不動産投資コラム

外国人増加中…賃貸の入居者として受け入れるべき?

2020/03/12
行政書士棚田 健大郎
外国人増加中…賃貸の入居者として受け入れるべき?

2019年4月に改正入管法が施行されたこともあり、今後ますます外国人就労者、そして日本在住の外国人は増加していくでしょう。

賃貸経営にはどのような影響があるのでしょうか。

今回は外国人居住者増加の現状と、不動産投資に与える影響について、全2回に分けて解説していきたいと思います。

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日本人減少・外国人増加傾向が進む

外国人が増加しているとニュースなどでよく聞きますが、実際のところどの程度増加しているのでしょうか。

これまで外国人については「外国人登録制度」というものがあり、外国人登録証を発行して管理していたため、日本人と同じように、住民基本台帳によって把握できていませんでした。

それが、2012年に法改正が行われて、3ヵ月以下の短期滞在者以外については、外国人についても住民登録して住民票が作成される運用に変わりました

これにより、観光目的以外の外国人住民の推移が容易に把握できるようになったということを、まずは覚えておきましょう。

外国人人口は250万人

総務省のデータによると、2018年1月1日時点における外国人人口は250万人で、2017年1月からの1年間で17万人も増加しているとのことです。

これは、日本の総人口の約2%がすでに外国人であることを意味しています。

日本の総人口は2008年を境に減少してきていますが、その減少の約半数分、外国人人口が増加しており、日本の人口減少スピードを緩やかにしてくれているのです。

人口推移

実は属性のいい外国人入居者

不動産投資をしている人のなかには、外国人には部屋を貸したくない、とか、できれば日本人に借りてほしいといった、外国人に対する根拠のない不安から、そのような方針をとっている人もいるのではないでしょうか。

ですが、今後はもしかすると外国人の方が賃貸の入居者として好まれる時代が来るかもしれません。

というのも、現在の日本は少子高齢化で15~64歳の生産年齢の割合は60%であるのに対し、外国人の生産年齢は85%と非常に高い割合を示しています。

年齢を階級別に見た場合、日本人で最も多い年齢階級が65~69歳であるのに対し、外国人の場合は25~29歳というまさに働き盛りの年齢層でした。

つまり、外国人の人口はただ増えているのではなく、働き盛りの世代でまさにワンルーム賃貸需要に当てはまる世代の外国人が増えているということがとても重要なのです。

日本人と外国人の年齢割合
みずほ総合研究所

外国人人口が増加している地域とは

ここまでで、外国人人口の増加が、不動産投資において賃貸需要の底上げというプラス材料に働きそうな兆しがあることは、なんとなくイメージできたかと思います。

では、実際に外国人人口が増加しているのはどの地域なのでしょうか。
全国的に外国人が増加しているものの、増加人数については地域によってかなりの格差があります

総務省の調べによると、外国人人口を都道府県別に比較した場合、最も多いのが東京都の52万人で、日本全体の外国人のおよそ2割が住んでいることがわかります。

そのほかで比較的多いのが、愛知県、大阪府、神奈川県、埼玉県、千葉県、兵庫県で、これらの大都市圏で日本全体に居住している外国人のおよそ7割を占めています

今後外国人が増えそうな都道府県はどこ?

今後外国人の居住者が増えると考えられる地域としてあげられるのは、まず東京都でしょう。

現時点において東京都の人口の約3.8%は外国人が占めており、全国トップの外国人比率となっています。今後も2020年東京オリンピック・パラリンピックなどの影響も踏まえて、さらに居住する外国人が増えることが予想されるでしょう。

東京以外で注目すべきなのは、群馬県、三重県、静岡県です。
これらの都道府県の主な産業は製造業であり、外国人労働者を雇いやすい環境にあることから、今後もっと外国人人口が増えて賃貸需要に影響を与える可能性があると考えられます。

外国人が働ける業種が増える

外国人労働者

日本で居住している外国人は、永住者など一部の在留資格を除き、日本においてできる活動範囲が限られています

例えば、英語教師で在留資格を取得している外国人が、コンビニ店員に転職することはできません。

これまで外国人が日本で仕事をするためには、それなりの技術や技能を必要とする仕事でなければビザが取得できませんでした。

そこで、政府は外国人労働者の受け入れを拡大するために、新しい在留資格である「特定技能」を法改正によって設けたのです。

これにより、一定の業種についてはいわゆる「単純労働」にあたるような仕事でも外国人を雇えるようになるため、介護や外食産業など人手が不足している業種で、今後多くの外国人が雇用される可能性があるでしょう。

まとめ

まずは外国人居住者の現状について解説してきました。
まとめると、お伝えしたいことは次の3点です。

  • 外国人居住者は、東京を中心に大都市で大幅に増加している
  • 外国人居住者は、ワンルーム賃貸需要とマッチングしやすい若い世代が大半である
  • 外国人が単純労働でも就職が可能になったことで、今後外国人労働者はさらに増える

外国人居住者の増加は、不動産投資においてプラスになりそうなイメージが湧いてきましたでしょうか。

後半 では、実際に外国人居住者を受け入れることのメリットや、外国人ならではのリスク、対策などについて詳しく解説します。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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