不動産投資コラム

中部圏にどう影響?スーパー・メガリージョン構想

中部圏にどう影響?スーパー・メガリージョン構想

国土交通省 参考資料より抜粋

リニア中央新幹線の開業を契機として、首都圏・中部圏・関西圏をひとつの巨大な圏域とする「スーパー・メガリージョン構想」。インベストオンラインでもこれまで度々ご紹介してきました。

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今回はこの「スーパー・メガリージョン構想」が不動産市場にどのような影響をもたらす可能性があるのか、不動産鑑定士の目線で、前後編2回にわたって考えたいと思います。

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「スーパー・メガリージョン構想(SMR)」とは

まずは「スーパー・メガリージョン構想」について、簡単におさらいです。
これは、現在建設中のリニア中央新幹線の開業によって、首都圏・中部圏・関西圏の三大都市圏が約1時間で結ばれ、世界中からヒト、モノ、カネ、情報を引きつけ、世界を先導する巨大都市圏とする構想のことです。
このエリアを生活圏とする人口は約6500万人となり、世界最大級の巨大都市圏が誕生します。

この構想は、日本経済を支える壮大なものですので、その影響を予測することは容易ではありません。
そこで、今回は2027年に先行して「品川-名古屋」間の開業が予定されているので、いち早く影響が現れるであろう中部圏に焦点を当てて話をしていきたいと思います。

中部圏(名古屋圏)の特徴

中部圏は、三大都市圏の中心、本州のほぼ中央に位置し、「名古屋」駅を起点とした圏域です。

この圏域から2時間でアクセスすることができる人口(2時間交流圏人口)は、リニア中央新幹線の全線が開業した時点で約8,300万人と最大規模になると試算されています。

中部圏は首都圏、関西圏の間に位置するというメリットが大きく、どこへ行くにも利便性が高いというのが特徴です。

リニア開業後
国土交通省 参考資料より抜粋

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「名古屋」駅のポテンシャル

中部圏の中心となる「名古屋」駅は、現在でもJR新幹線・在来線、地下鉄、私鉄など複数の鉄道路線が集結する一大ターミナルとなっています。
そして、リニア中央新幹線開業後は「名古屋」駅を拠点として、広域的な人の流れが形成されることになります。

リニア中央新幹線の開業は、東京-大阪間の移動の時間的短縮になるだけではありません。
インバウンドに大人気の高山などを巡る広域観光周遊ルートである「昇龍道」、伊勢神宮をはじめとする伊勢志摩方面への観光、トヨタ自動車のお膝元である豊田市周辺へのアクセス性の向上など、さまざまな好影響を与えると予想されます。

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「スーパー・メガリージョン構想」による影響

この構想の実現によって、さまざまな影響が考えられますが、私は個人的に次のように予想します。

首都圏で働き、中部圏に暮らす

まず、中部圏に実際に住んでいて感じるのは、とても住みやすいということがあげられます。

よく名古屋の人は「都会過ぎず、田舎過ぎず」という言葉でこの地方を表現します。
悪く言えば中途半端、魅力に乏しいとも言えますが、住むにはちょうど良いのではないかと思います。

何より魅力的なのは、住まいを借りる場合の家賃や分譲マンションを購入する場合のコストが首都圏などと比べると、比較にならないほど安いところです。

例えば、2LDKの賃貸マンションで比較すると、「品川」駅周辺の賃料は27.3万円、「名古屋」駅周辺の賃料は13.3万円と、約5割の水準となっています。


賃貸マンション 家賃比較

品川駅周辺 名古屋駅周辺
1K 10.27万円 6万円
2LDK 27.3万円 13.3万円

検索条件/間取り1K or 2LDK、駅徒歩10分以内、築年数5~10年
2019年6月時点/編集部調べ。

販売戸数や、仕様なども異なるので一概には言うことはできないのですが、「品川」駅周辺の新築マンションの分譲単価も約327万円/坪、「名古屋」駅周辺では約155万円/坪と、約5割の水準となっています。


新築分譲マンション 分譲単価比較

品川駅 名古屋駅
平均価格 6,886万円 2,876万円
平均面積 69㎡ 60㎡
平均坪単価 327.3万円 155.4万円

成約期間:2018年6月~2019年6月/編集部調べ

このように家賃や分譲価格を比較すると、住まいにかかるコストの差は歴然としています。

人々の暮らしに変化をもたらすスーパー・メガリージョン

これまでは、家賃や分譲価格がいくら安いといっても、勤務先が東京にある以上、中部圏から通勤するというのはあまり現実的ではありませんでした。

しかし、リニア中央新幹線で、「品川-名古屋」間が開業したら、名古屋に住みながら、都内の勤務先に通うという選択肢も出てくると思います。
「名古屋」駅から「品川」駅までは約40分、新聞を読みながら、快適に座って通勤できるというのは魅力ではないでしょうか。また、昨今の「働き方改革」の流れで、テレワーク(在宅勤務)も普及しつつあり、毎日会社に顔を出さなければならないという勤務形態も一般的ではなくなっていくでしょう。

リニア通勤

住まいの拠点は、住居費の安い中部圏に構え、週に数回リニアで首都圏に通勤というのも十分考えられると思います。
さらに、家族が中部圏にお住まいの方で、東京に単身赴任している方もいらっしゃるでしょう。通勤が可能になることで、家族と一緒に住むことができ、育児や介護にも積極的に参加することができるようになります。

そのうえ、二重に世帯を構える必要がなくなる分、交通費を考慮したとしても、コスト的なメリットは大きいのではないかと思われます。

このように、リニアの開業は、スーパー・メガリージョンの人々の暮らしに変化をもたらすのではないかと予想されます。

投資目線で考えた場合でも、人々の流れを予想することは重要です。人口の減少が明らかな社会にあって、この圏域では一定の住宅需要があるものと思われます。

この構想による変化は「名古屋」駅周辺に限ったことではありません。
リニア中央新幹線の中間駅の「(仮称)岐阜県駅」(中津川市)、「(仮称)長野県駅」(飯田市)においては、戸建住宅も低価格で販売されています。
自然環境の豊かな地域に住みつつ、都心に通勤するといったライフスタイルの実現も可能となるでしょう。

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堀田 直紀
堀田 直紀

堀田 直紀

不動産鑑定士

堀田 直紀

不動産鑑定士

不動産鑑定士試験合格後、民間最大手の大和不動産鑑定株式会社にて約11年間、収益物件をはじめとした鑑定評価業務に従事。平成29年10月、ミッドポイント不動産鑑定株式会社を設立。

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