不動産投資コラム

不動産投資ローン(アパートローン)の借り方[後編]

行政書士棚田 健大郎
不動産投資ローン(アパートローン)の借り方[後編]

前半は、不動産投資ローンの特徴と、利用することのメリット、デメリットについて解説してきました。

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不動産投資ローン(アパートローン)の借り方[前編]

後半は、これから不動産投資ローンを利用する方のために、実際に「不動産投資ローンを利用する方法」や、「返済不能に陥らないための対策」について解説していきたいと思います。

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どこで借りればいい?融資を受ける方法は

実際に不動産投資ローンを利用するためには、まず不動産投資ローンを扱っている金融機関を探して申し込みをする必要があります。

不動産投資ローンの探し方には、次の3つの方法があります。

不動産会社の提携ローンを使う

不動産投資の初心者であれば、仲介に入っている不動産会社の「提携ローン」を使うのが最も簡単です。
不動産会社の多くは、不動産投資ローンを扱っている金融機関と提携しているため、紹介して欲しい旨を伝えれば、スムーズに話が進むでしょう。

不動産会社と金融機関のパイプが太ければ、金利についても優遇してもらえる可能性があります。

投資経験者に銀行の担当者を紹介してもらう

知り合いに投資経験者がいる場合は、銀行の担当者を紹介してもらうという方法もあります。

ただし、紹介者自身の投資実績があまりよくないと金融機関が紹介を受けない可能性もあるため、紹介してもらう場合は投資に成功している人に限定しましょう。

自分自身で不動産投資ローンを扱っている金融機関を探す

インターネットで検索すれば、自分自身でも比較的簡単に不動産投資ローンを扱っている金融機関を見つけることができます。

自分自身で探す場合のポイントは金融機関の「場所」です。

購入する物件と借入する金融機関の支店が近いことがポイントになるため、自宅や勤務先の近くの金融機関をあたるよりは、購入する物件の所在地を中心に考えたほうがよいでしょう。

金融機関には支店ごとに「営業エリア」がある程度設定されているため、購入する物件の所在地を営業エリアとする支店が存在しない場合は、融資対象外となる可能性があるため注意が必要です。

融資審査で必要になる書類について

金融機関が見つかったら、融資審査を受ける必要があります。
融資審査に必要な書類は、大きく分けて
・本人に関する書類
・物件に関する書類

の2つがあり、それぞれ次のような書類が必要です。

本人に関する書類

融資審査にあたって必要になる、本人に関する書類は以下の通りです。

・所定の融資審査依頼書
・収入を証明する書類 過去3年分(確定申告書または源泉徴収票)
・納税証明書
・住民票
・本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
・借り入れがある場合はローンの償還表、返済予定表
・その他資産がある場合はそれを証明する書類(通帳、権利証、保険証券などの写し)

これら以外にも、さらに詳細な書類の提出を求められる場合もあります。

物件に関する書類

物件に関する必要書類としては、役所で取得する書類と、自分自身で手配するものがあります。

【役所で取得する書類】
・登記簿謄本(法務局)
・公図(法務局)
・地積測量図(法務局)
・建築計画概要書、記載事項証明書(不動産の所在地を管轄する役所)
・固定資産税評価証明書(役所・23区内の場合は都税事務所)
【その他の書類】
・売買契約書および重要事項説明書
・物件パンフレットおよび図面集
・家賃一覧表

このように、審査に必要な書類は多岐に渡ります。
必要書類に漏れがあると1回の申請で審査結果が出ないため、金融機関の担当者と面会する前に、すべての書類が揃うよう前もって準備しておくことが重要です。

「ローンが返せない!」にならないために

不動産投資ローンを利用する際には、事前に綿密な資金計画を立てておくことが重要ですが、実際に賃貸経営を始めると、予想外の出費等によって返済が厳しくなることもあります。
ここでは、ローンが返済できなくなって破産しないために、有効な回避策について解説したいと思います。

破産回避法1:現金を手元に残しておく

不動産投資ローンを利用すれば、手元の資金をあまり使わずに物件を購入することができます。ですが、不動産投資は株式投資などとは違い、不動産という物体を所有して賃貸経営を行うため、購入後についても建物の維持管理に必要な諸修繕や、リフォーム費用などさまざまな「出費」が発生します。

そのため、手元にある程度の現金を残しておかないと、万が一の時に出費が重なってローンの返済が苦しくなる可能性が出てくるのです。

破産を回避するためには、最低でも100万円程度の現金は手元に残しておきましょう。

破産回避法2:空室リスクを抑える

不動産投資における収入を安定させるためには、空室をできる限り抑えることがとても重要です。特にワンルームマンション投資で1部屋を所有している場合、万が一空室になると収入が突然ゼロになってしまうため、空室期間が長くなればなるほど、ローン返済が苦しくなります。

空室期間を短くするためには、次のような対策が有効です。

・入居者の募集は、専任ではなく、できるだけ多くの不動産会社に同時に依頼する
・相場よりも若干低い家賃設定で募集する
・室内の写真や動画を撮影して、募集開始時に不動産会社に提供する
・古い設備は積極的に交換する

管理会社任せにしていると、気付いたら数ヵ月空室、という可能性もあります。
空室リスクを抑えるためには、投資家自身が危機感を持って、積極的に動く「心構え」が何より大切であるといえるでしょう。

破産回避法3:不動産投資の出口戦略

不動産投資で効率的に利益を出していくためには、適切な時期に「売却」する必要があります。

たとえ当初の予想が外れて、赤字が続いていたとしても、適切なタイミングで売却できれば、譲渡益によって赤字を相殺して黒字で終われる可能性もあるのです。

このように、売却のタイミングを考えることを「出口戦略」といい、不動産投資における重要なポイントとなります。
出口戦略は、次の2つの要素を考慮しながら、タイミングを見極めることが重要です。

【ローン残債】
売却によって利益を出すためには、最低でもローン残債よりも高い金額で売却することが最低条件です。
そのため、現時点での不動産投資ローンの残債がいくらになっているのかについて、常に把握しておく必要があります。

【経済情勢】
売却価格は経済情勢の影響を受けて変動するため、売却相場についても定期的に査定を実施するなどして把握しておくことが重要です。
もしも返済が苦しくなって破産しそうな状況でも、ローン残債以上で売却できる状況であれば、すぐに売却して破産を回避することができます。

苦しい時に素早く判断を下すためにも、上記2点については常に把握しておくよう心がけましょう。

まとめ

今回は不動産投資ローンについて、全2回に分けて解説してきました。
不動産投資初心者の方にとっては、ローンというと借金というイメージが強いかもしれませんが、不動産投資の世界では、効率的に投資をしていくための「重要な手段」です。

確かに、高額な借り入れをすることに変わりはありませんが、事前に入念なキャッシュフローシミュレーションをした上で、手元にもある程度の現金を残しておけば、破産による失敗を回避することは十分可能です。
良い物件が見つかると、つい融資審査を通すことばかりに気持ちがいってしまいがちですが、大切なことは物件を購入することではなく、利益を出すことにあります。

不動産投資ローンを利用する際には、その借入条件で十分利益が見込めるのか、慎重に判断しましょう。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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