不動産投資コラム

日本政策金融公庫は不動産投資にも使える?

2020/02/20
行政書士棚田 健大郎
日本政策金融公庫は不動産投資にも使える?

昨年以来、不動産投資向けの融資は厳しくなってきています。
物件を購入する際には頭金として1~2割を必要とするケースが多くなり、サラリーマン投資家が物件を買うにはハードルが上がってきていると言わざるをえません。

そのような現状でも、使える金融機関があります。
それは「日本政策金融公庫」です。

今回は、日本政策金融公庫の特徴や、融資を受けて物件を購入する方法について全2回に分けて解説いたします。

【1分で分かる!新築一棟投資の魅力とは?】東京圏・駅徒歩10分圏内の物件紹介はこちら

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫とは、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫の3つの公庫が2008年に合併してできた、政府100%出資の政策金融機関です。

中小企業や個人零細事業者、女性、若者、シニアなどの、民間金融機関から融資を受けることが難しい人にも積極的に融資をするセーフティネット的な役割を担っています。

日本政策金融公庫は不動産投資にも使えるのか

日本政策金融公庫で不動産投資ができると認識されている方が多いのですが、厳密にいうと投資目的での融資は行っていません

ただ、事業目的であれば融資を受けられるため、「不動産賃貸事業」として融資の申請をする必要があります。

事業者は個人、法人を問いませんので、個人として物件を購入する場合でも、利用することが可能です。

日本政策金融公庫の特徴

日本政策金融公庫は民間の金融機関とは違い、次のような特徴があります。

特徴1:低金利・固定金利

日本政策金融公庫の金利は、共同担保を提供できる場合で1%前後、共同担保なしの場合で2%中盤くらいという、比較的「低金利」で融資を受けられる点が特徴です。
また、すべて「固定金利」となる点についても、キャッシュフローが予測しやすくなるため、非常に大きなメリットといえます。

特徴2:融資期間

融資期間は最大で20年ですが、通常は10年または15年となるケースが一般的です。
民間金融機関のように35年ローンなどの長期間ローンは組めないことから、毎月の返済額負担が重くなるため、キャッシュフローが回ることをきちんとシミュレーションすることが重要になります。

融資

特徴3:融資限度額

不動産賃貸事業として日本政策金融公庫から融資を受ける場合、やり方次第では最大で7,200万円を上限として融資を受けられますが、若者、女性、高齢者以外の一般の方については、審査の基準が非常に厳しくなるため、実際は4,800万円が上限となります。

詳しくは、日本政策金融公庫のホームページで確認しましょう。

特徴4:対応エリア

日本政策金融公庫は日本国内であればどこでも対応できるという特徴があり、都市銀行系でもカバーできないようなエリアでも対応しています。

不動産購入で融資を受ける場合、借りる人の居住地や不動産の所在地をベースとして対応エリアが決まるため、近くに不動産に対して融資してくれる銀行がない場合でも、日本政策金融公庫なら融資を受けられる可能性があるのです。

特徴5:評価方法

ローン審査において、担保に入れる物件の評価額は非常に重要です。

評価方法については、民間金融機関と同じで積算評価と収益評価によって評価しますが、基準自体が厳しめなので、民間金融機関を利用するときの感覚で物件選びをすると、審査が通らない可能性があります。

日本政策金融公庫向きの物件とは

日本政策金融公庫の担保物件の評価は厳しめであることと、評価の傾向が民間金融機関と異なる点が融資を受けるにあたってのポイントとなります。

日本政策金融公庫は、評価する際に重要視する点が民間金融機関と異なるため、日本政策金融公庫向けの物件の特徴を明確につかむことができれば、民間金融機関で融資が通らなかった物件でも、日本政策金融公庫で融資を受けられる可能性があるのです。

築年数よりも利回り重視の傾向

築年数
民間金融機関で融資を受ける場合、購入する物件の築年数はとても重要なポイントとなります。
例えば、法定耐用年数をすでに経過しているような古い物件の場合、民間金融機関はあまり融資しません。

一方、日本政策金融公庫については融資期間が非常に短いことから、築年数よりもキャッシュフローが重要になってくるため、収益性が審査のポイントになってきます。
よって、法定耐用年数をすでに過ぎていても、高利回りの物件であれば、融資を受けられる可能性があるのです。

新築で低利回りの物件よりは、築古で高利回りの物件のほうが日本政策金融公庫に向いているといえます。

また、価格についてもできる限り低い方が融資を受けやすいので、4,800万円をフルに使うのではなく、2,000~3,000万円前後の物件に目を付けて物件を選定するとよいでしょう。

日本政策金融公庫を利用するメリットや特徴について、ご理解いただけたでしょうか。

後半 は、日本政策金融公庫を利用する際の流れや、融資審査の際に重要な要素となる事業計画書(創業計画書)の書き方などについて詳しく解説します。

あわせて読みたい

投資用ローンのメリット…レバレッジ効果と節税

今の日本の人口動向に沿って設計「新築一棟投資法」とは?解説本無料プレゼント

棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

記事一覧