不動産投資コラム

ワンルーム投資はお手軽だけど危険? [前編]

2018/05/25
行政書士棚田 健大郎
ワンルーム投資はお手軽だけど危険? [前編]

アパート1棟を建てるよりも、少ない金額で手軽に始められることから、サラリーマンを中心に注目を集めているのが「ワンルーム投資」です。
マンションの一室を所有することから、「区分投資」や「区分所有」、「区分マンション投資」ともいいます。

ただ、ワンルーム投資は初心者にはリスクが高いとか、危険だというような噂もときどき耳にすることから、躊躇している人もいるようです。
そこで今回は、ワンルーム投資に関するブログ、詐欺、ローン、利回り、金利などあらゆる情報を分析しながら、ワンルーム投資のリスクや危険性、そして成功するためのポイントなどについて解説したいと思います。
ワンルーム投資に少しでも興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

1.そもそもワンルーム投資とは?

ワンルーム投資とは、間取りがワンルームの分譲マンションを購入して、それを賃貸として他人に貸し出すことで、家賃による収益を得る投資法のことです。
アパート1棟を購入するよりも価格が低く、中古ワンルーム投資であれば1000万円以下でも購入することが可能です。

1-1.なぜサラリーマンに人気なの?

通常、不動産投資をする際に一番の壁となるのが「ローン」です。

アパート1棟となると、都内であれば土地も含め1億円を超えてきます。
そのため、一般的なサラリーマンの年収ではよほどの担保がない限り、ローンを組むことが難しくなります。ワンルーム投資であれば、1000万円前後からでも投資ができるので、年収500万円程度のサラリーマンでも比較的簡単にローンを利用して投資をすることができます。
こう聞くと、ワンルーム投資のリスクよりもメリットの方が際立っているように感じることかと思います。
そこで次に、ワンルーム投資のリスクと失敗事例について解説していきたいと思います。

2.ワンルーム投資の失敗事例に見るリスク

ワンルーム投資が危険だと言われるのは、次のような失敗事例があるからです。

2-1.高金利のローンに気がつかずにワンルーム投資に失敗

ワンルーム投資はサラリーマンでも比較的簡単にローンを組んで投資できるため、参入しやすいというメリットがありますが、それ故に失敗を招くこともあります。
その原因の一つが「金利」です。
ワンルーム投資をしたいサラリーマンは、よい物件が見つかると、ほかの投資家に取られないために、とにかく早くローン審査を通過して購入したいという意識が強くなります。
ところが、いくら高利回りの掘り出し物件を見つけたとしても、ローンを組む金利が高ければ意味がありません

例えば、利回り6%の物件を見つけたとしても、ローン金利が4%であれば実質的な利回りは2%しかないことになります。
このように、利回りからローン金利を引いたパーセンテージのことを「イールドギャップ」といいます。

ワンルーム投資の初心者の場合は投資利回りばかりを気にして物件を探すのですが、ローン金利については審査の通りやすさを優先して、高い金利で借りてしまうケースが多く、これが失敗に結びついてしまうのです
不動産投資への融資審査が通りやすい銀行の中には、金利4.5%程度という高い金利で貸し付けるケースもあります。
ワンルーム投資で失敗しないためには、投資利回りやローン金利単体で見るのではなく、必ずイールドギャップが何%なのかに着目することが重要です。

2-2.不動産会社に任せきりにしてワンルーム投資に失敗

株式投資などほかの投資をしていて、その延長でワンルーム投資に参入する人に多く見られる失敗です。

ワンルームを販売している不動産会社の多くは、投資さえすればあとは家賃収入が入ってくるだけのような説明をします。
それは、不動産賃貸の実務部分については不動産会社が管理会社となって対応するからです。
ただ、賃貸管理を委託するということは、毎月の管理費がかかります。
また、内装工事や諸修繕などの発注先も、不動産会社と提携しているところに拘束される可能性があり、決して安いとは言えない金額で発注しなければならない可能性もあります。
つまり、賃貸管理を管理会社に任せるということは、それだけ多くの経費がかかるということです。

それについて細かくシミュレーションしてくれる親切な管理会社はほとんどなく、多くの場合、管理を委託して1年くらい経過してから、投資家本人が出費の多さに気が付くのです。
不動産投資で利益を上げるためには、賃貸管理のすべてを不動産会社に任せっきりにし、無関心ではダメです。
無関心であればあるほど、管理会社は油断するため適当に管理する可能性があります。

投資家自身が賃貸管理に興味を持ち、管理会社がしている対応を逐次チェックしてきちんと対応するようプレッシャーをかけることが重要です。
そうすることで、数年後は管理会社に賃貸管理を委託しなくても、自分自身で自主管理できるだけのノウハウがつくはずです。

2-3.空室リスクを知らなかったせいでワンルーム投資に失敗

不動産投資というと、空室リスクについては一般的に言われていますが、ワンルーム投資の場合は特に空室リスクに注意しなければなりません。
投資物件が1部屋しかないため、万が一空室が発生すると家賃収入は一気にゼロになります。
ところが、空室が発生したからといってローン返済を待ってくれるわけではありませんので、ワンルーム投資は空室になった時点でローン返済を自己資金から持ち出さなければならなくなります。

「大体1ヶ月もあれば次の入居者は決まる」
空室リスクを認識していても、その認識が上記のように甘いケースもよくあります。
最近は賃貸住宅が都市部を中心に供給過多の状況なので、夏場などの人が動かない時期に空室が発生すると、数ヶ月から半年以上空室になるケースもありえます。
そのため、ワンルーム投資をする場合は、万が一の時に備えて、空室が発生してもしばらくの間ローンを返済していけるだけの自己資金を予備費として準備しておくことが重要です。
キャッシュフローがカツカツの状態ですと、ワンルーム投資はすぐに行き詰まってしまうのです。

このように、ワンルーム投資には知らなかったり、認識が甘かったりしたが故に生じるリスクが複数存在します。
ただ、あらかじめ理解した上で準備を整えて投資をすれば、十分リスクヘッジすることが可能であることも確かです。

次回は、そもそもワンルーム投資は儲かるのか? ということについてお話ししたいと思います。

関連記事:ワンルーム投資はお手軽だけど危険? [後編]

棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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