いわば、賃貸管理を管理会社に任せているのと同じような状態です。

管理料の相場とは

管理業者に委託するとなると、気になるのが管理料です。
民泊の管理業者はまだ賃貸の管理業者程多くはないため、はっきりとした相場は確立されていませんが、概ね月間の収益に対して10%~20%くらいが相場のようです。

稼働率がよければなんとか許容範囲といえますが、さらに利回りを良くしたい場合は、次のような方法もあります。

清掃業務以外は自分で対応

清掃

民泊営業において最も大変なのが、入退室ごとの清掃業務です。
管理料を節約するためにすべて自分で管理するとなると、毎週物件まで出向いて掃除をしなければならず、サラリーマン大家などではとても難しいでしょう。

そこで、民泊専門に清掃業務を請け負っている業者に清掃業務のみ依頼をし、後の募集業務やチェックイン、チェックアウトだけ自分で行うという方法で、管理業者に丸投げする時よりも経費を削減することが可能です。

Airbnbを活用すれば意外と自分でできる

初心者大家でも、民泊仲介サイトなどを活用すれば、募集業務やチェックイン、チェックアウトは意外と簡単です。例えば、民泊仲介サイト大手のAirbnbでは、宿泊予約から代金決済、チェックイン、チェックアウトについてもすべてウェブ上で完結します。

大家としては、利用者が退去する日に合わせて清掃業者を手配しておくだけで大丈夫です。

通常、普通賃貸借の場合については、不動産業者や大家が手渡しで物件の鍵を引き渡す必要がありますが、民泊の場合は玄関に暗証番号でロックする鍵を取り付けることで、決済後に利用者に暗証番号を教えて、チェックインすることが可能になります。

このような手法を「セルフチェックイン」といいます。
また、チェックアウトについては、そのまま退室してもらい、後は清掃業者が室内を確認して清掃すれば、すぐにまた次の利用者に貸し出すことが可能です。

サブリースという選択肢もある

自ら民泊営業をすることが不安という場合は、通常の賃貸と同じように一定の収益を保証してくれるサブリースという選択肢もあります。

保証される金額は、通常営業する場合の8~9割ほどにはなりますが、常に安定した収入が確保できるため返済の目処が立ちやすく、安心して投資ができるところがメリットです。

また、実務についても投資家はノータッチとなるため、民泊特有の知識は不要で、運営についてはすべてサブリース業者にお願いすることになります。

「かぼちゃの馬車」の一件

サブリースというと、どうしても思い出されるのが「かぼちゃの馬車」の一件です。

「頭金なし、30年間家賃収入を保証」
「家賃0円・空室有でも儲かる投資」

これらの謳い文句で、多くの投資家を結果的に裏切る形となったかぼちゃの馬車事件では、スルガ銀行からフルローンで融資を受けたものの、実際はすべて空室といったとんでもない状況が発生していました。

これはサブリースという契約自体が悪いのではなく、サブリースという言葉だけに魅力を感じてしまい、実際の立地条件における賃貸需要の市場調査などを怠ったことに問題があるのです。

家賃保証は安心を買うものではありますが、リスクを見極めることがとても重要といえます。

民泊実務成功のポイントとは?

民泊投資で成功していくためには、通常の賃貸経営とは違ったノウハウが求められます。では、民泊実務において具体的にどのようなことがポイントとなるのでしょうか。

民泊は口コミが生命線

民泊口コミ

民泊経営が通常の賃貸経営と大きく異なる点、それは利用者の「口コミ」が大きく収益に影響するということです。

通常のアパートやマンションで賃貸経営している場合、ユーザーが重要視するのは間取りや設備、立地などの条件面です。一方で、民泊のユーザーが重要視するのは、実際に利用した人の「口コミ」になります。

というのも、民泊の事業者の多くは個人の大家であり、ホテルや旅館のような会社が運営しているわけではないため、本当に信頼して良いのかという警戒心強いのです。

そこでユーザーが参考にするのが「口コミ」です。
例えばAirbnbの場合であれば、大家であるホストを利用者であるユーザーが5段階で評価できるようになっており、これから利用するユーザーの一つの指標となっています。

また、外国人利用者が多いため、口コミも英語など外国語で書かれていることも多いのですが、これらを翻訳して表示してくれるため、あらゆる国の利用者の感想を確認することができるのです。

民泊の口コミにおいて重要な点を、以下にまとめてみました。

  • 室内の清潔感
  • 募集写真に比べて期待はずれではないか
  • 記載されている設備がきちんと完備しているか
  • トラブル発生時の対応が早いか

これらの点については、ユーザーから直接評価を受けることになり、収益にも直接的に影響してくるため、特に気をつけるべきでしょう。

外国語による表記が必要

インバウンド需要を狙って民泊事業を始める以上、ユーザーが外国人であることを想定する必要があります。

以前、民泊利用者の素行の悪さが、社会問題としてニュースなどで大きく取り上げられたことがあるように、外国人に宿泊中のルールを守らせることは簡単ではありません。

そこで、民泊を営業する際には、室内に据え置く利用の手引きなどについて、すべて外国語でも表記しておく必要があります。

外国語とは英語に限らず、中国人利用者が多い地域であれば中国語、韓国人利用者が多い地域であれば韓国語、といった形で、利用者の属性を考えて判断しましょう。

まとめ:民泊は将来性のある魅力的な投資先

民泊新法の施行により、今後政府はインバウンド需要を取り込むための重要な受け皿として、民泊の推進に力を入れていくと思われます。

180日という営業日数制限で、スタートは出鼻をくじかれた感がありますが、それでも旅館業法に基づいて通年での民泊営業を始められれば、むしろライバルが減っている今がチャンスとも考えられるでしょう。

また、最近では民泊営業を前提としてアパートほどの規模の「ミニホテル」を建てるという投資法も注目を集め始めています。

住宅や既存の賃貸物件を民泊に転用するのとは違い、当初から民泊営業目的で建てるため、要件を満たすことが簡単です。また、民泊をやめれば通常のアパートとしても賃貸経営が可能になります。

このように、民泊はまだまだ成長途上の事業ですが、空家問題が取り沙汰される通常の賃貸経営よりも、上昇していくインバウンド需要を取り込める民泊経営の方が、のびしろがある投資先となるでしょう。

投資の一つの選択肢として「民泊」を検討してみてはいかがでしょうか。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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