不動産投資コラム

東京オリンピックはやるの?どうなる不動産市場2021

行政書士棚田 健大郎
東京オリンピックはやるの?どうなる不動産市場2021

本来なら東京オリンピックはすでに終わっているはずだった2020年。

ところがふたを開けてみれば、新型コロナウイルス感染症の影響で2021年2月現在、なんと2度目の緊急事態宣言が発令されているという、昨年1月では予想もできなかった事態が現在進行形で起きています。

そんな中、不動産投資家の多くが気になっていること、それは今後の不動産市場の動向でしょう。
ズバリ、価格は上がるのか下がるのか、今回は現場の状況を最優先に反映させて予想を解説したいと思います。

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2021年不動産価格はこれ以上上がる材料がない

2013年に東京オリンピック開催が決定して以降、東京都を中心に不動産取引価格は上昇カーブを描いていました。
そしてそれはオリンピック開催時にピークになると予想されていましたが、新型コロナの影響で大きく変化することになったといえます。

2021年8月に延期されている東京オリンピックの開催について、開催か中止かの議論はありますが、私の見解としてはどちらになっても不動産価格にはあまり影響を与えないと考えています。

仮に開催できたとしても、通常規模での開催は難しいのは明白ですから、世界に向けた東京のアピールというのはかなり限定的になるでしょう。
となると、少なくとも今現在の不動産取引相場からさらに上昇するとは考えにくいです。

一部では、行き場をなくした投資資金が株や不動産に流れているという情報もありますが、それはあくまで投資資金が潤沢である一部のプロの動きであり、いわゆる一般個人投資家にはあまり参考にならないでしょう。

例え東京オリンピックが中止になったとしても、不動産価格が急落することはないと思いますが、少なくともこれ以上の上昇を想定できる材料はないと考えます。

国交省の「地価LOOKレポート(2020年第3四半期)」によると、住宅系では上昇0地区、横ばい26地区、下落6地区という結果になっていることも裏付けになるでしょう。

2021年売るべきか買うべきか

これ以上の上昇が見込めないとなると、既存所有者目線では利益確定で売り抜けるか、そのまま長期保有するかの2択になるでしょう。
このあたりは各個人の税務状況によっても判断が変わってくると思いますが、ここ数年以内に売却しようと考えているのであれば、早い方がいいと思います。

対して、今後都心部の物件の購入を検討している方については、市場価格の動向に注意しなければなりません。
なぜなら、すでに賃貸の現場では徐々に異変が起きているからです。

2021年、都心部は空室率の上昇と家賃下落の恐れ

空室

毎年1~3月というと賃貸需要のピークで、年末にかけて増えた空室が一気に埋まるという傾向があります。
ところが、今年はコロナ禍の影響で賃貸市場に次のような影響が出ています。

新入学生の需要低下

毎年この時期は大学入学のため、都心でワンルームを探す学生で不動産会社の店舗は大混雑するのですが、今年はコロナ禍の影響で大学がほぼ通信化している影響で、わざわざ都心で高い家賃を出して部屋を借りることを躊躇している人が増えています。

ただでさえ賃貸需要が落ち込むことが予想されていた中、1年で不動産屋が最も混雑するといわれている1月の3連休を前にして2度目の緊急事態宣言発令、これによって空室という在庫は今行き場をなくしているのです。

テレワーク普及による都心離れ

国中でテレワークの推進が叫ばれる中、東京都心ではすでに都心離れが始まっています。
これまで都心の会社に通勤するために、家賃が高いのを承知で都心三区を中心に山手線の内側で部屋を借りていた会社員層が、テレワーク導入によって徐々に都心から郊外へ本拠地を移しつつあるのです。

一度目の緊急事態宣言当時、テレワークは一過性のものだと考えていた人も多く、そこまで都心離れは加速していませんでした。

ところが、二度目の緊急事態宣言により人々の感覚は一変し、今後テレワークによる業務遂行が日常化すると考え始め、安い家賃で広い部屋が借りられる郊外へと人が移り始めています

電通が本社ビルの売却を検討するほどの事態であることを考えると、今後もこの動きは加速すると考えられるでしょう。

勝ち組と負け組に分かれる

勝ち負け

学生の需要低下とテレワークにより、都心部の賃貸需要は新規流入が減り、流出が増えることになるので考えられる状況としては、限られた需要を多くの空室物件で奪い合うことになると考えられます。

となると当然予想されるのが「家賃の値下げ」です。

空室のまま放置すれば賃貸経営は成り立たないため、家賃を下げてでも決めるか、売却するかしかありません。
リフォームという選択肢もなくはないですが、投下資金を回収できる見込みが低い状況下ではあまりおすすめできません。

このような状況を踏まえると、都心の物件は賃借人が運よく退去しなかった物件の所有者が勝ち組となり、退去して空室になってしまった物件の所有者が負け組になるリスクを負うことになると考えられます。

2021年買うという選択肢

賃貸需要としてはあまりよいとはいえない状況になりつつありますが、投資物件を探している投資家の目線で見れば、これはまたとないチャンスとなる可能性があります。

2021年は空室や家賃下落、そしてインバウンド需要の消滅で危機的状況にある民泊物件が低価格で市場に売りに出される可能性があるからです。

賃貸需要が低迷するとはいえ、周辺相場よりも割安感のある家賃で賃貸することができれば空室は埋まるでしょう。
物件自体を安く仕入れることができれば、家賃設定が割安でも十分な利回りを確保できるわけですから何の問題もありません。

まとめ

不動産市場にもコロナ禍の影響は出ていますが、買うという目線で見ればコロナ禍を逆手にとって利益率のいい物件を手に入れられるチャンスかもしれません。

また現在所有している物件については、空室率、周辺相場、賃貸需要を個別的に検証して、リスクが高そうであれば早めに売り抜けることも1つの選択肢となるでしょう。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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