不動産投資コラム

2020年統計結果/コロナ禍で地方移住は進んだ?

2020年統計結果/コロナ禍で地方移住は進んだ?

新型コロナウイルス感染症の第3波により、2021年1月8日に一都三県に対し緊急事態宣言が発出、その後、一都三県では期間が1ヵ月延長されています(東海2県、近畿3府県、福岡県については、2021年2月28日で解除)。

外出自粛が求められる中、リモートワークを取り入れる企業が急速に増えています。
結果として、在宅で仕事をする人が多くなり、自宅で仕事用のスペースを確保したいというとニーズがこれまで以上に増している状況です。

一方で、家賃や地価の高い都心部では、そう簡単に広い住居に移ることはできません。
そこで、比較的スペースの確保がしやすい都心部郊外や地方に移住する人が増えるのではないかといわれています。
コロナ禍といわれて1年ほど経ちますが、実際のところ、郊外や地方への移住の動きはでてきているのでしょうか。

今回は、先日発表されました人の移動に関する統計について紹介したいと思います。
あわせて、住環境の変化についてのアンケート結果も公表されていましたので、取り上げてみたいと思います。

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実際この1年で移住する人は増えた?

先日、2020年の「住民基本台帳人口移動報告」が公表されました。
これは、総務省統計局が住民基本台帳法の規定により市町村に届出等のあった転入者の日本国内の移動に係る情報を集計したものです。

まず、月別の市区町村間移動者数を前年と比べてみると、1月及び2月の減少から3月は増加となったものの、1回目の緊急事態宣言が発出された4月は減少に転じ、5月は11万7628人(28.1%)の減少と、比較可能な2014年7月以降で最も大きな減少幅となっています。
その後、6月は増加に転じたものの、7月から10月までは再び減少に転じ、11月及び12月は増加となっています。
緊急事態宣言の影響を受け、大幅に移動者数が落ち込んだ後、回復していることが分かります。

このように、移動した人が多かった月もありますが、年間を通しては、前年に比べて市区町村間移動者数自体は少なかったといえます。

月別移動者数内訳

次に、転入者数から転出者数を引いた転入超過数を都道府県別に見てみましょう。
東京都が31,125人と最も多く、次いで神奈川県(29,574人)、埼玉県(24,271人)、千葉県、大阪府、福岡県、沖縄県及び滋賀県の8都府県で転入超過となっています。
前年に比べ転入超過数が拡大しているのは4府県で、最も拡大しているのは大阪府 (5,292人)となっています。

最も転入超過数が縮小しているのは東京都(51,857人)となっています。
さらに、グラフの2020年の下半期をみると、東京都は、転出超過の月のほうが多くなっています

他方で、千葉県の転入超過数は9,538人(2019年)→14,273人(2020年)と増加、神奈川県は29,609人(2019年)、29,574人(2020年)とほぼ横ばいとなっており、東京都の周辺では比較的人口は堅調に推移しています。

このことから、東京都は年間では転入超過が維持されたものの、コロナの感染拡大を境にして直近では転出超過の月もあり、東京一極集中の流れが急激に弱まってきていることが分かります。

東京圏月別転入超過数

次に転入超過数が多い上位20位までの市町村を見てみると、大阪市が1位となっています。
前年、東京都特別区部が1位でしたので、順位が逆転しています。

大阪市の転入超過数は1,681人(2019年)→3,040人(2020年)となっており、大阪市への人口流入が進んでいるようです。
ちなみに、大阪府として見た場合は、転入超過数は5,676人(2019年)→ 5,292人(2020年)と減少しています。

転入超過数上位20市町村

続けて、都市部以外に目を向けてみます。
昨今の少子高齢化によって人口減少が進む地方において、反対に人口が増えているところはあるのでしょうか。

転入超過数の多い上位20町村を見てみると、長野県軽井沢町(567人)が最も多く、次いで、茨城県阿見町(475人)、熊本県菊陽町(382人)などとなっています。
地方の移住先として長野県は人気が高いですが、軽井沢町の転入超過数が大幅に増えています。

コロナの影響により、これまで以上に注目されるようになった地方移住。
地方移住の流れが加速したというのはまだ尚早ですが、リモートワークの普及などによって、人口の推移に変化が生じているのは確かなようです。

地方転入超過数上位20町村

住環境の意識変化に関するアンケート

次に、新型コロナによる環境の変化で、住宅に関する意識がどのように変わったのかを見てみましょう。

先日、auじぶん銀行株式会社による「ビジネスパーソンの住宅事情に関するアンケート」という調査結果が発表されていました。
その中の「リモートワークと住環境の意識変化」という項目で、家を決める際のポイントが象徴的でしたので、紹介させていただきます。

「現在の住宅に決めた際、何を意識しましたか」という質問では、「駅からの距離の近さ」が62.2%と一番多く、2番目が「広さ・間取り」50.4%でした。

これが、「コロナ禍の影響を受けてリモートワークを経験して、もし今転居するとしたら住宅選びにあたって何を意識しますか」という質問では、1番が「広さ・間取り」の52.0%で、2番が「駅からの距離の近さ」の49.6%となり、逆転しています。

他にも「職場へのアクセスの良さ」「都心へのアクセスの良さ」を求める人がコロナ禍の影響を受けたあとは少なくなっています。
外出する機会が減り、駅からの距離よりも、リモートワークをするために、広さ・間取りを確保したいとの意見が多くなっているようです。
「仕事部屋(48.6%)」が欲しい理由としては、「集中できない」、「生活と仕事を分けたい」という意見がありました。

住宅意識アンケート1
住宅意識アンケート2

次に、「コロナ前の希望の間取り」と「コロナ後の希望の間取り」の質問です。
「1K」を希望する人が大きく減り、「1DK」や「4LDK」を希望する人が増えています。
これは生活空間に加え、仕事をする空間を望む人が増えているということなのでしょう。

コロナ前後間取り希望

●調査概要
・調査テーマ:ビジネスパーソンの住宅事情に関するアンケート
・調査方法 :ウェブアンケート調査
・調査対象者:ビジネスパーソン男女 計500名(20代~40代)
・調査実施日:2020年10月30日~11月4日
・調査主体 :auじぶん銀行株式会社

auじぶん銀行株式会社「ビジネスパーソンの住宅事情に関するアンケート」

このようにコロナ禍によって、住まいを選ぶときに重視するポイントが変わってきています。
これに関連して、今後、住まいの種類(戸建、マンション)についても、地方移住の傾向と同様に注視する必要がありそうです。

You Tube動画:「2020年 新型コロナで地方移住は進んだ!?」はこちら

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堀田 直紀
堀田 直紀

堀田 直紀

不動産鑑定士・宅地建物取引士

堀田 直紀

不動産鑑定士・宅地建物取引士

不動産鑑定士試験合格後、民間最大手の大和不動産鑑定株式会社にて約11年間、収益物件をはじめとした鑑定評価業務に従事。平成29年10月、ミッドポイント不動産鑑定株式会社を設立。

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