不動産投資のQA

賃貸経営で発生する家賃滞納や、雨漏り、騒音など…様々なトラブル。対応方法について専門家がお答えします。

連帯保証人が死亡した場合、連帯保証人の地位も相続される?

賃借人から連帯保証人をしてくれていた父親が、お亡くなりになられたと連絡がありました。

これまでは、連帯保証人が亡くなられた場合、相続人の方に連帯保証人を引き継いでもらっていたのですが、民法改正により何か影響はあるのでしょうか?

滞納家賃額の支払い義務は相続人に引き継がれますが、地位自体については相続されません。

民法が改正されるまでの賃貸借契約における連帯保証人の地位については、過去の事例において連帯保証人の地位も相続の対象になる、とする判例が出ていたことから、連帯保証人が死亡したら相続人にその地位を引き継いでもらう運用が一般的でした。

ところが、今回の民法改正によって連帯保証人に「極度額」の設定が義務付けられたことで、この運用に大きな違いが出てきます。

極度額を定めて、その範囲で継続的に発生する家賃などの債務を保証することを「根保証」といい、相続の対象となりますが、連帯保証人が死亡した時点で被保証債務(保証する義務のある債務)が確定することになる点に注意が必要です。

連帯保証人が死亡する前にすでに家賃滞納が発生していたような場合は、その滞納家賃額までの支払い義務について相続人に引き継がれますが、地位自体については相続されません。

例1
家賃10万円で1ヶ月分滞納している状態で連帯保証人が死亡した場合

相続人は10万円の家賃の立て替えは必要になりますが、それ以上については保証する必要はないということになります。

例2
連帯保証人が亡くなられた時点で家賃滞納がない場合

被担保債務がゼロで確定するため、相続人に引き継がれる債務もないということになります。

連帯保証人が1名の場合は、以降連帯保証人はいないことになりますので、万が一家賃が滞納しても、賃借人本人以外に請求することはできません。

このように、今回の民法改正によって連帯保証人については以前よりもかなり保護される形に取り扱いが変更となります。

どんな対策をとればよいのか

今後、連帯保証人が契約途中に亡くなられた場合は、相続人が連帯保証人になる義務はないため、なんの取り決めもしていないと、お願いベースでしか対応ができず、最悪の場合連帯保証人がいない契約のままになってしまう可能性があります。

そのため、賃貸借契約書に連帯保証人が死亡等して欠けた場合は、賃借人の責任と負担によって別の連帯保証人を立てるか、保証会社に加入する旨を約款などに記載しておいた方がよいでしょう。

2019/10/28

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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