家賃の支払いが1ヵ月遅れ。利息は取れる?
賃借人からの家賃が毎月遅れており、およそ1ヵ月延滞している状況です。
家賃の支払が遅れた場合、遅れた分の利息を請求してもよいのでしょうか。
また、請求できるとした場合、利息は何パーセント取れるのでしょうか。
家賃の延滞については利息を請求することが可能ですが、利率は契約によって異なります。
家賃は金銭による債権として扱われるため、債務不履行(つまり家賃滞納)が発生した場合については、延滞した期間に応じて利息を請求することができます。
請求できる利息の利率については、賃貸借契約書の内容に応じて、次のように異なるため注意が必要です。
利率の規定がない場合
賃貸借契約書に遅延損害金の利率についての記載がない場合については、法律で定められている法定利率である年5%が適用されます(貸主が「商行為」として賃貸借している場合は、商事利息である年6%)。
なお、法定利率については2020年4月に施行される改正民法から以下のように変更になりますのでご注意ください。
商事利率:廃止(商法514条削除)
利率の規定がある場合
法定利率については任意規定であるため、賃貸借契約書でそれよりも高い利率を定めることも可能です。
ただし、個人などの一般消費者と賃貸借契約を締結する際には、消費者契約法の適用を受けるため、年14.6%が遅延損害金の上限利率となります。
不動産会社の運用している賃貸借契約書の雛形に、年14.6%と記載されていることが多いのはそのせいです。
仮に家賃100,000円を30日延滞した場合の遅延損害金は次のようになります。
延滞家賃100,000円×14.6%×30日÷365日=1,200円
遅延損害金を実際に計算してみると、そこまで大きな金額にはならないため、面倒くさがって請求しない方もたくさんおられますが、遅延損害金を請求する一番の目的は、遅延損害金そのものではなく「滞納抑止」のためです。
家賃が2~3日遅れただけでも、きっちり計算して遅延損害金を請求することで、賃借人に対して家賃支払期日の重要性を意識付けすることができ、以降の家賃滞納の発生を抑止する効果があります。
家賃滞納は賃貸経営の天敵ですので、利息はこまめに請求して、家賃滞納を予防することをおすすめします。
2019/07/20
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回答者棚田 健大郎
行政書士・マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・敷金診断士・ファイナンシャルプランナー