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2024年4月1日より土地の相続登記が義務化!相続手続きはどう変わる?

2023/03/17
行政書士棚田 健大郎
2024年4月1日より土地の相続登記が義務化!相続手続きはどう変わる?

2024年4月1日よりある法改正が施行されることをご存じでしょうか?
それは土地の相続登記義務化です。

これまで義務化されていなかった相続時の土地登記が、なぜこのタイミングで義務化に向けて動いているのか、そして義務化されることで相続手続きにどのような影響が出るのかについて解説します。

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相続登記義務化の詳細

法制審議会でまとまった改正案では、相続登記を次のように義務化する答申がされています。

  • 相続を知ってから3年以内に登記申請することを義務化
  • 違反した場合は10万円の過料
  • 10年間、遺産配分が決まらない場合は法定相続分で分割

また、相続登記に限らず登記全体についても次のように義務化されます。

  • 住所変更、氏名変更、法人の移転登記は2年以内に申請を義務化
  • 違反した場合5万円以下の過料

このように登記について義務化する方向で調整が進んでいるのです。

相続登記は義務じゃなかった

相続登記とは、相続によって土地を相続した場合に、新たな所有者となった相続人が不動産の登記名義を被相続人から相続人に変更する手続きのことで、他人に対して自分が所有者であることを示すことができます。

例えば、相続した土地を売却する場合は、相続登記をしたうえでなければ売れないので登記することになるのですが、それ以外のケースというのは登記が忘れがちになることが多いのです。

そもそも所有権の登記は、自分自身の権利を他人に主張して示すために行うもの、つまり自分自身のためにするものであることから、法的に義務化されている手続きではありません。

ですから、相続した相続人が相続登記をしなくても、一切罰則規定はないのです。

登記が義務化されるわけとは

登記情報

登記の義務化が進んでいる一番の理由、それは所有者不明土地をなくして国土を有効利用するためです。

民間が所有している土地を活用するためには、土地所有者の了承が必要になるのですが、実は今、所有者不明の土地が多くて土地の有効活用ができないという問題があちこちで発生しているのです。

国交省が平成28年に実施した地籍調査約62万筆の土地を調査したところ、登記簿から所有者がわからなかった土地が全体の約20%と非常に多くの割合を占めました。
要するに、途中から登記情報が更新されていなかったのです。

原因の2/3は相続登記の未完了、1/3は住所変更登記の未完了だったことから、今後所有者不明の土地を増やさないためには相続登記や住所変更登記を義務化する必要性が強くあったということなのです。

さらに法務省が平成29年に行った調査では、大都市以外の地域で調査を行った土地のうち25%以上の土地で最後の登記から50年以上経過していたことがわかりました。

このことからも、所有者不明の土地をこれ以上増やさないためにも一刻も早い登記の義務化が必要だということがわかります。

登記が放置されるとどうなる?

土地の所有者がわからないと、どうなるのでしょうか。
例えば、登記簿謄本を取得して記載があった所有者がすでに死亡していた場合、土地の所有権は相続人に移っています。
このようなケースについては、相続発生から何十年も経過していることが多く、相続人の中にはすでに死亡している人が出てきます。

土地を取得して有効利用するためには、すべての権利者つまり相続人の同意を得る必要があるので、相続人の相続人にも連絡をとる必要性が出てくるのです。

現実問題としてこれは非常に大変なことで、その中で一人でも反対する人がいれば取得はできません。

法改正によって義務化されれば、登記簿を取得することで簡単に所有者がわかるのでこのプロセスが格段に簡略化できて土地の有効利用が促進されるのです。

まとめ:不動産実務への影響

今回の法改正が実現した場合、不動産売買を行う会社では、仲介をする際などに購入者に対して、引越しして住所が変わった際には必ず住所変更登記が必要になるというアナウンスをするなどの対応が必要になるでしょう。

本改正は、2024年4月1日に施行されます。
今回ご紹介した罰則が適用されるのは、改正法が施行された後に新たに相続する相続人からが対象です。
ただ、登記を促すために施行前の相続についても、一定期間の猶予を定めたうえで適用される可能性があります。

現時点で登記が終わっていない土地をお持ちの方は、今のうちから動いて相続登記や住所変更登記を完了させておくことをおすすめします。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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