コラム

不動産投資における「地震リスク」と「耐震基準」

不動産投資における「地震リスク」と「耐震基準」

2018年6月18日、関西地方を震源地とする最大震度6弱の地震(大阪北部地震)が発生し、小学校4年生の児童がブロック塀の下敷きとなって亡くなられました。
尊い命が失われたことは残念でなりません。

この記事では、全3回に分けて不動産投資家として、そして賃貸物件の大家として必ず知っておくべき「建物の耐震性」「大地震が来たときの対応」「損害賠償の問題」そして「地震保険」の重要知識について解説していきたいと思います。

第1回目の今回は、不動産投資における地震リスクについて、「耐震基準」を中心に解説していきたいと思います。

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不動産投資における「地震のリスク」

日本は地震大国とも言われているとおり、日本で生活をする以上地震のリスクは常に付きまといます。
そしてそれは「不動産投資」にも同じことが言えるのです。

ここでは、不動産投資における地震のリスクについて考えて見たいと思います。

物件の耐震性(新/旧耐震基準)のポイント

不動産投資における地震リスクを考えるうえで、とても重要になってくるのが「耐震基準」です。地震大国である日本は、他国に比べ建物を建築する際の耐震に対する基準が厳しく規定されています。

今現在運用されている耐震基準を新耐震基準といい、「震度6~7」の大地震でも建物が倒壊、崩壊しないこと、及び、震度5強程度の地震でほとんど損傷しないことを基準に設定されています。

ちなみに、最近の地震における震度の目安は以下のとおりです。

  • 大阪北部地震:震度6弱
  • 熊本地震:震度5~7
  • 東日本大震災:震度7(宮城県)
  • 新潟中越沖地震:震度5弱~6強
  • 阪神淡路大震災:震度7

このように過去の大地震の多くは震度5~7を観測しています。
よって、新耐震基準を満たしている建物であれば、過去と同じような大地震が発生したとしても、最悪の事態は回避できると考えられます。

新耐震基準と旧耐震基準

日本の耐震基準が大きく改正されたのは、1981年6月1日です。
改正のきっかけとなったのは、1978年に発生した宮城県沖地震で、震度は5強を観測しました。
この地震で28名の死者が出て、7400戸もの建物が全半壊したそうです。

これを受けて、耐震基準が大きく見直されることとなり、1981年6月1日を境に以前のものを「旧耐震基準」、以降のものを「新耐震基準」と呼ばれることとなったのです。

建築基準法における「新耐震基準」のポイント

ここでは、新耐震基準のポイントについて簡単に触れておきたいと思います。
旧耐震基準では、「震度5強の揺れで倒壊しない」、という観点で基準が設定されていましたが、新耐震基準では「震度6~7」という基準にまで引き上げられました。

実際、旧耐震基準だった宮城県沖地震では、今回の大阪北部地震と同じように、ブロック塀の下敷きとなって亡くなられた方がいたそうです。
この教訓が、今回の大阪北部地震の一件に、十分活かされなかったことが悔やまれます。

新耐震基準が規定されている建築基準法が改正されたからといって、すべての建物に耐震改修工事が必要なわけではありません。新耐震基準については、改正された1981年6月1日以降の建物について適用されるため、それ以前から立っている建物の耐震改修工事が義務付けられたわけではないのです。

ですから、不動産投資をするうえでは、できるかぎり「新耐震基準」を満たしている、1981年6月1日以降に新築した賃貸物件に投資をすることがとても重要であるといえるでしょう。

地震リスクから見えてくる投資エリア

隣地に旧耐震基準のままの古い建物
熊本地震では、コンクリートマンションの倒壊や大破はなく、ある程度の修理によって復旧できるケースが多かったようです。
このことから考えると、耐震基準を満たしているマンションであれば、地震リスクは少ないと言えます。

ただ、何らかの修理の発生は避けられないようなので、できるかぎり地震が発生しそうなエリアは避けたいところです。

ところが、地震の原因となる主要な活断層については、関東をはじめ太平洋側の各地に多く分布しているため、それらのエリアを避けて投資をすることは、基本的には不可能と言えます。

そのため「地震が発生しないエリア」を探して投資をするのではなく「地震があってもリスクを最小限に抑えられるエリア」を探すことが重要になってきます。

例えば、以下のような場所は地震によって物件に損害が出るリスクが考えられるため注意が必要です。

  • 沿岸部の海に近い地域(津波リスク)
  • 隣地に旧耐震基準のままの古い建物が建っている
  • 盛り土や切土がしてある場所(地すべりなどのリスク)
  • 木造住宅密集地帯(地震による火事のリスク)

なお、東京都都市整備局が行った調査によると、東京都で地震に脆弱な地域として、荒川区や足立区、墨田区内の一部地域が多くあげられました。

これらの地域は旧耐震基準のままの古い家屋が今でも多く残っているため、地震による倒壊や、地震による火事のリスクが高いと考えられます。

ただ、先ほども申し上げたように、これらの地域への投資を避けたほうがよいということではなく、あくまで投資しようとしている物件の立地条件を個別に確認していくことが重要です。

投資対象の物件が新耐震基準かどうかということだけでなく、隣地に建っている建造物の築年数や構造、および地盤にも気を配る必要があります。

これらの情報については、建物の所在地を管轄する市区町村役場の建築課や都市計画課などで確認することができますので、物件を購入する前にチェックしておくとよいでしょう。

まとめ

今回は、地震が不動産投資に与えるリスクとして、新旧耐震基準のポイントや、それを受けての投資エリアの見極め方について解説してきました。

1981年6月1日以降の物件は「新耐震基準」である

「地震が発生しないエリア」ではなく「地震があってもリスクを最小限に抑えられるエリア」を見極めることが重要である

第2回目では、これらの知識を踏まえて、大地震発生時に大家がまずすべきこと、および、そのための対策、そして地震による大家の損害賠償責任を中心に解説していきたいと思います。

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棚田 健大郎

棚田 健大郎

行政書士

行政書士・マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・敷金診断士・ファイナンシャルプランナー。大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。行政書士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得し、棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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