不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

自宅を売却する場合、取得費の算出方法はどのようになる?

30年位前に自宅として建てた木造の建物ですが、今売却するとこの家の原価はいくらになるでしょうか?
取得価額は3,500万円です。

長らく空き家になっており、減価償却費なども申告したことはありません。

取得費(原価)は、取得価額から原価の額を引いた金額になります。

土地建物を譲渡したときの譲渡所得 =
売却した金額 – 取得費(原価)- 譲渡費用(印紙、仲介手数料など)

建物は自宅にしていても、賃貸していても、空き家でも、時の経過により価値が下がっていく(減価する)と考えます。
そのため建物の取得費(原価)は、取得価額から売却までの経過年数に応じた原価の額を控除します。

計算方法

原価の額:取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
取得費:取得価額-原価の額

※1 耐用年数は通常の耐用年数を1.5倍した年数になります。
※2 償却率は取得年月に関係なく旧定額法の償却率を使用します。
※3 経過年数は6月以上切り上げ、6月未満切り捨てです。例えば30年6カ月は経過年数31年として計算します。

取得費の計算

取得価額3,500万円、30年経過した建物の取得費を計算してみましょう。
木造の建物の耐用年数は22年なので、1.5倍の耐用年数は33年、旧定額法の償却率は0.031です。

原価の額:3,500万円 × 0.9 × 0.031 × 30年 = 2,929万5,000円
取得費:3,500万円 - 2,929万5,000円 = 570万5,000円

なお取得費は、売った金額の5%相当額とすることも出来ます。
どちらか有利(高い)な方を取得費にします。

また原価の額は最大で取得価額の95%です。
経過年数が33年を超えていた場合でも、取得費は最低175万円となります。

2019/05/19

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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