不動産投資コラム

不動産評価にも今後影響?「ESG不動産投資」とは

2020/02/16
不動産評価にも今後影響?「ESG不動産投資」とは

投資というと利回り等の「収益性」を優先して投資先を選定するのが一般的ですが、近年は投資を通して環境問題、社会問題、企業統治などの要因についても考慮して投資をするという「責任投資原則(PRI)」の考え方が世界的に拡大しています。

PRIは国連が2005年に公表しており、環境問題(Environment)や社会問題(Social)、企業統治(Governance)の3つに配慮した投資のことを、頭文字をとってESG投資、不動産投資においてはESG不動産投資といい、日本でも推進に向けて近年動きがあるようです。

そこで今回はESG投資の流れが日本の不動産投資に与える影響について考えてみたいと思います。

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ESG不動産・ESG投資をわかりやすく

不動産投資をする際には、基本的にリスクとリターンの2点を比較検討して投資物件を選定するやり方が主流ですが、ESG投資の考え方はこの2点の軸に加えて第3の軸である「社会的なインパクト」についても投資家が意識すべきとしています。

わかりやすい表現に例えると要するに「世のため人のためになることを意識して投資先を検討しましょう」ということです。

考慮すべき5つのポイント

ESG投資で考慮すべきとされている項目は、主に以下の5つです。

  • 気候変動への対応:環境にやさしい省エネに配慮した建築物など
  • 健康性、快適性の向上:利用者の健康面に配慮した建築物など
  • 地域社会、経済への寄与:地域社会に貢献できる公共性のある建築物など
  • 災害への対応:耐震性能の確保など災害対策がとれた建築物など
  • 超少子高齢化への対応:高齢者施設や保育所などに関連する建築物など

このように、どれをとってもこれからの日本において重要と考えられる課題ばかりです。
確かにこれらに配慮して投資することは社会的に意義のあることですが、一方で投資家として気になるのは「収益性」でしょう。
では、ESG投資の考え方は不動産投資の収益性に対してどのように影響するのでしょうか。

ESGの認証制度で不動産価格に大きな影響

ESG投資の考え方を広めるためには、ESGに対する取り組みの「見える化」がとても重要になります。

そこで国土交通省では、ESG投資の普及促進に向けてESGの認証制度についての検討にのり出しました。
ESGに対する配慮について複数の項目で評価認証することで、ESGに対して配慮している不動産なのかどうか簡単にわかるようにすることが狙いです。

ESGの認証結果を不動産鑑定評価にも考慮することが検討されているため、将来的にはESG評価が高い物件の資産価値が市場でも高く取引される時代になることが予想されます。

認証制度に考慮される3つのポイント

認証制度で評価される項目は次の3つに分類されます。

1.基本性能

不動産自体の基本的な性能を、さらに次の3つに区分して評価します。

健康性、快適性

快適に仕事ができる天井高や、自然を取り入れた空間つくり、遮音性能、空調機能、リフレッシュできる空間、健康に配慮した家具の設置などを総合的に評価します。

利便性

どこでもインターネット通信ができる環境など、ITやコミュニケーションに関連する設備や空間について評価します。

安全性

耐震性能やセキュリティシステムについて評価します。

2.運営管理

定期的な室内の環境調査の実施や利用者の満足度調査、電子掲示板の設置、災害訓練など運営面での充実度について評価します。

3.プログラム

利用者同士の運動促進や交流、地域イベントの実施などについて評価します。

これまでの不動産投資は、リスクとリターンに基づく「収益性」が投資先の選定において最優先されてきましたが、今後ESGの評価が不動産価値そのものに影響を与える枠組みができると、上記の評価を踏まえて総合的な判断が必要になるでしょう。

ESG投資で不動産の本質が評価される時代になる

現在検討されているESG投資の評価基準については、主にオフィスビルを対象としたものですが、今後はマンションやアパートなどにも波及していく可能性が考えられます。

個人投資家が不動産投資をする際には「利回り」を重要視しますが、今後はそれに加えてESGの評価についても数値で比較する時代が来るかもしれません。

ESG投資

これまでもESGの考え方については世界的に重要視されていましたが、ESGへの配慮が物件ごとに不明確だったこと、そしてESGへの配慮が不動産価値に直接的に影響を及ぼす仕組みが構築されていなかったために、日本の不動産投資ではそこまで重要視されていませんでした。

特にマンションやアパートに投資している個人投資家の方については、ESGを気にしたことすらあまりないのではないでしょうか。
将来的にESGの波及の影響は、賃貸物件まで及んでくる可能性があるかもしれません。

ESGへの配慮が融資審査にも影響する!?

ESGの認証が不動産鑑定評価にも影響するとなると、不動産に融資をする金融機関のローン審査にも影響を与える可能性が考えられます。

投資物件のローン審査では、本人の年収や勤務先などの属性以外にも購入する物件自体の「担保評価」が大きく影響するため、今後はESGへの配慮がある物件の方がローンが通りやすくなる可能性があるでしょう。

省エネと災害対策

マンションやアパートでESGに配慮するとなると、考えられるのが省エネと災害対策です。
省エネについては太陽光パネルの設置などが考えられますし、災害対策については地震だけではなく、台風や集中豪雨から住民を守るための設備の導入や設計上の工夫が求められます。

まとめ

これまでESGへの配慮については、不動産価値に反映される仕組みがありませんでしたが、今後認証制度が確立して不動産鑑定評価にも反映されるようになれば、ESGへの配慮が資産価値の重要な指標となるでしょう。

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棚田 健大郎
棚田 健大郎

棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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