繰り上げ返済をすると相続税は上がる?
20年前に相続税対策でマンション建築しました。年々税金が高くなって、資金繰りが厳しくなっています。
借金を早く返済してしまいたいのですが、借金を返済すると相続税が高くなってしまうので、どうすればよいか悩んでいます。
繰り上げ返済をしても相続税は高くなりません。
借入金を返済しても相続税は高くなりません。
手元の現金を残しておくか、銀行に返済してしまうかの違いなので、総財産は変わらないからです。
銀行マンや不動産業社さんにも間違った認識をして、間違ったアドバイスをされている方がいるようですので、気をつけてください。
言葉だけではわかりづらいので、具体例で考えてみます。
現状
資産 | 借入金 | 正味の財産 |
---|---|---|
現金 1億円 | 借入金 3億円 | 0円 |
不動産 2億円 | ||
合計 3億円 |
財産3億円に対し、借入金3億円あるので、差引0円。相続税はかからない状況です。
繰り上げ返済後
上記の現金1億円を繰り上げ返済すると、
資産 | 借入金 | 正味の財産 |
---|---|---|
不動産 2億円 | 借入金 2億円 (3億円-1億円) |
0円 |
合計 2億円 |
財産2億円に対し、借入金2億円あるので、差引0円。
同じく相続税はかかりません。
借入金を返済すると、財産からの控除額が減ることになりますが、資産も減ることになるため変わらないのです。
相続税が減るのは、(借り入れをして)現金が、評価の低い不動産に変わるからです。すでに不動産に変わった後は、繰り上げ返済しても変わりません。
ですから、返済がきついのであれば、繰り上げ返済することは有効です。
高い金利を払っているくらいなら、繰り上げ返済することによる効果は大きいです。
2018/09/04
不動産投資は、立地で決まる。人口動向や賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは
回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士