欲しい物件を手に入れるための買付証明書の書き方
前半 に続いて後半は、買付申込書の記載事項のうち、金額以外の部分で気を付けるべきポイントや、指値を通すためのコツについて具体的に解説していきます。
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買付証明書の書き方
前半 で少し触れた、欲しい物件を手に入れるための「買付条件に関する情報」について書き方のポイント・コツをご紹介します。
売買金額と指値に関するポイント
買付証明書に記載する売買金額は、必ずしも募集に出ている金額でなければならないということではありません。
不動産投資の買付においては、「指値」を入れてできる限り低くい価格で購入したいと思うことのほうが多いため、買付証明書に記載する売買金額は、こちらが希望する指値を記載して提出するのが一般的です。
ただし、売主からすればあまりに的外れな指値で買付申込を入れられると、かえって不愉快になるので、指値を入れる際には事前に仲介業者に連絡をして、どの程度の指値なら可能性がありそうか確認した方がよいでしょう。
優先してほしいなら満額で
すでに買付申込が入っている物件でも、指値を入れずに満額で買付を入れれば逆転の可能性は残されています。
買い付けは早い者勝ちではなく、あくまで売主に選択権があるので、先に買付が入っていても指値を入れられている状況であれば、後から満額で買付を入れることでこちらを優先してもらえる可能性は十分にあるのです。
また、人気物件を購入する際には、あまりきつい指値を入れると、後から来た買付に先を越されてしまう可能性があるので注意しましょう。
支払い条件に関するポイント
支払い条件とは、売買契約から決済までの間の売買代金の支払い方法のことで、次の項目については、欲しい物件を手に入れるにあたって重要なポイントとなります。
手付金について
手付金の金額は、通常売買代金の5~10%程度が一般的ですが、できれば10%以上あった方が売主に本気度が伝わるため印象がよくなります。
手付金は契約段階で買主が売主に対して支払うもので、売買契約後に買主がキャンセルをしても手付金は返還されません。よって、手付金が多い方が、売主にとってキャンセルされるリスクが軽減できるのです。
指値を入れる場合は、できるだけ手付金の金額を上げることで、指値が通りやすくなります。
ただし、売主が宅建業者の場合、売買金額の20%が手付金の上限と規定されていますので覚えておきましょう。
決済期日も重要
手付金以外の残代金を支払う決済期日についても、売主に対して大きな影響力があります。
基本的には、契約から決済までの期間が短い方が好まれますが、売主が実需だったりすると、売買契約を締結してから引越し先を探すケースもあるため、反対に遅い方がよいというケースもあるので一概にはいえません。
売主がいつごろの引き渡しを希望しているのかを仲介業者から聞き出して、その希望にあう期日で記載することで、指値が通りやすくなります。
瑕疵担保責任期間について
売買契約においては、引き渡し後も一定期間は物件の欠陥(雨漏り、シロアリなど)について、売主が責任を負うこととなり、その期間のことを「瑕疵担保責任期間」といい、売買契約書に明記されます。
通常、不動産投資物件の場合、瑕疵担保責任期間は「引き渡しから2〜3ヵ月程度」が一般的です。ただ、売主からすれば、売った後も責任を長く引きずりたくないという心理が強いので、瑕疵担保責任期間が短ければ短いほど売主の印象はよくなります。
絶対に買いたい物件を見つけて、他の買主と競り合いになりそうな場合は、瑕疵担保責任自体を「免責」にして、売主の責任負担を軽くしてあげることで、買付順序にかかわらず優先してくれたり、指値が通ったりする可能性が高くなるでしょう。
有効期間について
買付証明書を提出した後は、売主からの返答を待つことになりますが、指値などの条件交渉をしている場合については、いつ返事をもらえるのかとても気になります。
そこで、買付証明書を提出する際には、必ず「有効期限」を明記することをおすすめします。
指値を入れている場合であれば、期限を設けることで売主に期限までの返答を促すことができますし、ダラダラと先延ばしされてしまう事態を防止できるのです。
目安としては2週間程度で、あまりにも長くすると他の買主に横取りされる可能性もありますので注意しましょう。
パソコンで打ち出す
買付証明書は書式が決まっているわけではないので、手書きで発行しても問題はありません。ただし、売買金額や支払い条件など重要な項目がたくさんあるので、直筆の字が綺麗な人でないと間違って相手に伝わってしまうこともあります。
トラブルを防ぐためにも、できるだけパソコンで打ち出したものに署名捺印をして発行するほうがよいでしょう。
捺印する印鑑は実印ではなく認印でも問題ありませんが、売主によってはスタンプ式のハンコでは本気度が伝わらないケースも考えられるので、できれば三文判などを使用しましょう。
買付証明書の出し方
買付証明書は売主の仲介に入っている不動産業者に対して提出しますが、提出方法についてはファックス、メール、郵送、持参の4つがあります。
基本的には先着順ではないとはいえ、できる限り早く売主に対して伝える必要があるため、その場ですぐに受け取ってもらえるファックスかメールがよいでしょう。
ただし、不動産業者には日々たくさんのファックスやメールが届くので、送りっぱなしでは目を通してもらえない可能性があります。
そのため、買付証明書を送信したら、必ず不動産業者に電話で連絡して届いているかどうかの確認をとった方が確実です。
指値を通す2つのコツとは
買付証明書で指値を入れる場合、単に希望する金額を書いただけではなかなか通りません。
売主に指値で了承を得るためには、金額以外の部分でメリットや根拠を提示することがとても重要です。
現金買いをアピールする
個人投資家が不動産を購入する場合、ほとんどが金融機関でローンを組んで購入するため、万が一ローン審査が通らなければ「ローン特約」によって契約は白紙撤回になってしまいます。
売主の心理としては、ローン特約は潜在的なリスクになるため、できることならローンを使わず現金で購入してくれる人を優先したいと思うのです。
そのため、指値を入れる場合はできるだけ「ローン無し現金決済可能」であることを買付証明書に明記することで、指値が通る可能性が高まります。
また、買付証明書がバッティングしている場合も、優先してもらえる可能性が高いでしょう。
指値の根拠を示す
指値を通すためには、窓口となって交渉してくれる仲介業者の担当者を味方に引き込むことが1つのポイントになります。
仲介業者も交渉がまとまれば売り上げになるため、交渉しやすいように情報を提供してあげれば、それなりに協力してくれることが多いです。
例えば、現状売りに出ている近隣の物件情報のデータを送って、それらに比べて割高であることをアピールしたり、管理費や修繕積立金の金額が高い、積立金残高がほとんど無い、などのネガティブな情報を仲介業者に伝えたりすることで、それらを根拠として売主を説得してくれる可能性があります。
仲介業者ならそういった情報をすでに知っているのでは、と思うかもしれませんが、1人で何物件も担当している場合、担当者自身正確な相場知識が備わっていないことも少なくありません。
こちらから情報や根拠を提示してあげることで、指値の成功率は大きく上がるのです。
まとめ
買付証明書は売主とのファーストコンタクトになるので、指値や支払い条件については慎重に検討して作成することがとても大切です。
価格交渉の基本は「ギブアンドテイク」なので、一方的に指値を入れても通りません。
売主へのメリットや指値の根拠などを明確に示すことで、指値が通る可能性は大きく上がるのです。
条件の合う物件を見つけると、つい早く買付を入れることだけを考えがちですが、早さよりも記載内容の方が重要だということをよく覚えておきましょう。
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