不動産賃貸経営で減価償却を大きく取る方法2つ
不動産賃貸経営をするにあたって、減価償却の理解はとても重要です。
今回は、減価償却で得する方法をお伝えしていきます。
減価償却は経費になりますので、大きくとると税金が抑えられます。
減価償却を大きく取るには、次の2つの方法があります。
1.耐用年数を短く取る
2.償却部分を大きく取る
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1.耐用年数を短く取る
(1)中古の耐用年数(簡便法)
中古の固定資産を取得した場合には、その資産の法定耐用年数によらずに、購入した中古資産の取得の時以後の使用可能期間の年数を耐用年数とすることができます。
下記の簡便法という計算方法で中古の耐用年数を計算することが一般的です。
(注1)計算結果が1年未満の端数が出た場合には、1年未満は切り捨てます。
(注2)税法の規定では、「中古の耐用年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2」となっていますが、計算結果は同じになります。
(注3)経過年数が法定耐用年数を超えている場合には、次の算式になります。
法定耐用年数×0.2=耐用年数(1年未満切捨)
築30年の鉄筋コンクリートの居住用マンション
47年-(30年×0.8)=23年
築25年の木造の居住用アパート
22年(法定耐用年数)<25年(経過年数)
22年×0.2=4年(1年未満切捨)
(2)中古の耐用年数(見積法)
簡便法の計算では、経過年数に0.8を掛ける関係上、思ったほど短くならないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
もっと短くなる方法はないのでしょうか?
中古の耐用年数は、見積法と呼ばれる方法で算出することもできます。
税法では、中古の使用可能期間を見積もることが困難なときは、簡便法による年数によることもできるという規定になっていますので、見積法が原則にはなります。
中古の耐用年数は、使用可能期間として見積もられる年数になりますので、使用可能期間として妥当であれば、2年でも5年でも10年でも償却することができます。
しかし、税務署から後から否認されないように根拠ある年数でなければいけません。
勝手に決めることはリスクがあります。
税務署から指摘されてもいいように、第三者(専門家など)の鑑定書や意見書などの証拠があることが望ましいです。
根拠があれば、耐用年数を短くすることも可能です。
2.償却部分を大きく取る
不動産投資をする場合、土地から購入することがほとんどです。
土地は減価償却しないため、売買金額のうち、土地の金額が大きいと(つまり建物金額が小さいと)、償却金額が少なくなってしまいます。
売買契約書の金額に土地建物の区分がされているか、いないかで取り扱いが異なります。
(1)売買契約書に土地建物の区分がされている場合
売買契約書に建物金額を明記しておけば、原則としてその金額が建物金額と認められます。
価額に特段不合理な点が認められない限り、契約当事者双方の契約意思が表示された契約書記載の建物の価額が尊重されるからです。
したがって、売り主さんとの話し合いで、建物金額を高く設定することは可能です。
しかし、売り主さんが消費税の課税事業者(個人でも法人でもあり得る)の場合、建物金額が高くなると、支払う消費税が多くなるので、売り主からすると、なるべく建物の売買金額を小さくしたい要望があります。
強く交渉しすぎて売買契約が破談する可能性もありますので、売り主さんと交渉するときには、気をつけましょう。
(2)売買契約書に土地建物の区分がされている場合
①固定資産税評価額で按分
売り主さんとの交渉で建物金額に折り合いがつかなかった場合など、売買金額の土地建物の内訳が記載されないことがよくあります。
この場合には、原則として、土地と建物の固定資産税評価額の比率で按分することが一般的です。
建物金額を直接算出する直接法、土地金額を算出して全体の金額から差し引いて建物金額を計算する差引法も考えられますが、平成13年12月14日福岡地裁の判決では、これらの方法は、合理的性を欠くと判断されているため、使用する場合には、十分注意が必要です。
②鑑定評価をお願いする
固定資産税評価額で思うように建物金額が高くならないということもありえます。
このような場合に、不動産鑑定士に鑑定をお願いして、土地と建物の時価を評価してもらい、この金額を売買金額で按分するという方法もあります。
鑑定評価を不動産鑑定士に依頼すると費用がかかってしまいます。
しかし、減価償却は一度決まってしまうと、翌年以後の償却金額も決まってしまいます。
後々のことを考えて、減価償却の金額を大きくした方がよいのか、判断をするようにしましょう。
3.まとめ
- 減価償却を有利にするには、①耐用年数を短く取るか、②償却部分を大きく取るか。
- 中古の物件の場合は、中古の耐用年数を上手くつかうこと。
- 建物を大きくとるには、売買契約書に希望する建物金額を明記してもらうように交渉すること。
不動産投資は、立地で決まる。人口動向や賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは
- 第1回:投資家が最初に知るべき減価償却の基礎知識
第2回:不動産賃貸経営で減価償却を大きく取る方法2つ
- 第3回:減価償却2つのデメリット/デッドクロスと譲渡税