民泊…旅館業・簡易宿所/特区/住宅宿泊事業の違い
前回 に続き、特に民泊ビジネス上重要な、旅館業型民泊、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区民泊)、住宅宿泊事業(新法民泊)について見ていきます。
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(4) 旅館業(簡易宿所)型民泊
住宅において旅館業法に基づく許可(規模や形態により「旅館・ホテル営業」又は「簡易宿所営業」)を得て行う民泊形態をいいます。
旅館業法は、昭和23年に成立し、現在営業している「帝国ホテル」「プリンスホテルズ&リゾーツ」「アパホテル」「星のや」など、私たちが一般的にイメージする宿泊施設は、同法の営業許可を受けています。
今まで宿泊事業とは、大きな資本力を持つ事業者が、数億~数十億の資本を投下し、建築・運営する形態が一般的でした。ところが、近年は「airbnb」をはじめとした民泊仲介サイトが登場したことより参入障壁が下がり、中小企業や個人による事業参入が増えてきました。
世界的な観光地であり、毎年多くの外国人旅行者が訪れる古都・京都では、京町家等の伝統的な中古住宅を改装して簡易宿所型民泊を行う施設が急増しています。
(5) 外国人滞在施設経営事業(特区民泊)
国が定めた国家戦略特別区域(特区)で実施できる事業の1つに外国人滞在施設経営事業(特区民泊)があります。
少々ものものしい印象を受ける「国家戦略特別区域」ですが、様々な岩盤規制を緩和して、実験的にビジネス行うことができる先進エリア、と捉えるとわかりやすいでしょう。
規制緩和メニューのひとつとして旅館業法の緩和があります。
2016年1月に全国で初めて条例を施行した東京都大田区や大阪市など一部の地域で実施されています。
特区民泊を行おうとする事業者が、都道府県知事から特区民泊の特定認定を受けると、当該住宅で行う一定期間以上の民泊(本来であれば旅館業法の規制対象となる)は、特別に旅館業法の適用除外となります。一定期間は、3日から10日までのまでの範囲内において、特区に指定された自治体の条例により決定されます。
訪日外国人観光客(インバウンド)の宿泊需要が旺盛な大阪市で特に申請件数が増加しており、全国の特区民泊施設の9割以上が大阪市に集中しています。
認定を受けるためには、最低でも25㎡以上の広さが必要など一定の要件があり、既存建築物の活用にとどまらず、新しく新築される「特区民泊型マンション」も増えています。
(6)住宅宿泊事業
住宅に人を年間180日を超えない範囲で宿泊させる事業として、2018年6月より新たに始まった制度が住宅宿泊事業(いわゆる新法民泊)です。
旅館業法は「許可制」ですが、住宅宿泊事業は「届出制」で手続きが簡便なこと、建築基準法上の用途が住宅扱いになることなど、参入ハードルが低く、制度の広がりが期待されています。
特に、空き家など遊休資産の活用方法として相性の良い民泊スタイルで、制度開始から9ヶ月が経過した2019年4月15日時点で全国の届出住宅件数は15,720件となっています。
民泊ビジネスにおいて懸念されるトラブルの1つとして、施設近隣住民に対する外部不経済が挙げられます。
自宅の隣近所の家に毎晩入れ代わり立ち代わり見知らぬ旅行者が出入りして不安である、夜中に騒ぐので眠れない、家の周りにゴミをポイ捨てされる、など民泊施設周辺の住民と宿泊者・営業者の間に不和が生じるケースもあります。
そこで、都道府県は、住宅宿泊事業に起因する騒音など生活環境悪化防止のため、合理的に必要と考えられる範囲で、区域を定めて事業の実施を制限することができると法律で定められています。
届出を行おうとしたものの、その地域(住居専用地域と呼ばれる住宅地、学校の近隣などで制限されているケースが多い)では、平日の営業ができないルールになっていた、ということもありますので、地域の条例・ルールの事前確認が必要です。
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- 第1回:インバウンド需要拡大を背景に広がる民泊・旅館業
- 第2回:旅館業以外も!合法的に認められている民泊6類型
第3回:民泊…旅館業・簡易宿所/特区/住宅宿泊事業の違い
- 第4回:不動産賃貸業と民泊ビジネスの違い/民泊のはじめ方
- 第5回:民泊経営で失敗しない!民泊物件の選び方とは?
- 第6回:【民泊】クリアすべき旅館業法・建築基準法・消防法
- 第7回:【民泊】旅館業法に基づく営業許可申請の流れ
- 第8回:【民泊】戸建住宅で旅館業法営業許可を取得する方法
- 第9回:【民泊】マンションでの旅館業許可取得のポイント