不動産投資コラム

[大家さんの確定申告] ④ 必要書類

2018/10/04
行政書士棚田 健大郎
[大家さんの確定申告] ④ 必要書類

【大家さんの確定申告】前回までで、確定申告の必要性とメリット、税務署に提出するスケジュールについて触れました。今回は、必要書類について解説します。

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1.不動産投資における確定申告の必要書類について

確定申告をするためには、まず必要書類を確認しておく必要があります。
必要書類の入手先は多岐にわたるため、事前に揃えていかなければなりません。
必要書類の入手先を具体的に説明していきます。

  • 確定申告の用紙(税務署または国税庁のHPよりダウンロード可能)
  • 源泉徴収票(会社員や公務員の場合、勤務先から発行されます)
  • 土地建物売買契約書(投資物件を購入した時のもの)
  • 固定資産税の精算書または領収書(中古の投資物件を購入した際に売主から発行
  • マンションの管理費・修繕積立金の明細(通帳のコピー
  • 賃貸借契約書(賃貸契約時の控えまたは不動産会社)
  • 不動産取得税納付書(都道府県の自治体
  • 固定資産税納付書(市区町村の自治体
  • 火災保険証書または領収書(火災保険会社

以上の書類は、会社員が不動産所得を申告するために必要な書類となります。
その他にも経費精算をするためには領収書やレシート、また領収書やレシートが出ない場合には出金伝票を作成して、帳簿を付けていくようにします。

2.青色申告における貸借対照表・損益計算書

青色申告における決裁書(貸借対照表・損益計算書)

第1回目でも解説した通り、不動産所得がある場合は、青色申告を申請することができます。
翌年に青色申告するためには、3月15日までに青色申告承認申請書を所轄の税務署長あてに提出しなければなりません。
また1月16日以降に不動産賃貸業などを開始した場合には、開始した日から2か月以内に申請書を提出する必要があります。

青色申告を事業的規模でするのであれば、企業の決算と同じように貸借対照表や損益計算書を作成し、確定申告の際に提出しなければなりません。

日々の取引は正規の簿記で仕分けをして、仕訳帳や総勘定元帳、現金出納帳などの帳簿を作成していきます。帳簿から合計残高試算表を作成し、さらに決算書である貸借対照表と損益計算書を作成します。

法人ではなく、個人であっても事業的規模で青色申告をするのであれば企業と同じような経理処理が必要とされています。

不動産投資では、物販などの一般的な事業のように取引が頻繁にあるわけではありませんが、経費の支払い先は多岐にわたります。
所有物件の見回りで電車やバスなどを利用した場合は交通費、車で移動すればガソリン代や高速代がかかります。

これらを全て正規の簿記による仕分けをして、決算書まで反映していくことは簿記の知識がなければ難しいでしょう。そんな時は税務の専門家である税理士に確定申告を依頼することを検討してみましょう。

3.不動産投資における確定申告書

不動産投資における確定申告

必要書類が揃ったらいよいよ確定申告書です。
不動産投資の場合は、不動産所得を計算していきます

今まで青色申告を事業的規模で確定申告をする前提で紹介してきましたが、一般的な確定申告として白色申告であっても問題ありません。

基本的には同じような流れで確定申告の書類を作成していきます。
確定申告の書類のうち特に重要なのは「不動産収支内訳書」です。

収入は家賃や礼金、また権利金や更新料となります。
敷金や保証金は収入とはなりませんので注意しましょう。

次に経費を記入していきますが、減価償却費と支払い利息には注意しましょう。
どちらの費用も建物分のみの適用となります。
土地は減価償却もなく支払い利息も経費となりませんので覚えておきましょう。

収入と経費を全て算出し、差し引いた金額が不動産所得となります。
収入はマイナスにはなりませんが、経費を差し引くと所得はマイナス、赤字となることがあります。
不動産所得が赤字であっても、その他の所得、会社員であれば給与所得と合算することができます。

これを「損益通算」と言います。

青色申告の申請をして正規の簿記で経理処理をしていくことが大変だと考えるのであれば、税理士に依頼をすることと青色申告のメリットを比較してみましょう。

不動産投資が事業的規模になっていれば、65万円の控除と専従者給与が認められるため、税理士に依頼する費用よりもメリットが大きくなるはずです。

ただ、未だ小規模で税理士に依頼する費用が高く感じるようであれば、会計ソフトを導入して自分で確定申告の書類を作成していくことも選択肢の一つとなるでしょう。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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