不動産を競売で落札した場合、特定承継人が払う管理費は取得費になる?
区分マンションを競売で落札しましたが、長期間管理費が滞納されていたため、特定承継人として当該管理費を支払いました。
これはマンションの取得価格として処理できますか?
また、このほかに取得価格として計上可能なものがあれば、併せてご教示いただければ幸いです。
購入に要した費用に該当すると考えられるため、マンションの取得価額に計上することができます。
区分所有法第8条では、「前区分所有者が支払うべき債務(管理費等)は、特定承継人(前所有者から購入した人)がその支払義務を引き継ぐ」旨が規定されており、競売で落札した場合には落札人が滞納している管理費等を支払う必要があります。
このことから競売における最低売却価額には、滞納している管理費等を差し引いて価格設定がされている場合が一般的です。
したがって、滞納している管理費等は競売における落札の条件とみることができ、購入に要した費用に該当すると考えられるため、マンションの取得価額に計上することになります。
なお、滞納した管理費は、前所有者に請求することができます(回収は難しいと思いますが)。
仮に回収した場合には、取得価額から控除する調整計算が必要になります。
その他、取得価額として計上可能なものとしては、
- 競売の申し立て費用(弁護士費用含む)
- 固定資産税精算金
- 事業(賃貸)するまでに支出したリフォーム代
などがあります。
逆に、必要経費として計上しなければならないものは、登記費用、不動産取得税となります。
2020/01/26
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士