不動産投資コラム

今は「売り時」?投資物件を売るべき時の判断基準は

今は「売り時」?投資物件を売るべき時の判断基準は

東京オリンピック2020年が迫るなか、不動産投資家の方は今売るべきか、それとも買うべきかについて頭を悩ませていることと思います。

実際、今年に入って不動産投資家の方から、今年中に売った方がよいのかと相談されるケースが増えています。

また、「売りませんか?」という営業電話も去年にも増して増えていることで、余計に不動産投資家の方を混乱させているようです。

そこで本記事では、今物件は売るべきか買うべきか、その判断基準について以下の構成で詳しく解説したいと思います。

第1回:不動産投資の売り時の判断基準
第2回:不動産投資の買い時の判断基準
第3回:判断基準を2019年の今に当てはめた場合どうなる?

以上の3部構成で分かりやすく解説していきたいと思います。

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高ければ売り時という単純な話ではない

不動産の売り時や買い時というのは、一般的なイメージでいうと、地価が値上がりしている時が売り時、値下がりした時が買い時、という認識かと思います。

ただ、不動産を売るか、買うかの判断については、その人の資産状況や保有物件の収益状況などにもよりますので、一概に高いから売った方がいい、というわけではありません。

市場相場というのは、あくまで外的な要因に過ぎないので、売り買いして本当に得になるのかどうかについては、個別的な判断が必要だということを頭にいれておきましょう。

売るべき時の判断基準

売るときの判断基準

不動産投資において「売り」は、利益の確定を意味するため、いつ売るかというのは不動産投資の成否を決定づける非常に重要なポイントです。

では、具体的にどのような要素を判断基準にすればよいのでしょうか。

判断基準1:長期譲渡と短期譲渡

売り時を検討する上でまず確認すべきなのが、「長期譲渡」と「短期譲渡」です。

不動産投資によって得られる収入のうち、家賃収入については不動産所得として「総合課税」の対象となりますが、売却によって得られる利益である譲渡所得については、他の所得とは分けて課税される「分離課税」となり、不動産の保有期間によって、次のように税率が変わります。

短期譲渡所得:不動産の保有期間が5年以下
税額=課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%)

長期譲渡所得:不動産の保有期間が5年を超える
税額=課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%)

このように、5年を境に税率が2倍に変わるため、不動産投資で物件を売却する際には、保有期間5年超が1つの判断基準となります。

今年の1月1日時点で保有期間が5年を超えている場合は、長期譲渡扱いになるため、他の条件が良ければ売却という判断もありです。
もしも来年で5年を超えるという場合は、来年まで待って売却したほうが税制面では有利といえます。

判断基準2:減価償却のタイミング

不動産投資の醍醐味といえば、減価償却費を使った節税対策です。

新築の鉄筋コンクリートマンションに投資している人は、しばらく関係のない話ではありますが、木造の中古アパートに投資している人については、減価償却のタイミングが売却の重要な判断基準となります。

例えば、築25年の中古アパートを(建物部分4,000万円)購入して保有している方の場合、法定耐用年数である22年をすべて経過しているため、減価償却は4年で終了します。
詳しくは以下の通りです。

【築年数が耐用年数の全部を経過している場合】
耐用年数=法定耐用年数×20%

【築年数が耐用年数の一部を経過している場合】
耐用年数=(耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

単純計算で、1年で1,000万円もの減価償却費を計上できるため、かなりの節税効果がありますが、反対に5年目以降は減価償却費がゼロになるため、一気に利益が出て高額な所得税が発生するのです。

中古物件を中心に不動産投資をしている方は、減価償却期間が短くなるので、減価償却が終わった後に所得税や住民税の負担が重くなることを見越して、それまでの間で売却のタイミングを判断する必要があります。

元利均等返済方式のワナ

元利均等返済方式のワナ

元利均等返済方式(常に月額の返済金額が一定)でローンを借り入れている場合、年数の経過とともに経費にできる「利息部分」の割合が減っていき、反対に経費にならない「元金部分」の返済割合が増えていきます。

すると減価償却が残っていても、経費にならない出費である元金返済額が上回ってしまうため、不動産所得がじわじわ上がり始め、税金負担が重くなるのです。

そのため、減価償却が残っていたとしても、ローンの元金部分の返済額が減価償却費を上回る場合は、売却のタイミングであるといえます。

判断基準3:ローン残債とのバランス

不動産価格が高騰している時期に購入している方の場合、売却したとしてもローン残債を超えないことがあり、不足する分をキャッシュで準備しなければならない場合があります。

特にこの傾向があるのは、2008年のリーマンショック前に購入した不動産を保有している方です。

例えば、都内のワンルームマンションの場合、リーマンショック前は価格が高かったため、新築であれば2,000万円後半くらいで取引されていました。

その後リーマンショックによって不動産価格が大幅に下がり、昨今の高騰により価格が持ち直してきたおかげで、都心5区(千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区)であれば、売却価格がローン残債を上回るケースもあります。

ところが、山手線の外側となると、そこまで相場が持ち直していないため、売却価格がローン残債を超えない現象が発生し、売りたくても一括返済に充てるキャッシュがなくて売れないという状況が起きているのです。

売却価格がローン残債を超える場合

売却価格によってローンを一括返済できるようであれば、基本的に売ること自体に支障はなくなるため、あとは価格が最も高い時期を見極めることがポイントになります。

売却価格がローン残債を下回る場合

ローン残債

売却代金だけで残りのローンを一括返済できない場合は、売却することで「損失」が確定するため、売るかどうかは慎重な判断が必要になります。

現時点においてキャッシュフローが回っておらず、毎月少しずつ持ち出しになってしまっている方については、ある程度相場が高くなっている時点で売却して「損切」する判断も必要です。

反対に、家賃収入で十分ローンを返済していける状況であれば、残債務が減って売却価格が上回るまで保有する方が、損失を減らせる可能性があります。

不動産投資売り時のまとめ

上記を踏まえて、不動産投資の売り時をまとめると次のようになります。

  • 不動産価格が近年の中では高い水準にある
  • 不動産の保有期間が5年を超えている
  • 元金部分の返済額が、減価償却費を超えている
  • 売却価格でローン残債を返済できる

以上の条件に当てはまれば、不動産投資の売り時と言えるでしょう。
第2回目は「買い時」について詳しく解説します。

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棚田 健大郎
棚田 健大郎

棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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