不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

競売で落札したが購入しなかった。没収された保証金は経費になる?

競売により物件を購入しようと、入札して落札しました。
しかし、相場よりも大分高過ぎる価格で入札をしてしまったため、残金納付を行わずに、物件を取得しない事を検討しております。

競売物件は入札時に、売却基準価額の2割を買受申出保証額として、裁判所に納付していますが、残金納付をしない場合、先に納付した保証金を没収されてしまいます。

この場合、没収されてしまった買受申出保証額は、不動産所得の経費として計上することができますか?

別の物件を購入しないのであれば、必要経費に計上でき、別の物件を購入するために残金納付をしなければ、没収された保証金は経費計上できる。

所得税基本通達38-9の3
「いったん締結した固定資産の取得に関する契約を解除して他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約金の額は、各種所得の金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、当該取得した固定資産の取得費又は取得価額に算入する。」

この通達は、手付金を想定していると考えられます。
手付金を払った場合、契約を解除した場合には、一般的には、手付金が没収されることになります。

この解除が、他の不動産を購入するためのものであれば、没収された手付金は、購入した他の物件の取得費に計上することになります。

しかし、別の物件を購入しないのであれば、必要経費に計上できると考えられます。

今回、別の物件を購入するために、残金納付をしないことでなければ、没収された保証金は経費計上できるものと考えます。

なお、法人の場合、他の物件を購入する場合であっても、没収された違約金(手付金)は経費計上することができるとの通達があります。

法人税基本通達7-3-3の2
「一旦締結した固定資産の取得に関する契約を解除して他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約金の額は、固定資産の取得価額に算入しないことができる。」

2020/11/11

手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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