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不動産投資からみた平成、令和は新しい投資モデルも

2020/02/16
インベストオンライン編集部
不動産投資からみた平成、令和は新しい投資モデルも

2019年5月1日、平成が終わり、新しい時代「令和」となります。
平成は不動産投資において、どのような時代だったでしょうか。
インベストオンラインでは不動産投資という視点で、平成を振り返ってみたいと思います。

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平成元年/バブル真っただ中、不動産投資も活況

平成元年(1989年)は、バブル真っただ中。
当時は、土地は限られているため値段は上がり続ける、土地は持っていれば安心だという「土地神話」があり、キャピタルゲイン狙いの企業や投資家が数多くいました。

低金利を背景に金融機関が不動産向け融資を後押ししたため、どんどん不動産にお金が流れて価格が上昇するバブル景気となります。

その傾向は国土交通省が発表している、地価公示の推移に色濃く反映されています。昭和の終わりから平成のはじめに住宅地の価格は高騰しました。

公示地価の住宅地の推移
国土交通省 平成31年地価公示

土地や不動産が値上がり続けると思われた平成の幕開けでしたが、バブル崩壊の波が突如訪れます。

平成3年/バブル崩壊し地価に合わせ金利も下がる

平成3年(1991年)頃から住宅地価格が急落。東京都23区では、平成16年の住宅地の価格が43.8万円とバブル期の3分の1以下まで下落しました。

その引き金になったと言われている理由のひとつは、金利です。
平成2年には6%という高い金利でしたが、当時は金利が高くても売却で利益が出ると考える企業や投資家が多く、価格の高騰が続きました。

平成2年3月に金融機関に対して“総量規制”と呼ばれる「土地関連融資の抑制について」の通達が行われました。大蔵省は貸出残高全体の伸び率よりも、不動産融資の伸び率が下回るように、自主規制を促したのです。
この行政指導が、急激な融資の貸し渋りにつながりました。結果、不動産は売れなくなり、価格が暴落し始めたのです。

日本銀行 基準貸付利率(月次)
日本銀行 基準貸付利率(月次)

バブル後期に高金利で購入した不動産は、担保評価を割り込む事態となります。
不良債権化した不動産を抱えきれずに、倒産する企業や自己破産する個人が急増しました。

平成6~10年/ワンルームマンション投資がひろがる

平成6~10年(1994~1998年)頃に、ワンルームマンション投資が高年収・高属性のサラリーマンや経営者を対象に少しずつ広がっていきました。

当時の不動産投資向けの事業融資金利は4%以上と高く、一般的な中古のワンルームマンション投資の利回りは5%程度と、毎月数万円程度は持ち出しになる物件が主流。

それでも転売で利益を得る、またはローンを完済後に年金代わりとして購入する投資家が多くいたのです。

平成12~13年/「金持ち父さん 貧乏父さん」が大ヒット

平成12~13年(2000~2001年)に「チーズはどこへ消えた?」など、翻訳された啓蒙書のブームが起こりました。その中で、個人投資家を多く生み出した書籍が「金持ち父さん 貧乏父さん」です。

著者ロバート・キヨサキ氏が、お金に対する価値観を2人のお父さん(お金に働いてもらう仕組みをつくる金持ち父さん、働いても資産がたまらずラットレースから抜けられない貧乏父さん)を例に、「資産」や「負債」などの投資に対する基本的な考え方を教えています。

この書籍をきっかけに、投資に興味を持ったという人が全世界に増えました。
日本では今も不動産投資の入門書としてよく紹介されています。

平成15~18年/収益物件がインターネット上で探せるように

平成15~18年(2003~2006年)頃には、インターネット上で収益物件を探せる専門のポータルサイトが出てきました。
ポータルサイトを利用することで、これまで不動産会社に営業しないと得られなかった収益物件の情報が、インターネットで検索できるようになりました。

また、先行する不動産投資家がブログやセミナーなどで情報を発信したこともあり、投資の選択肢のひとつとして、不動産投資が認知されるようになっていきました。

平成15年頃より収益物件がインターネット上で探せるように

合わせて、政府の低金利施策により金利が下がり、不動産投資の融資に積極的な銀行が増加

投資手法もワンルームマンション投資から、一棟物件へ、また地方のRC一棟築古戸建など、少々金利が高くても、高い利回りを出せる物件を購入して、リフォームや空室対策を行うことで利益をだす、独自の不動産投資手法も生まれていきました。

平成20年/リーマンショックで地価はまた下落へ

平成18年(2006年)頃より地価が上昇、日本の不動産投資に外資系の金融機関も融資をし始めた頃、リーマンショックが起こりました。

アメリカの大手の証券会社「リーマン・ブラザーズ」が、サブプライムローンで巨額の損失を抱え、平成20年(2008年)9月に経営破綻したことに端を発し、株価が大暴落。
これを受け、金融機関が融資を引き締め、東京では上昇していた地価も下がり始めました

平成25年/相続税法の改正でアパート建築が増加

平成25年(2013年)に相続税法の改正が成立し、平成27年1月1日より基礎控除額などが引き下げとなりました。
この改正で相続税の支払い対象となる相続人が1.5倍以上に増えたといわれています。
相続税の対策として生前に賃貸住宅、アパートを建てる人が増えました

▼相続税の基礎控除の引き下げ

改正前 改正後
定額控除 5,000万円 3,000万円
法定相続人比例控除 1,000万円 × 法定相続人の数 600万円 × 法定相続人の数

また、平成25年(2013年)に2020年のオリンピックが東京で開催されることに決定しました。
政府は訪日外国人観光客の拡大に力をいれ、2020年には年間4,000万人の来訪を見込む目標をたてました。現在、7年連続で訪日外国人は増えており、2018年は3,119万人となっています。

このインバウンド需要を受け、海外で始まっていた民泊ポータルのAirbnbが平成26年(2014年)に日本法人を設立
シェアリングエコノミーの先駆けとして、部屋を旅行者に間貸しする新しいビジネスモデルを日本でスタートさせました。

平成28年/マイナス金利政策で銀行融資が活発に

平成28年(2016年)に、民間金融機関の日銀への預金金利をマイナスにするマイナス金利政策がスタート。
このため、地銀を中心に不動産投資などへの融資を積極的に行う銀行がさらに増えました。

また、物件購入時に頭金1~2割が必要とされていた融資条件ですが、フルローンで貸付を行う金融機関も登場
自己資金が少なくても融資を受けて物件を購入できることで、年収500万円程度のサラリーマンでも不動産投資を始める人が出てきました。
投資家の裾野が広がったことで、投資物件の価格が上昇し、利回りは反比例して下がっていったのです。

▼健美家に登録された収益(投資用)不動産 の利回り・価格の推移
投資物件の価格と利回りのグラフ
「不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや ) 」収益物件 市場動向 年間レポート 2018年

住宅宿泊事業法施行

平成30年(2018年)6月15日に住宅宿泊事業法が施行。これまで許可なく民泊を運営していた「ヤミ民泊」が、Airbnbなどの予約ポータルサイトから排除されることとなりました。
一時は市場が縮小するも、インバウンドの堅調な需要に支えられて、2020年に向け民泊市場は拡大していく見込みです。

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新しい令和の時代は…新しい不動産投資モデルも

賃貸経営、不動産投資は富裕層や地主が行なう投資手法と思われていましたが、低金利を背景に一般のサラリーマンにも拡がっていったのが平成の時代でした。

しかし、人口減少東京への一極集中化などにともない、日本全国では空き家問題も拡大しています。
これから令和の時代は、賃貸経営も入居者のニーズをとらえた戦略、新しいビジネスモデルが必要となりそうです。

令和元年の今年、2つの新しいサービスが始まりました。

インド発のベンチャー「OYO」グループが提供するのは、ホテルを探すように、部屋を借りることができる「OYO LIFE」
敷金・礼金・仲介手数料なし。家具家電、Wi-fi完備。入退去もスマホからできるという賃貸サービスで若者を中心に認知が広がりつつあります。また、空き家を活かした定額制の住み放題「ADDress」が、多拠点居住シェアサービスとして注目されています。

いつの時代にも住まいは人にとって不可欠なもの。
賃貸経営も時代に合わせて変化しつつ、多様化していく時代となりそうです。

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