不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

アパートの敷地に電動キックボードのポート設置。固定資産税上がるの?

アパートの敷地の一部に電動キックボードのポートを設置しています。

先日、市役所より固定資産税の住宅用地等の申告書のご提出について(依頼)という文章が届きました。

電動キックボードのポートとして利用している部分は、居住者以外の方も利用されることから住宅用地にはあたらないため、利用している地積(面積)を教えろとのことです。

固定資産税が高くなるのでしょうか?
何か抗弁する余地はあるのでしょうか?

電動キックボードのポートは住宅用地から外れる可能性あり

最近、LUUPを始めとする電動キックボードのポート利用についての調査が多くなってきています。

市役所が「住宅用地に当たらない」と判断すれば、その部分は住宅用地の特例の対象から外れ、当該面積分の固定資産税は増える可能性が高くなります。

住宅用地の軽減とは、税負担が大きくならないように住居1戸につき200㎡以下の部分(小規模住宅)について、固定資産税の評価を1/6、都市計画税の評価を1/3にする特例です。

この特例がなくなることで、固定資産税が上がることになります。
ただし、ポートとして利用している面積部分なので、大きな増税にはならないと思われます。

抗弁する余地があるとすれば、以下が考えられます。

(1)居住者専用にする

住宅用地の軽減は、家屋の敷地部分だけでなく、家屋と一体利用している土地も対象になります。
例えば、アパートの敷地内にある駐車場を考えみましょう。

アパートの隣地を、入居者以外でも借りられる「貸し駐車場」にしているのでは、軽減の対象になりません。
しかし、「入居者専用の駐車場」にすることで、軽減の対象になるのです。

これに電動キックボードのポートも当てはめれば、入居者専用にすることで軽減の対象になるということになります。
しかしサービスの性質上、多くの利用者に利用できるようにすることを目的としていると思われるため、入居者専用にするのは難しいかもしれません。

(2)1月1日にはポートの設置はなかったと主張する

賦課期日である1月1日時点における現況が課税対象となります。
1月1日時点はポートの設置が存在していなかったことを主張することで軽減の対象となります。
ただし、年末までに撤去しないと翌年、軽減が外れてしまうことに注意しなければなりません。

(3)全体からすると僅少あることを主張する

固定資産評価基準第1章第1節には、次の規定があります。

「土地の地目の認定に当たっては、当該土地の現況及び利用目的に重点を置き、部分的に僅少の差異の存するときであっても、土地全体としての状況を観察して認定するものとする」

利用がわかれていても全体からみると僅少であれば、一体で評価するということです。
アパートの敷地の全体からすると、わずかの面積であることを主張することで、全体で住宅用地と認める余地はあるのではないかと考えます。

ただし、この規定は地目の認定であって住宅用地の特例の認定についての規定ではないため、適用できないと判断される可能性があります。

2025/11/14

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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