不動産投資のQA

賃貸経営で発生する家賃滞納や、雨漏り、騒音など…様々なトラブル。対応方法について専門家がお答えします。

雨漏りで修理。管理組合から示談書が送られてきたが、サインしてもいい?

投資用の区分マンションの最上階を保有しているのですが、先日の大雨で天井から雨漏りがしてきました。

幸い管理会社がすぐに対応してくれたのですでに雨漏りは改善しており、濡れた天井の壁紙も管理組合の負担で張り替えが終わっています。

そんななか、この度管理組合から「示談書」なる書類が郵送されてきたのですが、これは一体どういう意味なのでしょうか?

すでに被害が回復している状況であれば、署名捺印をして返送して問題ありません。

分譲マンションで雨漏りの被害が発生した場合、管理組合が火災保険に加入していれば被害に対して保険金がおりる可能性があります。

今回のご相談事例では、おそらく管理組合が実費でご相談者さんの部屋の壁紙の張り替えを行った上で、後から保険申請をしている可能性が高いです。

このようなケースでは、保険会社が保険金を支払うにあたって、被害者側と示談が成立することが条件となっているため、示談書という書類が管理組合経由で送られてくるのです。

示談書の基本的な内容としては、示談の金額(壁紙の張替え代金等)と管理組合の振込先が書かれています。

すでに壁紙の張り替え工事が終わって被害が回復している状況であれば、署名捺印をして返送して問題ありません。

ただし、示談書に署名捺印をして返送すると、以降は本件について別途損害賠償請求をすることが難しくなります。

そのため、雨漏りによって被った被害がほかになかったか、再度入念に確認することが重要です。

特に賃貸運用している場合は、賃借人に室内の被害状況を細かく聞いておかないと、示談書を交わした後に別の被害が発覚しても請求できない可能性がありますので注意しましょう。

なお、保険金についてはすでに壁紙張り替え工事を行っている管理組合に対して支払われます。

MEMO

保険金を自ら受け取ることも可能

保険金を自ら受け取りたい場合は、雨漏りが発生した際に次のような手順で対処する必要があります。

ステップ1:現地確認と見積もり

雨漏り発生の一報が入ったら、業者を手配して室内の被害状況及び復旧費用の見積もりをとる。

ステップ2:管理組合に見積書を提出

見積書を管理組合に提出して、管理組合あてに当該金額を請求します。管理組合は見積書を保険会社に提出し保険申請をします。

ステップ3:示談書に署名捺印する

保険申請が通ると、管理組合経由で見積書の金額が書かれた示談書が郵送されてくるので、保険金の振込先を自身の口座で記入し署名捺印して返送します。

ステップ4:業者に工事を発注

見積もりをとっていた業者に工事を発注し、天井の壁紙を張り替えます。

ステップ5:保険金が振り込まれます

示談書の提出から2週間くらいで保険金が振り込まれます。

保険金はあくまで雨漏りによる被害の復旧費用なので、自分自身が業者を手配するのであれば自分に、管理組合が手配するのであれば管理組合に振り込むよう指定するのが一般的です。

2020/01/06

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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