不動産投資のQA

賃貸経営で発生する家賃滞納や、雨漏り、騒音など…様々なトラブル。対応方法について専門家がお答えします。

入居者が退去期限を過ぎても出ていかない。損害賠償請求はできる?

賃借人から退去時の立会いを何度もドタキャンされ、当初の明け渡し日を過ぎても引っ越しませんでした。
その結果、次の賃借人が決まりかけていたのに、契約が流れてしまいました。
損害賠償請求は可能でしょうか?

どのような損害かによると思います。

賃借人が退去予告通知を出した場合、原則的にはその予告通りに退去する義務があります。
ところが、予定通り退去に応じない場合、ご相談事例のように次の賃借人が決まっていてもキャンセルになってしまうことは少なくありません。

今回の場合、契約が流れたとしても現賃借人がそのまま住むのであれば、家賃的な損害は発生しないので請求できたとしてもかかった広告費の実費くらいだと思われます。

それよりも注意しなければならないのが、決まりかけていた賃借人に対する損害賠償責任です。

仮に、すでに新賃借人と賃貸借契約を締結済みだった場合、賃貸人には部屋を貸す義務が発生しますが、予定通り退去しなかったことで貸せなかったとなると、行き場を失った賃借人から損害賠償請求される可能性があります。

ですので、空き予定物件の賃貸募集をする際には、必ず賃借人から退去通知書を書面でもらうなど必ずエビデンスを残しておくとともに、現賃借人に対する退去の意思確認も慎重に進めることが大切です。

2021/12/10

不動産投資は、立地で決まる。人口動向や賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは

棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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