保証人の署名捺印がなくても賃貸借契約は成立する?
先日、賃借人が決まって賃貸借契約書の署名捺印も無事終わりました。
ただ、都合により連帯保証人の署名捺印だけ遅れるとのことでしたので、先に鍵の引き渡しを行いました。
ところが、1ヵ月経っても連帯保証人が署名捺印をしないため、とても不安になっています。
連帯保証人が署名捺印していない場合、そもそも賃貸借契約がまだ成立していないとして、明け渡しを求めることは可能でしょうか?
連帯保証人の署名捺印がなくても賃貸借契約は成立しますが、明け渡しが認められる可能性はあります。
賃借人が入居を急いでいるような場合、連帯保証人の署名捺印が引き渡しまでに間に合わないことが時々ありますが、先に鍵を引き渡してしまうと、今回の事例のようなトラブルに発展するため注意が必要です。
過去の判例でも、保証人が署名捺印しないことを理由に契約が不成立であると主張したことがありましたが、基本的に連帯保証人の署名捺印については、賃貸借契約の成立要件とはいえず、たとえない状態でも契約は成立すると判断しています。
有効な対策について
今回の事例のような事態を防止するためには、以下のような対策をとる必要があります。
賃借人と連帯保証人の双方の署名捺印をもらった後に、賃貸人の署名捺印をする。
連帯保証人の署名捺印のある賃貸借契約書を回収するまで、鍵の引き渡しは行わない。
上記2点を徹底すれば、連帯保証人のいない賃借人に居座られる心配はないでしょう。
明け渡しは認められるのか
連帯保証人の署名捺印がなくても賃貸借契約が成立してしまうため、賃貸人としては契約を解除して建物の明け渡しを求めるしかありません。
この点について過去の判例では、以下の2点の事情を考慮して契約の解除を認める判断を下しています。
賃借人の支払い能力に疑問がある
半年近く改善の努力をしなかった
連帯保証人が署名捺印しないからといって、必ずしも契約解除が認められるというわけではなく、あくまで上記のような個別の事情を加味して総合的に判断されます。
連帯保証人の署名捺印がないまま鍵を引き渡してしまうと、後から回収することは非常に困難ですので十分注意しましょう。
2019/11/11
手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?
回答者棚田 健大郎
行政書士・マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・敷金診断士・ファイナンシャルプランナー