東京圏最新地価動向/堅調な推移と加速する二極化
株式会社三友システムアプレイザルは「三友インデックス 東京圏の最新地価動向2019年第4四半期(10-12月)」を発表しました。
同社が四半期毎に実施している独自の調査で、東京圏の地価変動率、地価指数を確認することができます。
以下、「地価変動率」は前年同期比(2018年第4四半期から2019年第4四半期までの1年間)、「地価指数」は、調査開始年である1994年第2四半期(バブル景気ピーク時の3年後)を100とした指数となっています。
東京圏の最新地価動向(2019年第4四半期)| さんゆう資料室
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東京圏全体で堅調な推移
商業地は21四半期連続でプラス/東京圏の地価変動率
東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)全体の地価変動率(前年同期比)は下記の通りです。
地価変動率-対前年同期比:東京圏▼
住宅地…+4.9%(前期比+4.2ポイント)
商業地…+9.7%(前期比▲1.5ポイント)
依然として東京圏全体でプラスの地価変動が続いています。
住宅地が13四半期連続でプラス、商業地は21四半期連続でプラスとなり、堅調な推移をみせています。
商業地は”ミニバブル期”超えをキープ/東京圏の地価指数
東京圏全体の地価指数(1994年第2四半期を100とした指数)は下記の通りです。
地価指数 – 東京圏▼
住宅地…73.1ポイント(前期比+1.0ポイント)
商業地…60.7ポイント(前期比▲2.6ポイント)
2008年頃の地価高騰は、いわゆる「不動産ミニバブル期」と呼ばれていますが、最近はそれに近い、もしくは超える水準まで回復しています。
住宅地は今期73.1ポイントとなり、ミニバブル期の08年74.6ポイントに近い水準、商業地がミニバブル期の56.9ポイントを超えて今期60.7ポイントとなりました。
全都県でプラス/東京圏内都県別の概況
都県別・住宅地変動率
東京圏の都県別の住宅地地価変動率です。
地価変動率 – 対前年同期比:都県別:住宅地▼
東京都…+3.7%
神奈川県…+7.4%
千葉県…+3.5%
埼玉県…+7.1%
前期は神奈川県と千葉県がマイナスでしたが、今期は4都県いずれもプラスとなりました。
いずれの都県も調査が行われる四半期ごとにバラつきがみられるのは、都市部と地方部の地価が二極化していることなどが影響しています。
都県別・商業地地価変動率
同じく都県別の商業地地価変動率です。
地価変動率 – 対前年同期比:都県別:商業地▼
東京都…+9.3%
神奈川県…+10.5%
千葉県…+10.4%
埼玉県…+11.2%
住宅地同様、商業地の地価変動率も4都県いずれもプラスとなりました。
遅効的であった地方部もプラス圏で推移しています。
都県別地価指数・住宅地
東京圏の都県別・住宅地の地価指数です。
地価指数:都県別:住宅地▼
東京都…88.6ポイント
神奈川県…73.5ポイント
千葉県…48.6ポイント
埼玉県…56.5ポイント
住宅地の地価指数は都県間の水準格差が大きく、総体的に高いのは東京都と神奈川県という状況が続いています。
特に、東京都の88.6ポイント(前期比▲1.9ポイント)は、不動産ミニバブル期水準の89.3ポイントに近い水準を維持しています。
都県別地価指数・商業地
都県別・商業地の地価指数です。
地価指数 – 地価指数:都県別:商業地▼
東京都…67.3ポイント
神奈川県…55.6ポイント
千葉県…36.4ポイント
埼玉県…42.2ポイント
バブル景気崩壊後(1990年前後)の下落幅が住宅地に比べて大きかったた商業地は、住宅地と比べると圏内全域でそれぞれ水準は低くなっていますが、ここ数年各都道府県いずれも回復基調です。
東京都などではミニバブル期水準超えまで回復していますが、都県間の差は広がっています。
東京都内エリア別(住宅地・商業地・工業地合計)
東京都内エリア別地価変動率
地価変動率 -対前年同期比:東京都内エリア別▼
都心部 ··············· 千代田・中央・港・新宿・文京・台東・渋谷・豊島の計8区
南西部 ··············· 品川・目黒・大田・世田谷・中野・杉並・練馬の計7区
北東部 ··············· 墨田・江東・北・荒川・板橋・足立・葛飾・江戸川の計8区
多摩地区 ··········· 市部(23区以外)
都心3区 ············· 都心部内の千代田・中央・港の計3区
都心部…+10.1%
南西部…+2.0%
北東部…+6.1%
多摩地区…+4.6%
都心3区…+8.1%
東京都のエリア別では、都内全域でプラスとなりました。
東京都は商業地が多い都心部は堅調、住宅地が多い多摩地区は相対的に低位であるという特徴がありますが、前期比としては南西部の下落幅が比較的大きいようです(前期+7.7%、今期+2.0)。
また、とくに商業地が多い都心3区は、標準価格が高いために、変動幅が大きくなる傾向がありますが、前期比ではプラスに推移しました。
東京都内エリア別地価指数
地価指数 – 東京都内エリア別▼
都心部…76.9ポイント
南西部…91.3ポイント
北東部…77.9ポイント
多摩地区…64.0ポイント
都心3区…63.5ポイント
商業地が少ない多摩地区を除く都心部・南西部・東北部・都心3区では、不動産ミニバブルレベルの高水準にあるという結果でした。
都内の地価指数は、南西部の水準が相対的に高くなっていますが、前期比では地価変動率同様、下落しています(前期97.6ポイント、今期91.3ポイント)。
二極化と地価上昇が続く
前期に続き、今期も全体的に商業地は不動産ミニバブル期超え、住宅地はミニバブル期に近い水準をキープしているエリアが多いという点で、前期から大きな変化は見られませんでした。
また、東京圏内であっても都心部と地方部の二極化も続いています。
都心部と地方部の二極化においては今後さらに加速していくことが考えられますが、地価については東京オリンピック・パラリンピック後にどのような影響が及ぶか、予測しづらい状況です。
国土交通省が公表する地価公示や基準地価以外の短いタームの地価動向にも注目してみてはいかがでしょうか。
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